滅茶苦茶な女神の本当の目的
今回はほんとに遅れて申し訳ございません
「失礼するわ」
という声とともに教室の扉が勢いよく横にスライドしバンと音を立てた。その音にみんながびっくりしてその方向を見る。そこには綺麗な氷翠色をした髪をして、まだ幼さが残る顔立ちを美少女。
「っ!」
それを見たグラウがガタッと音を立ててこれまた勢いよく立ち上がった。そして、その美少女に目を丸くしていた。そして、その氷翠の美少女もグラウに気づくと口の先をにやけさせた。そして次の瞬間。
「グラウぅー!!」
ありえない跳躍力でグラウに向かって飛びついた。何人もの生徒達の頭上を飛び越えグラウに飛びつく。グラウはそれを抵抗することなく受け止める。そして、その美少女の名を呼ぶ。
「フィナ…」
「ずっと会いたかったわ!会えて嬉しいわグラウ!」
グラウはありえないものを見たようにフィナと呼んだ少女を見つめる。そんなフィナはグラウの胸元で頬擦りをする。まさかのハプニングにみんなついていけず唖然としている。あのポル先でさえ絶句している。ちなみに俺はというと気絶から目覚めたばかりである。そう!俺は床に放置させられたままだったのである!ちなみに4限目の終わりまで放置させられていた。そして、起きたらこれである。さぁ、お昼食べようze☆って時にこのハプニングである。
「お兄ちゃん!」
と、聞き覚えのある俺の可愛い妹が教室の扉から、フィナより遅れて入ってきた。そして、俺を見つけるやいなや抱きついてくる。フィナみたいにとはいかなく、とてとてと走りながら、そしてある程度近づいたら起き上がったばかりの俺の元にダイブ。俺はそれをいつものように優しく受け止める。そして、受け止められたアリシアはいつものようにえへへとはにかむがすぐに顔を変えて俺の耳に口を近づける。
「ちょっと大変なことになりました、ライ」
この雰囲気は大人びたほうのアリシアだ。いつものアリシアは俺のことをお兄ちゃんと愛らしく呼んでくれるが大人びたアリシアは名前で呼んでくるのだ。これは最近になって気づいたことである。
「大変なこと?」
「はい、実は…」
しかし、アリシアの言葉は途中でグラウにひっついていた氷翠の美少女フィナによって遮られる。
「そいつがあの女神装甲化を成功させた奴ね」
ざわ!と教室にいた全生徒とポル先が驚く。なぜならそれを知っているのはここにいる人達だけで最重要機密の情報だったからである。それを謎の美少女は知っているどころかアリシアに指をさしたのだ。いや、正確にはライにだが。しかし、それをここにいる生徒の中でもできるのはライだけ。つまりはライと同じような特別な存在か、あるいは
「私はラフェルナ王国の女神、フィナよ!」
氷翠の美少女はそう名乗った。女神フィナ、その名を知らないものはいない。ライ以外。しかし、ライも女神と聞いて少し体が強ばる。が、グラウにくっついたまま言われたのであんまり迫力がない。
「フィナ、なんでここにいるんだ」
そんなフィナにグラウは問う。
「グラウに会いに決まってるじゃない」
何食わぬ顔でフィナはいってのけた。が、グラウはその返答が気に入らなかったのか質問を変える。
「なぜあいつの、デア・リンクのことをしっている」
「それは私の子達が優秀だったからよ。それで情報をつかんでここに来たのよ。けど、それは建前。本当はグラウに会いたくて来たわ!」
「…」
そこでグラウは黙り込んでしまった。グラウもいまだになにかを整理できてないのだろう。
「けれど、建前とはいえ、デア・リンクができたそいつに用がないわけじゃないわ」
「俺にか?」
「えぇ、あんたの力がどんなものか確かめさせてもらうわ!」
そう、フィナは俺に指をさして言うのだった。
「それは別にいいんだが、グラウと知り合いなのか?」
「え?」
