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勇者と魔剣

私は今……非常に興奮している


何故かって?


それはそうだろう。


何せ……




魔王城にいるんだから!!!!




勇者はついに……魔大陸へと進行していた。

何年も……何十年もの間、未踏の地とされてきたこの魔大陸に、私は今勇者の後をつけて上陸していた。

トイフェル山脈を越えた、魔大陸。

魔王が従えた魔物が跋扈する大陸。

そこから超えてくる魔物に日々震えて生活していた。

トイフェル山脈に蔓延る魔物達が強すぎるために、進行することすらも出来なかった魔大陸だったが……。


案外普通だね~。つまらんなぁ


地形として北に位置するので当然寒いのだが……言ってしまえばそれだけだった。

もっとおどろおどろしいというか、本当に魔物が跋扈して少しでも歩けばエンカウント、とかではなさそうだった。

が、それでもそれなりに魔物とは出くわして勇者はそのたびに魔物を撲殺していた。

食料庫らしきところに似合った食料で食えそうな物を、嗅覚でかぎ分けて酒と食料をすでに奪取しており、私はそれを呑みつつ食べながら勇者の後をつける。


胃腸が丈夫じゃないと、報告官なんてやってられないぜ?


ついでに言えば酒とうまい肴も必須。

……話がそれてしまった。

強さにはもはや疑いようもないが、少し気になった点も出てきた。

というよりも、前々から思っていた事がなおさら不思議に思えた。


勇者……素手の方が強いんじゃないんかね?


と思ったのだ。

確かにひのきの棒(?)は強い武器に分類されるのかも知れない。

だが、いくらひのきの棒が、ひのきの棒(?)になったとはいえ元はただの木の棒なのだ。

それを腕力で振るって魔物を倒せるのだから……素手の方が強いのではなかろうか?

と考えるが考えても仕方がないので、私は勇者の後をつける。

そうして疑問に思いつつも、何度か魔物を撃退し野宿をして、ついに魔王城へとたどり着いたのが私と勇者だった。

魔王城は今までの自然しかない大地とは違って明らかに人工的に作られた者だった。


魔物が作ったから人工的ってのはおかしいか?


ちなみにその魔王城の門番とでも言うべき巨大なゴーレムは勇者に木っ端みじんに吹っ飛ばされてました。


まぁドラゴン倒したしね~


それにしたって……門番よわっ!?


と思ってしまった。

まぁ私では手も足も出ないだろうが。


と……思っていたんだが……




少し驚く……というよりも、意外な事を目にすることになった。




それはずんずんと適当に魔王城を進んでいた勇者が宝物庫らしき……というか完全宝物庫へと迷い込んだときのこと。


……なんだこれ?


すんげ~禍々しい気配を纏った剣やら防具やらが所狭しと並べられているところだった。

所狭しと言っても雑然とはしていない。

きちんと整頓されている。

が、量が以上。


千は下るんじゃないか?


あらゆる武器類、防具の類があった。

剣、槍、斧、棍棒、弓、杖……といった全ての武器があり、それら全てが全部異様な気配を纏っていた。

防具の方に隠れているので勇者から目を離さないようにしながら防具を見ているのだが……


あ~すげ~怖い


なんか纏ってます。

すげ~オーラを感じます。

絶対に装着したら何か災いが起こる類ですね。


と、思っていたら……




「ふん!」




なんでか宝物庫をうろついていた勇者が突然、剣の棚の前で止まったと思うと……そんな気合いのこもった声を上げて、剣を叩き割り出した。


バキン!


という、金属が割れる音が響いて一本の剣が割れた。

それを皮切りに次々と、次々と剣を割っていく。




※ちなみに二人とも知らないことだが、ここにある剣はレーヴァテインだとか、グラムだとか、バルムンク、ティルヴィング……といった世界に名だたる魔剣が鎮座していた




え~すげ~貴重な剣だろ?


それこそ一本でも持って帰ればかなり高額になりそうな気がする。

といっても、オーラが禍々しすぎて持つに持てないことは間違いないが。

というよりも驚いたのは、戦闘中でも余り感情を表さない勇者が……


「ふん!」


「せい!」


「どりゃぁぁぁ!」


と、気迫に満ちた声を上げながら剣を壊していた。

そこには確かな憎しみと……欲求を感じた。


なんだ?


それがわからず、勇者は剣を破壊し尽くす。


「ふぅぅぅぅ~いい仕事したぁ~」


いや、違うだろ!? っていまさらだな!


普通に考えて普通の剣では絶対に破壊できない物を、まるで硝子でも割るかのように破壊していく姿はまさに痛快だった。

しかもそれが貴重な品だと考えればなおさらである。


実に見ていて飽きないなこいつは!


しかも最後の捨て台詞が強烈だった。




「はっ、これだから見かけだけの剣は」




何故か高らかに、そう宣言していた。


いや……絶対に見かけだけじゃないって!?


勇者が手にしているひのきの棒(?)が絶対におかしい。

千人中、千人がそう答えてくれること間違いなし。


まぁでもこいつなら素手でも破壊しそうだけど……


実際に勇者が魔剣とか装備したらどうなるんだろう?

暗黒騎士になって終わりなんかね?


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