新しい牢活
「セドリック・アーム、年齢は十六歳。アーム公爵家の次男。罪状は村の焼き討ち三件――いずれもネブラ教への改宗を目的として行った。これで間違いないか?」
殺風景な暗い部屋。見慣れた景色にすら飽きがくるほどの閉塞感の中、尋問官が低い声でそう告げた。
「いいえ、いくつか事実誤認がありますので訂正させてください」
「聞こうか」
「まず、僕は村の“焼き討ち”などしていません。ネブラ様に救われるよう、彼らを悪魔から解放しただけです。それから――」
「あー、分かった分かった。もう結構だ」
僕がヴァイルに汚染された人々を、いかにして救ったかを語ろうとした瞬間、尋問官に遮られた。
「お前の供述は理解した。裁判の必要もないと俺が判断する」
彼は独り言のように何やらブツブツ言い、しばらくしてから満足げな表情で僕の腕をつかむ。
「処罰は後で伝える。一旦、牢に入ってもらおう」
そうして歩かされ、鉄格子の影が視界に入った瞬間、僕は絶望のどん底に突き落とされた。理由は三つある。
まず――臭い。ここまで漂ってくるほど強烈だ。
次に――一目で分かるほど物騒な面構えの連中。昔遭遇した野盗団と同等か、それ以上の凶暴さが肌で分かる。
そして最後に――真ん中のソフトモヒカンの黒人が手を叩くと、鉄格子の中の全員が一斉にこちらを向いたことだ。あまりにも統率が取れすぎていて、ただの囚人には見えない。
ああ、ネブラ様。どうか僕をお救いください――。