フィナはあっさり承諾がとれたことにびっくりして思わず口がポカーンとなる。フィナ的には断られると思っていろいろとセリフを用意してたのだが全部パーである。しかし、フィナはすぐに切り替えてライのそんな質問に自慢に答えるのだった。
「グラウは私の専属執事よ!」
と、そのなきにしもあらずなお胸を張り自慢げに答えると周りの生徒が
「「「「えぇーーー!!??」」」」
これにはみんな驚きを隠せずに声を上げて驚いていた。そりゃそうだ、こんなの予想外すぎる。というか、アリシアも驚いてるし。
「それは昔の話だろ」
「いや、いまもよ!いまもグラウは私の専属執事なんだから!」
「どいうことだ?」
ふたりが痴話喧嘩を始める前に話を聞くと、こりゃまたフィナが自慢げにグラウとの過去話を話してくれた。
☆
これは、グラウがまだクラッツセイント王国に来る前の、ライ達と出会う前のお話し。
「ぐらうー」
「どうした?フィナ」
ラフェルナ王国の女神室。そこにまだいまよりもちっちゃいフィナとだいぶちっちゃいグラウがいました。フィナは自分の髪と同じ氷翠色の可愛い服を身にまとっていた。一方グラウのほうはというと、ライがもはや私服になりつつあの執事服をグラウも着ていた。そして、フィナはさっきまでおもちゃで遊んでいたのだが、飽きたのか傍にいた自分の専属執事のグラウを呼ぶ。グラウはそれに答えてフィナに近づく。そして放りっぱなしのおもちゃを見て。
「飽きたのか?」
「外行きたい」
「また怒られるぞ?」
「いくぅー!」
「はぁ、わかった。少し待て」
「はやくぅ」
「…はぁ」
グラウは溜息をつきながらもフィナの外出許可を大臣に聞きに行くのだった。数分してなんとかフィナの外出許可を貰えたグラウはフィナがいる部屋に戻る。
「いいぞ、フィナ」
外出許可を貰えたのを知らせにフィナの部屋の扉を開けるが
「フィナ?」
中にはいるはずのフィナがどこにもいなかった。周りを見渡してみると窓が空いて涼しい風が中に入ってきていた。
「っ!」
グラウは急いで振り返り廊下を走り抜け城を出る。途中、フィナの城の使用人が何人か話しかけてきたが全て無視して走り抜ける。グラウは城を出て市場に向かう。手当り次第に探し回る。途中で人にぶつかっても謝ることなく、その足を止めることなく。
「フィナー!くそっ、どこにいった…」
あらかた街の要所はすべて探したが一向に見つからないどころか痕跡がない。まぁ、それは仕方ないだろう。フィナは常に浮いてるのだから。グラウは少しでも手がかりをと実は城を出たときから常に自分に魔法をかけていた。身体強化の義呪と風魔法の中で追跡に特化したウェルスチェーサー。しかし、反応はなかった。ふと空を見てみると、紅い夕焼けが沈もうとしていた。そこに
「っ!やっとみつけた」
ウェルスチェーサーに反応があった。紅い夕焼けと重なって緑色に光るものが見えた。それはフィナが通った形跡を示すものだ。それを全速力で追うと。
「まさかあいつ…」
国の外に繋がっていた。女神は自国の外では力を十全に発揮することは出来ない。ましてや、まだうまく力をコントロールできてないフィナなんかはこの当たりにいるモンスターにさえ太刀打ちできないだろう。それに、もう日が沈む。夜はモンスター達が活性化し凶暴になる。そんな中、フィナを一人にすれば…。
「ほんと、くそがっ!」
グラウはさらに身体強化の魔法を使い地を駆けた。
「ぅ、ぐすっ、ぐらう、どこにいるのよ、ひぐ」
フィナは薄暗い森の中を彷徨っていた。右も左もわからずずっと頼りにしているグラウさえいまはいない。グラウの静止も聞かずに一人で飛び出してこれだ。いつもわがままを聞いてくれる自慢の執事はいない。必死に呼びかけているのに応答は一向に返ってこない。そうして、彷徨い続けていると。
「グルルル」
「ひゃっ!?」
茂みから突然、夜行性のモンスターリガロウ(狼型モンスター)が三匹飛び出してきた。突然のことにフィナは後ろに退く。目の前のリガロウはヨダレを垂らしながらこっちを見ていた。その姿に自然と恐怖を覚えフィナは動けなくなった。
