滅茶苦茶な魔女の宴のその後
これが先々週のぶんだぁぁ!
※2020/12/15修正しました
「そん、な…」
魔女は座り込んでいた。
目の前に突きつけられたその絶望に…。
周りのクラスメイト達は生きてることを実感してお互いがお互いに抱きしめ合ったりする者もいた。
魔女の襲撃
それすなわち戦争。魔女が王国に来るということはそれを示している。
しかし、いま目の前で座り込んでいる魔女は国を捨てた魔女。
だからといって戦争が起きないわけではない。
魔女が一人、女神が一人いればこの世界の戦争は成り立つのだから。
それほどアリシアと目の前の魔女が持つ力というのは強力であり強大なのだ。
それをほぼ被害を出さずにライは魔女を無力化した。
いや、まだ力をなくしたわけではないが戦意は喪失させた。
それもこの国の女神であるアリシアと力を合わせて。
そのおかげで犠牲者も負傷者も出さずにこの小さな戦争は幕を閉じたのだ。
ライは未だ地に膝をつき絶望している魔女の姿を見て女神装甲化を外した。
黄金の鎧は光の粒子となり空へ消えていった。
そうして丸裸になったライは魔女のところまで歩み寄る。その光景にクラスメイトのみんなやアリシアまでもが息を呑んだ。
魔女をどうするのか、それはアリシアではなくライが決めるんじゃないかというほどの空気が流れていたからだ。
ライは座り込む魔女の前まできて立ち止まり魔女を見下ろす。
そんな魔女は魔女ハットで顔が隠れていて表情が見えなかった。
けれどすぐにどんな表情をしているのかなんてわかった。
「うっ、ぐす、私は、ただライが、ただ好きなだけなのに……ひくっ、う、ぅ、うぇーーーーん!!!」
最初はすすり泣くようにその嗚咽を漏らしていたがやがて子供のように魔女は泣きじゃくる。
体格が体格だから子供のようにも見えた。
さっきまでは大人びた妖艶な雰囲気を醸し出していたのに、今ではすっかり子供の駄々そのものだった。
「ぅ、ぅ、ひぐっ」
やがて魔女は俺にその顔が見えるように、その涙でぐちゃぐちゃになった顔を俺に向け瞳を合わせる。
魔眼
魔女のみが持つ特殊な力。
その恐れがあったが今の俺にはそんなことも忘れて目の前の魔女をどうするかを考えていた。
そうして、魔女の嗚咽から漏れた本音を聞いて俺は結論を出す。
俺はそっと右手にティルフィングを顕現させる。
その姿を見てみんながざわつきはじめる。
殺してしまうのか、と。皆がそう思っていた。
魔女はその濡れた瞳でずっとライを見つめていた。
自分が魔眼を持っていることさえ忘れて。
ただただライにその判断を任せた。
「魔女、俺は絶対にお前を許すことはできない。だが……」
魔女は不思議そうにその顔をかしげる。その顔は涙で濡れてぐちゃぐちゃだ。
それでもライはつづける。
「だが、お前がその罪を償いたいというのならその機会はやる」
「殺さない、の?」
「生きて償って、もう悪いことをしないと誓うなら」
「貴方の、傍にいて、いいの?」
魔女の言葉はたどたどしく弱々しいがそれでもはっきりと聞こえた。
俺はその答えを魔女に教えてやる。
「やっぱりお前は魔女だ。歪で何考えてるか全くわからん。お前のそのやり方が俺は嫌いだ。でも、今のお前ならやり直せれるような気がする。だから、お前が…」
そこでライは一度言葉をくぎる。
改めて魔女をじっと見つめ、続きの言葉を紡いだ。
「お前が俺の妹になっていい子にしてるんだったら俺がお前を守ってやるし愛してもやる。リーナと一緒ぐらいにとはいかないがそれでもいいんならな」
「……」
はい、さすがライクオリティ。
思わぬ所で爆弾発言。
シリアスな雰囲気は一転してぶち壊された。
もはや、何度目かわからないがこれはシスコンなのだろうか?
果たして犯罪者の間違いではないだろうか?
その場にいたクラスメイトとポル先はみんな同じことを考えていた。
そして、流石にこの発言に引いたのか魔女がうつむく。そして、顔を上げて。
「なる!ライに愛してもらえるなら妹になる!」
この魔女も魔女でなにいってくれちゃってるんだか。
引いてたんじゃなくて歓喜に浸ってたらしい。
もう目がキラッキラしてるよ。
アリシアみたくこの魔女も迷いがないよ。
確かに魔女の愛は歪かもしれないけどこれはこれでまた違った意味で歪だよ。
「よし!」
そしてクラスメイトとポル先あわせてその場にいたアリシアを除く全員が勢いよく叫んだ。
「「「「よし!じゃねぇ!!!」」」」