希望の光2
純香は焦っていた。今いるのは、学校の実習室。今日提出だったレポートをすっかり忘れていた純香は、必死にペンを走らせていた。教室の時計は5時を示している。純香は、文を一行書くたびに時計を見た。時間がとてつもなく早く感じた。不思議なものだ。授業中は遅いとしか感じたことのない針が、今は早送りになっているんじゃないかと、疑ってしまうほどだ。
純香がレポートを書き終え提出したのは、5時45分だ。純香はコートのボタンをとめずにはおり、カバンを手に取ると、猛スピードで階段を下った。
頭には不安しかなかった。もしかしたら、立見は帰ってしまっているかもしれない。昨日待っていたのは5時からだ。確信をもって立見を待つことができていた。しかし、時刻は6時前。サラリーマンの退社時刻が分からない純香は、急いであの公園に向かった。長時間でも待つ覚悟はあるが、帰ってしまった人を待っていた自分を想像すると、滑稽で仕方なかった。
そもそも相手は、自分の好意すら伝わらなかった男性。帰り道を避けている可能性もある。それでも純香は走り続けた。
大学から公園まで徒歩15分。走れば10分以内には着く距離だ。走り続けている純香の足は、悲鳴を上げていた。ヒールが地面につくたびに、小指に激痛が走る。やっとのことで、公園の入り口が見えてきた。
「……!!」
純香はある光を見つける。暗闇の中に、ぼうっと白く浮かぶほどの光だ。純香は何も考えず、その光に向かって足を進める。
「立見さん!?」
そこにいたのは立見だった。