作戦会議
「じゃあ、改めて作戦会議を練るとしよう。」
デリックの言葉を合図に、全員が牢獄の地図へと視線を落とす。
この場に集められたのは、デリックが有能と認めた9人だけだった。
僕、ガロス、ルシアン、ラグ、デリック、カルト、エルマン、ゼファー、クルス。
カルトとエルマンは、かつて各地の戦場を渡り歩いた傭兵だということだ。
ゼファーは小道具作りに長け、クルスは鍵開けや登攀を得意としているらしい。
残りの囚人、40名ほどには作戦を伝えず、そのまま逃がすつもりらしい。
理由を尋ねると、デリックはこう言った――この牢獄の看守の中には、本当に人間かどうか怪しい奴がいる、と。
名はモーラン。
大剣を片手で振るい、受け止められぬ非力な者は容易く真っ二つにされる。
空いた片手でナイフを操り、接近戦にも対応できるうえ、距離を取れば投げナイフが飛んでくる。
伝え聞く限りでは、まさしく化け物だ。
なぜそこまで知っているのかを問うと、デリックは淡々と答えた。
「俺はあいつと戦って敗れ、この牢に放り込まれた。」
デリックは言う。モーランに立ち向かえば、全滅は免れない。だから先に囚人を逃がし、モーランの気を引かせて、その隙に我々だけが脱獄する――と。
だが、同じネブラ教徒の仲間を囮にして見捨てるなど、ネブラ様が許すはずもない。
いや、ネブラ様を口実にせずとも、僕自身が受け入れられなかった。
ヴァイルと戦い抜いてきた同志を犠牲にしてまで、生き延びるなど――。
しかし、皆がこの作戦に納得している空気の中で、必ず生還できるだろう策を自分一人が否定してよいのか。
心が揺らいだ、その時。
「セドリックさん? 何か言いたいことでもあるんですか〜? 言っちゃえばいいのに、セドリックさんらしくないなぁ。」
ラグの声に、僕の中で何かが弾けた。
……僕は頭がおかしくなっていたのだろうか?
自分の意見を殺すだけならともかく、ネブラ様を信じる仲間を見殺しにする計画を、黙認しようとしたなんて。
そんなものは、ネブラ様の望むところではない。
作戦を壊し、場をかき乱す覚悟をもって、僕は口を開いた。
「そのモーランって男――僕たちで、殺しませんか?」




