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SILF -Couner Magic Crime Trooperes- [PREVIEW EDITION]

作者: Dolenon
掲載日:2015/10/04

本作はプレビュー版です。

 こことは異なる世界、いつかの時代、どこかの国で――。


 静寂の中で男は最後の時を迎えようとしていた。

「はぁ……はぁ……うぐっ……」

 男の腹部には穴が空き、血液が緩やかに流れていた。

「ちっ……俺もヤキがまわったな」

 一人つぶやき、男は空を見上げる。かつて教会だった廃墟で穴が空いた天井を見上げる。

「正義なんてものは存在しない……あるのは信念のみ……か……」

「そうね……」

 男の言葉に対し女の声が答える。暗闇から姿を現した女は白いワンピースとは不似合いな深紅のオートマチック拳銃〈IAI-JUSTICE-9〉が握りしめられていた。

「……言い残すことはない……やれ……」

 男は諦めたように言う。女は静かに銃口を男へ向ける。

「さよなら……」

 女は別れの言葉を言い、引き金を引いた。


「隊長、起きてください!」

 女――イシマキ・ミカ――の言葉に男――サカガミ・ユウジロウ――は目を覚ます。

「あ、ああ……すまない。状況はどうなってる?」

 ユウジロウは覚醒と同時に手早く装備を点検しながらミカに状況を尋ねる。

「依然として変わらず、銀行占拠から六時間経過した今も牽制で銃を乱射。交渉に応じる気配はないです」

「そうか……」

 ミカからの報告を聞いて、ユウジロウは短機関銃〈IAI-HOUND-45〉に弾倉をセットし、初弾を装填する。

「配置はどうなってる?」

「ローテ・アイン、ローテ・ツヴァイは銀行の裏口にて突入準備完了。ブラウ・アイン、ブラウ・ツヴァイは屋上にて突入準備完了。グルーン・アイン、グルーン・ツヴァイは狙撃地点到達、現在狙撃準備中です」

「わかった……キャストリンクはどうなってる」

 ユウジロウは防弾ヘルメットの側部に取り付けられた小さな端末の電源を入れる。防弾ヘルメットのバイザーには【Welcome to Combat Assistant System Terminal -C.A.S.T- [OS VERSION1.0.3]】の文字が浮かび上がり、続けて【CASTLINK-CONNECT OK】と現れる。

「フェアリー・アイン、フェアリー・ツヴァイからすでに作戦区域一帯のキャストリンク構築完了、並びに警備システムの掌握完了との連絡が来てます」

「わかった」

 ユウジロウは防弾ヘルメットをかぶり、銃の安全装置を解除する。

「キャスト、全隊員に音声通話開始」

 ユウジロウがマイクに向かって言うとバイザーに【CALLING...】の文字が浮かび上がる。

『ローテ・アインです、どうぞ』『ローテ・ツヴァイだよ、どうぞー』『ブラウ・アインだ、どうぞ』『ブラウ・ツヴァイですよ、どうぞ』『グルーン・アイン……どうぞ』

『グルーン・ツヴァイ、いつでもどうぞー』『フェアリー・アインだよお兄ちゃん!』『フェアリー・ツヴァイですわ、どうぞ』『一応隣ですがヘイツ・ツヴァイ、どうぞ』

 しばらくして応答の言葉が骨伝導スピーカーから次々と発せられる。

「こちらヘイツ・アイン。作戦の最終確認だ。ローテ班は合図と共にフラッシュバンを投げ込め」

『ローテ・アイン、了解』『ローテ・ツヴァイ、わかったよー』

「次にブラウ班はフラッシュバンの発光後、ファストロープで降下、犯人を制圧せよ」

『ブラウ・アイン、了解だ』『ブラウ・ツヴァイ、了解ですよ』

「グルーン班は狙撃支援」

『グルーン・アイン……了解』『グルーン・ツヴァイ、了解でーっす』

「フェアリー班は警備システムから犯人の位置をマーキング、全て終わったら連絡をくれ」

『フェアリー・アイン、了解だよ!』『フェアリー・ツヴァイ、すでに終わらせてありますわ』『えー? いつの間に?』『警備システム掌握と同時にですわ姉さん』

 フェアリー・ツヴァイの応答と同時にバイザーには赤い菱形のマークが五つ映し出される。

「はは、仕事が早いな」

『ありがとうございます、隊長』

「ならば三十秒後に突入する。全員気を引き締めろ」

『ローテ・アイン、ヤヴォール』『ローテ・ツヴァイ、ヤヴォール』『ブラウ・アイン、ヤヴォール』『ブラウ・ツヴァイ、ヤヴォール』『グルーン・アイン、ヤヴォール』『グルーン・ツヴァイ、ヤヴォール』『フェアリー・アイン、ヤヴォール』『フェアリー・ツヴァイ、ヤヴォール』