「こ、こっちにこないで」
そんな言葉と裏腹ににじり寄ってくるリガロウ達。本能的にフィナは察した。ここでこの獣たちの餌になってしまうのだろうと。そう、思ってくるといろいろなことを思い出して自然と目から涙が溢れ出す。そして、心から願っている言葉が漏れた。
「ぐらうぅ…」
そして、リガロウがいまにも襲いかかろうとした次の瞬間、目の前の1匹が誰かに蹴飛ばされる。リガロウはきゃうん!と悲鳴を上げて遠くに吹き飛ばされる。そして、フィナの願っていた声が聞こえてきた。
「このばかが!」
「ぐらぅー!」
フィナは目の前のグラウが本物か確かめるように強く抱きついた。それをグラウは荒々しくだがちゃんと受け止める。
「ぐらう!ぐらぅ」
「わかったから離れてろ」
グラウはフィナを安心させて引きはがす。そして、リガロウと向き合い腰に差していた二対の剣を抜き放つ。一つは赤色の宝石が埋め込まれていて、その刀身さえも赤く染まっている。そしてもう一つは逆に、青の宝石が埋め込まれていて、同じようにその刀身も青く染まっている。宝剣デュアリスエンブレー、ラフェルナ王国の秘宝の一つ。聖剣や魔剣とまではいかないがその刀身は刃こぼれすることはなく、扱うものの魔力量によっては聖剣や魔剣に対抗しうるほどの武器となる。しかし、この時のグラウにはまだそれほどの力はない、が。強さは女神近衛兵の精鋭クラスになれるほどだった。グラウは主に赤色の剣に魔力を込める。すると、剣から炎が燃え上がりだす。それをグラウは一振りする。その熱波に気圧されリガロウ達はその場から逃げ出した。
「ぐ、ぐらぅ?」
ようやく安全になったのを確認したフィナはグラウの元まで近寄るが、グラウの表情を見てびっくりしていた。
「一人で勝手に外に出るな」
その顔は泣いていた。怒りながらも。その反応にフィナはどうしていいのかわからなかった。なにせ、グラウの泣き顔なんて今の今まで見たことなかったから。けど、グラウはかっこよかった。やはり、グラウは私の王子様だと。フィナはこの時、心の中で確信していた。
「ごめん、なさい」
フィナは謝る。そんなフィナの姿にグラウはぽんと頭を撫でてやるのだった。
「反省してるならそれでいい。帰るぞ、フィナの国に」
「んっ」
それから二人は手を繋いで帰るのだった。その手を絶対に離さないようにお互い強く握りあって。
☆
「へぇ、グラウにもそんなことがあったのな」
「そうよ!グラウはあんたなんかよりも数百倍強いんだからね!」
すみません、昨日もうグラウに勝ってるんです。本気の勝負で。
「こいつはいい話が聞けたな。そのお礼に俺の力を見せてやろう」
「いったわね!なら、私の精鋭と戦いなさい!」
( ゜∀゜)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
ということで、読んで下さってる皆様方、ほんとにありがとうございます!そして、
申し訳ございませんでしたー!というか言い訳をさせておくれ?
我な、人間界が恐ろしいわ。我でもあの不治の病には勝てなかったぞ、そう。我は火曜日に風邪をひいてしまったのだ!スマホ触るのもやっとの状態ぐらいで無茶苦茶きつかったぞ!そして、ズルズルと引きずるタイプでやっと回復してきてこうして急いで書いたぞ!ほんとは日曜日に上げる予定だったのだが急遽いろいろやらなきゃいけないことがあってそれ消化してたらいつの間にか夜で…。
( ゜∀゜)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \(2回目)
ま、そゆうことだ!お主らも風邪や病気には気をつけるのだぞ!
いや、ほんときつかったぞ。
では、我は言い訳もしたしこれでな!
今週の水曜日には間に合わせるから!我頑張るから!ということでまた近くにな!人間共!




