滅茶苦茶いろいろなもののその後
~数年前~
「うっ、ぐぁぁ!」
焼ける焼ける、全身が燃えてるみたいな錯覚に陥る。
目の前では魔女が微笑んでいる。
俺の心臓には何かが刻まれるような、印がつけられてるような、そんな感覚を感じる。
それは徐々に刻まれていった。
後ろでは妹が、リーナが地べたで冷たくなっている。
血はとめどなく流れリーナはピクリとも動いてくれない。
なにもしてやれない。
自分に今起きてることさえ把握も出来てすらいないから…。
リーナを助けられない絶望と魔女の思うがままになっている絶望が掛け合わされて目の前が暗くなる。
そんな中に一筋の希望が舞い込んだ。
ヒヒィィィン!!と、どこからか馬の声が聞こえた。
次の瞬間には強い衝撃に襲われて熱が冷めていく。
しかし俺はその衝撃とともに気を失った。
「ん、うっ」
目が覚めるとそこには馬がいた。
「おわっ!?」
俺はびっくりして跳ね起きる。
そんな俺の姿に傍にいた二十後半ぐらいに見える男性が笑っていた。
「誰だ!」
俺は即座にティルフィングを顕現して構える。
そんな俺にそいつはふっと鼻で笑ったのだ。
「おいおい、構えが全然なってないぞガキ」
構え方を指摘された。
俺はまだ困惑している頭でなんとか整理しようとする。
それでそんなことよりも先に確認しないといけないことを一つ思い出した。
「リーナは!?」
「あー、お嬢ちゃんはリーナって言うのか」
「リーナは、リーナをどこへやった!?」
俺は必死の形相で目の前のオールバックにしたちょっと厳つい男性に問い詰めた。そしたらそいつは頬をかいて目をそらした。
「あー、一応ちゃんと連れてきたには連れてきたんだが…。あそこだ」
男性は白い布がかけていて少し周りより膨らんでいる場所を指さした。
「うそ、だろ…」
俺は恐る恐る近づいてその布を剥ぎ取る。
そこには、白く冷たくなったリーナがいた。
自分に言い聞かせていた大丈夫という言葉さえその現実に容易く崩された。
「りー、な、リーナ!お願いだ、目を開けてくれ…」
息をはしておらず、脈拍も動いてない。
そう、リーナの心臓はとっくに止まっていた。抗いようのない現実は俺の心を蝕んでいく。
「うぁ、ぁ、ぁぁぁあ!!」
何も考えられなくなってただただ叫ぶことしか出来ない。そんな俺の姿をみて男性は目を瞑る。
そんなただただ絶望を受け入れることしか出来ない無力な少年の嘆きを聞いてか、そこに奇跡は訪れた。
この世界には女神がいるんだ、神がいてもおかしくないだろう。
その男性の傍においてあった剣が光始めた。
暗い世界に一筋の光が訪れたように。
「ライガル、私がなんとかします」
「おまえ、そんなことできんのかよ」
剣が喋り、ライガルと呼ばれた男性が驚きの声をあげる。光る剣が徐々に薄くなり、そこにはリーナと同じぐらいの背丈の少女がいた。
急に光が目に入ったせいでライにはその少女の姿はよく見えなかった。
その少女は俺のそばまで来て隣で冷たく横たわっているリーナに触れる。
するとその少女から流れ出るようにリーナに淡い光に包まれていく。
「ライガル」
少女はライガルの方に振り向き、確認を問う。
そんな少女にライガルは…。
「お前がそうしたいならそうしろ。俺は止めん」
「ありがとう」
答えをもらった少女はさっきよりも強く光り出す。
リーナの全てを包み込むようにして。
それは奇跡の光だった。
神が見せる魔法のような、そんな神々しさを感じさせる光だった。
それはやがて、だんだんと小さくなり消える。
光が消えるとそこにあの少女の姿はなかった。
「ん、んっ…」
「リーナ!?」
リーナが微かに動いた気がした。いや、動いたんだ。
「ん、おに、ちゃん?」
その声は弱々しくいまにも消えてしまいそうなほどのものだったが。それでも、ちゃんと、ハッキリと聞こえたんだ。妹の声が!リーナの声が!