 作戦の最終確認が終わると同時にユウジロウはミカに言う。

「言わなくても分かってると思うが……」

「わかってます、私たちヘイツ班は警察から管轄の移譲」

「よし、行くぞ」


 銀行の前で無数の警官たちがパトカーを盾にリボルバー拳銃〈IAI-PATROL-357〉を構えていた。

「班長! 発砲許可を!」

 警官の一人が声を荒げる。

「まだだ! まだ交渉の最中だ!」

 班長と呼ばれた警官は即座に答える。

「えーっと……ここの指揮は誰が?」

 そこへユウジロウがすっとぼけるような感じで言う。

「私だが君は……」

 班長の警官はユウジロウに答える。

「あー、〔法務局直轄CMCT〕です。現時点を持ってこの事件は法務局の管轄となります、皆さんは即刻退避してください」

 ユウジロウの言葉に対し、班長の警官は言葉の意味を理解し、敬礼をする。

「総員退避! この事件は〔M号〕だ!」

 班長の警官の言葉を理解した警官はすぐに退避を始める。

「あ、あの……〔M号〕とは?」

「バカヤロー! 〔M号〕と言えば魔法犯罪のことだ! 〔M号〕は法務局の管轄だ、俺たちの出る幕はない!」

 状況が理解できない警官はうろたえる。

「な、なぜですか?」

「そんなこと聴く暇があったらとっとと退避するんだバカヤロー!」

 警官たちの退避が終わると同時にユウジロウは合図を出す。

「ブリッツ」

 そしてフラッシュバンの炸裂音と共にガラスの割れる音、銃声。

『ブラウ・アイン、クリアだ』『ブラウ・ツヴァイ、クリアですよ』『ローテ・アイン、犯人の一人が逃走!銃弾が逸らされる!』『ローテ・ツヴァイ、犯人を追跡してるよー! グルーン班、手伝って!』『グルーン・ツヴァイ、犯人を見っけ!』『グルーン・アイン……狙撃』

 銃声が響くと同時にバイザーから目の前の状況が一気に錯綜する。

『グルーン・アイン、命中確認』『グルーン・ツヴァイ、こちらも命中を視認。標的沈黙ぅ!』

「了解……どうやらメインディッシュがこっちに来たな」

「そうですね隊長」

 銀行の正面玄関からは二メートルを越す大男が姿を現す。

「フラッシュバンを素早く察知して脱出した辺り、さすが元ベイク国立兵と言える。だが所詮はM号犯罪者。その上で更正の余地なし。はぁ……やってらんねぇぜ」

 ユウジロウは呆れたと言わんばかりの表情で大男を見る。

「レイグ・シュタット元軍曹、〔魔法使役取締法〕違反のため〔魔法使役可能者特別法〕により射殺する」

 ミカは純白の強化プラスチック製オートマチック拳銃〈IAI-JUDGEMENT-9〉の銃口をレイグに向ける。ユウジロウも〈IAI-JUSTICE-9〉の銃口をレイグに向ける。

「殺るぞ」

 ユウジロウの言葉に合わせて、二人は引き金を引いた。その瞬間、レイグの周囲の地面が陥没。

「情報通りだな。レイグ・シュタット元ベイク国立軍所属の魔法使役部隊所属。階級は軍曹。魔法は重力。だが……俺達が使う対魔力弾の敵じゃないな」

 そして銃弾はレイグの身体を貫く。

「お前の悪より俺達の悪が上回った、それがお前の敗因であり死因だ」

「目標のバイタル停止、作戦完了です」

 ミカの言葉を端に無線から歓喜の声が上がる。

『お疲れさまです』『終わった-!』『皆、本部に戻るまでが任務だ』『それは遠足の鉄則だよ!』『落ち着きたい……』『まぁまぁ、終わったしさっさと引き上げましょう』

「あなたたち、戻ったらデブリーフィングを行いますよ」

 部下の気の抜けように呆れつつ、ユウジロウは死体となったレイグの身体を眺める。

「ん?」

 ふと、右手の掌に文字が刻まれていることにユウジロウは気づいた。

「隊長? どうしました?」

「あ、ああ。こいつを見てくれ」

 ミカはレイグの右手の掌を見る。

「これは……」

「やっかいなウサギの穴だよ」

 そこには【ECLIPSE DAWN】と刻まれていた。

「〔エクリプスドーン〕ってまさか?」

「ああ、例の国際テロ組織の名前だな……にしてもチンケな事件を引き起こしやがって、さぞかし実態はチンケなテロ組織だろうな」

 ユウジロウは悪態をつきながらヘルメットに取り付けられているカメラをを向ける。バイザーにはカメラからの映像が映し出される。

「キャスト、写真を撮る」

 シャッター音が小さく鳴り響いたのち、バイザーに【Photo send...】と表示される。

「隊長、今後はフェアリー班にエクリプスドーンの情報を収集させますか?」

「そうだな、これまでこの国でエクリプスドーンが活動した記録はなかった。悪い予感がするな」

 ユウジロウとミカは【ECLIPSE DAWN】の文字に新たな事件の予感を感じながら現場をあとにする。


 事件現場から数キロ離れた廃ビルの一室で若い女が現場を眺めていた。

「まずは挨拶……です、今回こそ私を殺して下さいね……お兄ちゃん……」

 女の左手の甲には【LOOP 10】と黒のマーカーペンで書かれてた。そして折りたたみ式の古い携帯電話で仲間に伝える。

「二週間後、帝国に宣戦布告するわ。作戦名は夜明けの産声」

 そう伝えたのち、女の身体は一瞬で消える。


 魔法という存在が一般に認知されたこの世界。魔法を使えるのはごく少数。各国は魔法を使える者を管理する法を整備していた。それはヤマト帝国も例外ではなかった。そうした者達は〔魔法使役者〕と呼ばれ、〔魔法使役取締法〕に基づき法務局が管理している。だが魔法を犯罪に使用する者も存在する。それらに対し法務局は、〔対魔法犯罪鎮圧部隊〕を設立。

 これは対魔法犯罪鎮圧部隊三番隊〔SILF〕の戦い。

SILFを大幅改変!

の試作版です。

もう架空の国、架空の世界の方が描きやすいので試しに書いてみました。

やりたい放題でごめんちゃい。

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