遭遇
セドと離れて、私たちは第一出口を目指す。
はっきり言って、セドが一番危険な役回りを買って出たことに対し、成長を感じて喜ばしいと思う自分もいる。だが、それ以上に拭いきれない不安が付きまとっていた。
「おいおい、随分と不安そうな顔をしてるな。まるで我が子を心配する親みたいな顔だぜ」
「黙れ。貴様のような男に、セドの……私の何が分かるというんだ」
「悪かったって、そんなに怒るなよ。俺とお前の仲じゃねぇか」
ヘラヘラと適当な口調で話しかけてくるこの男には、殺意すら湧いてくる。
だが、厄介なことにこいつはこの脱獄における重要人物であり、囚人たちの中心だ。ここで一悶着起こすわけにもいかない。
私は軽く睨み返すことで、怒りだけを伝えるに留めた。
男は睨まれていることに気づいたのか、両の手を合わせてヒラヒラと動かし始めた。
謝っているつもりなのだろうか。神経を逆撫でされるような不快感に、思わず顔をしかめる。
それを見た男はニッと笑みを浮かべ、そのまま第一出口へと歩き始めた。
その反応で、確信した。こいつは私を煽っているのだ。
沸騰しそうなほどの憤慨が胸を焼く。
世界が、あまりに暑くてたまらなかった。
――だが。
ある「男」を目にした瞬間、世界が芯から凍りついたような錯覚に陥った。
それは私だけではない。周囲の囚人たちも同様だった。
あれと最初に対面するということは、ほぼ100%の死を意味する。
第一出口の前で、胡座をかいて座り込んでいた大男。
その男――モーランの瞳が、鋭く私たちを捉えた。
デリックが咄嗟に音爆弾を取り出す。
囚人たちが、震える手で武器を構える。
「少し俺と話そうぜ。デリック」
目の前の集団を、脅威とも何とも感じていない――。
そんな、あまりに呑気な提案が、静まり返った廊下に響き渡った。




