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宗狂の教え  作者: 真水
1章 牢獄編
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遭遇

セドと離れて、私たちは第一出口を目指す。

はっきり言って、セドが一番危険な役回りを買って出たことに対し、成長を感じて喜ばしいと思う自分もいる。だが、それ以上に拭いきれない不安が付きまとっていた。

「おいおい、随分と不安そうな顔をしてるな。まるで我が子を心配する親みたいな顔だぜ」

「黙れ。貴様のような男に、セドの……私の何が分かるというんだ」

「悪かったって、そんなに怒るなよ。俺とお前の仲じゃねぇか」

ヘラヘラと適当な口調で話しかけてくるこの男には、殺意すら湧いてくる。

だが、厄介なことにこいつはこの脱獄における重要人物であり、囚人たちの中心だ。ここで一悶着起こすわけにもいかない。

私は軽く睨み返すことで、怒りだけを伝えるに留めた。

男は睨まれていることに気づいたのか、両の手を合わせてヒラヒラと動かし始めた。

謝っているつもりなのだろうか。神経を逆撫でされるような不快感に、思わず顔をしかめる。

それを見た男はニッと笑みを浮かべ、そのまま第一出口へと歩き始めた。

その反応で、確信した。こいつは私を煽っているのだ。

沸騰しそうなほどの憤慨が胸を焼く。

世界が、あまりに暑くてたまらなかった。

――だが。

ある「男」を目にした瞬間、世界が芯から凍りついたような錯覚に陥った。

それは私だけではない。周囲の囚人たちも同様だった。

あれと最初に対面するということは、ほぼ100%の死を意味する。

第一出口の前で、胡座をかいて座り込んでいた大男。

その男――モーランの瞳が、鋭く私たちを捉えた。

デリックが咄嗟に音爆弾を取り出す。

囚人たちが、震える手で武器を構える。

「少し俺と話そうぜ。デリック」

目の前の集団を、脅威とも何とも感じていない――。

そんな、あまりに呑気な提案が、静まり返った廊下に響き渡った。

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