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1991年3月30日、ほぼ予定通りの午前9時45分、気持ちよく晴れ上がったロサンゼルス国際空港に飛行機はすべりこむように着陸した。

ロサンゼルスに来るのは初めてではない。

仕事がらみの旅行で一度、プライベートの旅行で一度来たことがある。

今回が三度目ということになるが、今までと決定的に違うのは、今回は帰る予定がないということだ。

マンションも引き払ってきた。整理できるものは全部整理し、持って来られないものは皆人にやってきた。

今の俺の全財産はバックパック一つとポケットにある僅かな金だけだ。

俺ももう26歳、次のチャンスはない。これでダメだったら田舎に帰っておとなしく暮らすつもりだった。

ただ、やってみないまま諦めてしまうのは嫌だった。

何もないゼロからだけど、これからアメリカに住むと決めていた。


「Sightseeing?」

「Yes.」

「How many days?」

「Ten days.」

「OK! Have a nice trip.」

「Thank You.」


ターンテーブルから荷物を受け取り、簡単な入国審査を済ませると、こちら側とあちら側をへだてるドアに向かった。

「この扉を越えたらもう後戻りは出来ない。」

帰りのチケットは一応持っていたが、それを使う気はなかった。

覚悟はできていた。


躊躇なくドアを抜けると、迎えの人達のざわざわとした声が聞こえてきた。

無論俺の迎えではない。

「やっとここまで来た。」

その時はそう思った。

実はそれからが始まりだった。


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