最後の従者を迎える時
僕とルシアンとガロスは時間差でこの牢に入れられた。
おそらく、ラグもそろそろ来るだろう。
捕まった経緯を互いに話し合いながら、ラグがどの程度で牢に現れるかを推測していたとき、ルシアンが口を開いた。
「そのラグってやつが、捕まらないくらい優秀って可能性はないのかい?」
「それはありません。ラグが捕まらない確率より、天変地異が起こる確率の方が高いです」
「身内にずいぶん厳しいね、セドリック君」
「身内だからこそ、よく分かるんですよ」
そう説明しようとしたところで、デリックが唐突に言った。
「じゃあラグを迎えに行ってやろう」
「迎えに行くってどういうことだ?」ルシアンが問い返す。
「決まってるだろ。牢の出入り口で一斉に待機だ」
その言葉を聞いた瞬間、僕はピンときた。――初めてここに来たとき、こいつに泣かされかけたことを。
「あれ、すっごく怖かったんですからね、デリックさん」
僕がぼそりと呟くと、デリックは「悪かったって」と頭を掻きながら返してくる。
確かにもう過ぎたことだし、僕は器の小さい人間じゃない。
けれど、あの恐怖を味あわせておきながらお咎めなしというのも癪に障る。後ほど、何かしらで仕返ししてやろうと心に決める。
「まさかセドが“怖い”なんて言葉を知ってるとは思わなかった。私は少し興味があるな、それ」
ルシアンが愉快そうに笑う。
それをきっかけに、僕らはラグを迎える準備を整えることにした。適当に囚人を引き連れ、牢の出入り口に向かう。
途中のトンネルで、デリックを転ばしてやろうと企んだが、逆に転ばされ、膝の痛みがじわじわと脳に届くころ――二人分の足音が響いてきた。
おそらくラグだろう。僕たちはデリックの合図を待つ。
パンッ、と静寂を破る音が響いた瞬間、全員が一斉に音の方を見た。
そこには、不気味な笑みを浮かべたラグが立っていた。
だがすぐにその顔は豹変し、生まれたての子犬のように目を輝かせ、僕のもとへ駆け寄ってくる。
「セドリックさ〜ん!!! お久しぶりです!!!」
「久しぶりだな、ラグ」




