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宗狂の教え  作者: 真水
1章 牢獄編
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作戦会議

「じゃあ、改めて作戦会議を練るとしよう。」

デリックの言葉を合図に、全員が牢獄の地図へと視線を落とす。

この場に集められたのは、デリックが有能と認めた9人だけだった。


僕、ガロス、ルシアン、ラグ、デリック、カルト、エルマン、ゼファー、クルス。


カルトとエルマンは、かつて各地の戦場を渡り歩いた傭兵だということだ。

ゼファーは小道具作りに長け、クルスは鍵開けや登攀を得意としているらしい。


残りの囚人、40名ほどには作戦を伝えず、そのまま逃がすつもりらしい。

理由を尋ねると、デリックはこう言った――この牢獄の看守の中には、本当に人間かどうか怪しい奴がいる、と。


名はモーラン。

大剣を片手で振るい、受け止められぬ非力な者は容易く真っ二つにされる。

空いた片手でナイフを操り、接近戦にも対応できるうえ、距離を取れば投げナイフが飛んでくる。

伝え聞く限りでは、まさしく化け物だ。


なぜそこまで知っているのかを問うと、デリックは淡々と答えた。

「俺はあいつと戦って敗れ、この牢に放り込まれた。」


デリックは言う。モーランに立ち向かえば、全滅は免れない。だから先に囚人を逃がし、モーランの気を引かせて、その隙に我々だけが脱獄する――と。


だが、同じネブラ教徒の仲間を囮にして見捨てるなど、ネブラ様が許すはずもない。

いや、ネブラ様を口実にせずとも、僕自身が受け入れられなかった。

ヴァイルと戦い抜いてきた同志を犠牲にしてまで、生き延びるなど――。


しかし、皆がこの作戦に納得している空気の中で、必ず生還できるだろう策を自分一人が否定してよいのか。

心が揺らいだ、その時。


「セドリックさん? 何か言いたいことでもあるんですか〜? 言っちゃえばいいのに、セドリックさんらしくないなぁ。」

ラグの声に、僕の中で何かが弾けた。


……僕は頭がおかしくなっていたのだろうか?

自分の意見を殺すだけならともかく、ネブラ様を信じる仲間を見殺しにする計画を、黙認しようとしたなんて。

そんなものは、ネブラ様の望むところではない。


作戦を壊し、場をかき乱す覚悟をもって、僕は口を開いた。


「そのモーランって男――僕たちで、殺しませんか?」

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