滅茶苦茶なプロローグ
※改正済 R3 5月15日
この世界には神として崇め信仰される者たちがいる。
それが女神と魔女だ。
なぜなら彼女たちは最も神様に近しい存在であり、この世において絶対的な力を持つ者達だからだ。
それ故にその国の人達は国の主たる女神を、魔女を信仰し栄えていった。
ただここでちょっとした問題が…。
この魔女と女神、非常に仲が悪くちょくちょくと戦争をしていた。
それはほんの小さい『いざこざ』から始まるものもあれば大きい理由から対立し、争うことは珍しくなかった。
その小競り合いのような戦争は今からほんの少し前に勇者と呼ばれる者が全ての争いにおいて終止符を打ったのだった。
どう止めたのか、それらが綴られている伝承や文献は何も無いがただそれが確かなことであることに変わりはなかった。
そんな勇者のおかげで魔女と女神はお互いに不干渉になり戦争が起こることなくここ数十年は平和になった日々が続いていた。
そうした平和の中、ここ王国の女神様は闘技場の中心で多数の異形な存在、魔物と戦う一人の少年を見て口元を綻ばせる。
その少年は片手に漆黒の剣を構え目の前の魔物と相対している。
少年が放つオーラは禍々しいとしか例えようがなく、そのオーラに当てられた周りにいる護衛の騎士は剣の柄に手を置き震えているのがわかる。
それでも女神様だけは笑顔でその少年を見つめていた。
魔物が動き出したのとほぼ同時に戦闘は終わった。
それを見守っていた女神様は椅子から飛び降り、颯爽と少年の元へと駆け付けるのだった。
その女神様の後をお付きの騎士たちが慌てて付いて行くのだった。
「やっと見つけた、やっと会えた!私の…!」
そしてまたとある辺境の森で一人。
魔女が夜空を見上げて微笑んでいた。
そんな魔女の手には一匹のカラスが止まっていた。
魔女はそのカラスを優しい手つきでなでる。
まるでどこか遠くにいる人に思いを馳せるように優しい表情でポツリと言葉をこぼす…。
「本当に長かった。でも、ここまで来れた。次は、逃がさないから、ね…」
数十年と守れてきた平和はちょっとずつではあるが、確実にゆっくりと崩れ行くのだった。
アドバイスオナシャス!