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警備員の仕事も終えていよいよ渡米の準備だ。

と言っても大してやることはない。

荷物を整理してマンションを引き払う準備をするくらいだ。

俺個人のもので持っていけないものは全部捨てた。

正確には全部じゃない。写真と音源だけは箱に入れて愛美の妹の住所に送った。

電化製品は買ったばかりだったので売るのも捨てるのももったいないからやっぱり送った。

後は愛美の物を荷造りすれば終わりだ。

簡単な調理器具だけ残して全部片付いた。なに、食事はいざとなったら外食でもいいし、弁当を買ってきてもいい。もう一週間しかないのだから。


ビザの取得はうまくいった。

知り合いの不動産屋に休暇証明書を作ってもらい、友人に送ってもらった飛行機の予約確認書を持って六本木のアメリカ大使館に行った。

あまり汚い格好をしていくと怪しまれるかと思い、ダブルのスーツを着ていった。必要もないのに帽子をかぶり、サングラスもしていた。今考えるとかえって怪しい。

大使館の入り口の警備員に何故か全部英語で話された。

ビザは拍子抜けするほどあっけなく下りた。


六本木と広尾はそれほど遠くない。

警備員として行っていた現場の人達にお別れを言っておきたいと思った。

現場の近くまでタクシーに乗り、一番近いコンビニで降りた。

缶コーヒーを20本くらい買ってお土産にした。それが一番いいと思った。


現場に着くと、最初は皆「誰?」という顔をしていたが、俺だと分かると仕事の手を休めて集まってくれた。

「どうしたの、その格好?」

それが一番の話題だった。

「いや、大使館でビザ取ってきたんで。」

「そうかぁ。もうアメリカ人みたいだな。」

あまり面白くないギャグだが、気持ちは伝わってきた。

お土産の缶コーヒーを置いて現場を後にした。

皆、ありがとう。俺、頑張るよ。


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