最後の従者
くっそ、くそ、くそがぁぁ……!
なんで捕まったんだよ、セドリックさん。ずっと俺を楽しませてくれるって言ったのに……。
俺はセドリックさんと共に暴れた日々を思い出す。
村を焼いた夜、スラムで無双した昼――あの愉快な時間を思い返し、思わず口元が緩んだ。
だが、すぐに現実を思い出す。
セドリックさんは捕まってしまった。その事実が胸を締め付け、悲しみが押し寄せる。
ふと隣を見ると、幸せそうに笑い合いながら歩く男女の姿。
俺は幸せじゃないのに……なんでこいつらだけ幸せそうな顔をしていやがる?
気づけば俺の手は勝手に動いていた。
ナイフが閃き、二人の首を貫く。
「あ……」しまった。二人とも殺してしまった。
どちらか一人を生かしておけば、片方は悲しみに沈んだ顔を見せてくれただろうに。
――ピピィ。
笛の音が耳をつんざく。
「チッ……」
どいつもこいつも俺の神経を逆撫でする。ムカつく、イラつく……全員ぶっ殺してやる!
音の方を見ると、自警団らしき若い男が三人。真ん中の大柄な男めがけて、俺はナイフを投げつけると同時に路地裏へ駆け込んだ。
壁の突起を掴み、そのまま軽やかに登って屋根上へ。
自警団の様子を見下ろすと、ナイフを受けた大男は脳髄を地面に垂らしながら立っている。だが、残りの二人の姿が見当たらない。
「……?」
次の瞬間、耳元で風を切る音。
瓦に突き刺さる矢――クロスボウか!
死んだ男の直線上からの射撃……。
射線を切るために反対側へ移動した瞬間、俺は絶句した。
音もなく動いていやがる……この地域の自警団、優秀すぎだろ……!
結局、俺はあっけなく逮捕され、そのまま牢へと搬送された。
「どうせ死ぬなら、最後にもっと暴れておけばよかったな……」
そんな後悔を抱えながら留置所の廊下を歩いていると、鉄格子の向こうにソフトモヒカンの黒人を見つけた。
そいつが手を叩いた瞬間、囚人たちが一斉にこちらを振り返る。
「……へへっ。まだ面白そうなのがいそうじゃねぇか」
口角が自然と吊り上がる。
だが次の瞬間、俺は凍りついた。
囚人の中に――金髪を首まで伸ばし、イかれた目をした背丈160ほどの少年を見つけたのだ。
「……!」
俺はこの世の全てに感謝した。
「セドリックさ〜ん!! お久しぶりです!!!」