「リーナ!リーナ、生きてる!リーナ!!」
俺は無我夢中でリーナに力強く抱きつく。
さっきまで冷たかったのにいまはほんのりとあたたかい。生命の温もりをちゃんと感じる。
嘘じゃない本物の温もりを。
夢じゃないかと頬をつねったりするがリーナが優しくつねった部分をさすってくれるだけだった。
蘇った。死んだと思われたリーナは蘇ったのだ。
「おいおい、まじかよ…」
後ろでそれを見ていたライガルが驚きの声をあげた。
その顔は僅かながら悲しみを含んでいたように見えた。
けれど、今の俺にはそんなことにも気づく余裕などなにリーナを抱きしめるばかりだった。
俺は何度何度も確認する。生命の温もりを。
「ん、くる、しい、おにぃ、ちゃん」
リーナはそういうも嬉しいのか抵抗はしなかった。
俺の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
それをリーナは優しく拭う。
「リーナ、よかった、生きてる、本当に生きてるんだ」
自分に言い聞かすように俺は何度も「生きてる、ちゃんと息してる」と何度もくりかえす。
リーナはそれを優しく見守りハグしてやるのだった。
自分はちゃんと生きているのだと兄に教えるために。
「おい坊主、ここら辺はまだあの魔女の帝国の一帯だ。移動するぞ」
「そ、そういえばあんたは…。それにあの子は…」
「俺はライガルだ、ライガル・サマソ。あいつは、フィリアっていうんだがいなくなった、のか?」
ライガルと名乗った男性はあの少女のことも教えてくれたが最後は疑問形だった。
あの子は強い光とともに消えたていきその後にリーナは蘇った。
考えられる答えとしては…。
「まさか!」
「そんなことはどうでもいいからとっと逃げるぞ」
俺の言葉を遮りライガルは片手で俺とリーナを持ち上げて馬に乗せる。
その後に自分も馬に乗り走らせた。
そうして、馬を走らせて野宿を繰り返して数日後。
その数日はライガルのいろいろな話を聞きながら野宿を繰り返していった。
そんな旅をしている中、俺達は一つの国に辿り着いた。
「ここはクラッツセイント王国、俺の故郷だ」
ライガルは自慢げに胸を張って言う。
ライガルが城門の兵士と挨拶を交わして国の中に入っていく。
俺たちもライガルと一緒にその城門を通る。
そうして女神が統治する王国に入っていく。
そこで初めてわかった。
「俺達は、魔女から救われたのか…」
唐突に浮き出た感情につい言葉がでてしまっていた。それにライガルは応える。
「あぁ、今日からお前達が住む国だ。女神様に感謝しな。坊主ども」
✩
「魔女、お前がそうと決めたなら俺はそれを尊重しよう」
そう言って俺は目の前の魔女に首輪という名の束縛魔法をかけようとしたら魔女がいきなり抱きついてきた。
俺はなにかされるのかと構えたが、魔女は優しく耳元で囁いた。
「なっ!?おまえ!」
「ネア、ネア・リアーナ・ピリアルナ」
「それは……」
「そう、私の真名」
真名。
こいつは今そう言った。
名乗ったのだ、魔女が自分の真名を。
魔女にとっての真名とは呪いそのものだ。
魔女は強い力を代償にその真名には呪いがかけらている。
それ故に魔女は女神よりも強力な力を誇る。
だがその反面呪いは絶大だ。
その呪いは真名を呼ばれたものに絶対服従。
つまり、魔女は真名を呼ばれたら何も出来なくなるのだ。そいつの命令には必ず従う人形に成り下がる。
どんな命令でも言うことを聞く人形に、それが例え自害だっとしても。
そんな束縛魔法よりも強力な鎖をこの魔女は俺に委ねたのだ。
ただ、一番驚いたのはそこには純粋な気持ちしか伝わってこなかったということ。
「お前は魔女だよ、ネア」
俺はそっと魔女の耳元で、さっきネアが俺にやったように俺もネア囁き返す。
そのままそっと俺は魔女の真名を呼ぶ。
真名を呼ぶと淡い紫色の光が俺達を包んだ。
そして、ネアの首に首輪であるチョーカーがつけられる。それをネアは大事そうに触るとそっと俺を見つめる。
そんなネアに俺は愛称を呼ぶのだった。
「ネア」
「うきゅ」
ネアは恥ずかしくなってうつむく。
こうして俺はネアの鎖を手に入れたのだった。
歪で、捻じ曲がった、純粋な愛の鎖を…。
ずっとずっと彼が好きだった。それは昔からだった。
その愛を彼に伝える度に彼はどんどん離れていった。
そんな私の気持ちが爆発して彼に、ライにとびきりの愛を伝えた。
しかし結果は私と交わるどころか、どこか、どこか遠くへ行ってしまった。
そう、私の国から消えてしまったのだ。
好きだったのに、好きでは表現出来ないほどに。
彼がいなくなってから私の国は色がなくなった。
悲しい
辛い
苦しい
ただただそれだけを感じる日常だった。
やがて、私はそれに耐えきれなくなりこの国を新しき魔女に渡した。
そうして私は後顧の憂いなく一人で旅に出た。
愛しの彼を探す旅に。
ライのためならと思うと、ライに会うためならなんだってできた。
例え、同じ魔女を、女神を相手にしても。
例え、レジェンドモンスターが相手でも。
例え、世界が敵になったとしても。
そうして長い旅の上やっと見つけた。
そこは王国だった。
女神が統べる国。
魔女の私にとってはとても部が悪かった。
けれど構わない、彼に会うためなら女神とだって私は戦う。
そうして、この国に入った。そして見た、彼を、ライを。久しぶりに見た彼はとても逞しく強く成長していた。その姿に私はますます惚れた。前の何百倍もかっこよかった。もちろん、昔の彼も愛くるしかった。それでも、今の彼にはまた、違った愛くるしさがあった。そうして、彼に会って我慢ができなくなった。そして、私は魔女の極大究極神空魔法、魔女の庭園を使った。どうしても、もう我慢ができなかったのだ。でもそれは、女神によって壊された。なぜなら、その前に聞いたライの言葉。それが胸に刺さって、痛くて痛くて、辛くてどうしようなくなってしまって、何も考えられなくなってしまったから。そうして、私は狂った。しかしそれはすべて、ライに、愛する人の手によって弾かれてしまった。そうして、崩れ落ちた。何がいけなかったのか。私の愛し方の何がダメだったのか。私にはわからなかった。けれどもう、彼は私を見てくれはしない。だから、せめて彼の手で死ぬことを望み目を瞑った。けれど、何もこなかった。代わりに彼の声が聞こえた。そして、殺されると思っていた私にはありえない言葉が彼から出たきた。私はやり直せれるのか、何度何度も自分に問うた。結果、私はまだ心の中で彼に愛されたかった。だからすがりついた。そして、私はすがった。そして、自然と口が動いていた。ライに、私の真名を教えた。真名を。私にとって真名は生涯誰かに教えてはいけないものなのに。けれど、気づいた頃には遅かった。けれど、目の前の、私の愛する人は、最後には笑顔を見せてくれた。とても優しげな、決して私に向けられることはないと思っていたあの笑顔を。
✩
またまた数年前
我はとある王国のそばに来ていた。百年前もの昔に我の時間は止まった。そうして、なにやることもなく、ただ一人で我を動かしてくれるやつがいないかと帝国と王国をさ迷っていた。そうしてまた一つの王国にたどり着いた。クラッツセイント王国。女神がいなくなった国。ここならなにかあるんじゃないかと、我はしばらくここに住むことに決めた。
「無となった我を、再び闇に染め上げてくれ、王国よ」
そして、我は再び我の時が動き出すことを願って一歩踏み出すのだった。
よお!人間共!久しぶりだな!こんかいはとくといってなにもいうのことはないぞ!なに?12部と13部が短い?いつものことだ!きにするでない!その分ちゃんと水曜日はがんばるから!ゆるしてくださぃぃ!我は一昨日から新しく学校生活がはじまったぞ。皆も新しく何かが始まり始めたのではないか?まぁ、むっちゃきついけどわれは頑張るから皆もがんばるのだ!また不定期でだふことがあるかもしれんが基本水曜日はちゃんとだすから安心せい!では、また今度だ人間共!