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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第七話 二日目

 翌朝、風車の格さんが舞湖を訪ねてきた。北町奉行所へ一緒に行ってほしいと言う。顔が結構焦っているけど何があったのだろう?


「格さん。承知しました。お世話になっている身ですので出来ることはいたしますが、急ですね?」


 ちょっと変なので思い切って聞いてみた。ちなみに朝ごはんは済ませた。パン派の舞湖だが、朝ごはんは色の黒い米と薄い汁と漬物だった。ちょっとこれは何とかしたいと思っていたところに格が現れたのだ。


「へえ、中村の旦那からなんで詳しくはわからないのですが、水野様にとって一大事とか」


 一大事って今、このわけのわからないところにいるのが一大事なんですよ。これ以上の事ってあります?って言いたいところだけどこの人達にはわからないと気を取り直します。朝、パンが食べれないのも一大事、トイレが汚いのも一大事。朝シャンもできないってでもそういうことではないのよね。




 というわけで借りた着物を着て北町奉行所へ向かいました。ちょうど探検というか探索をしたかったので嬉しくもあります。医療所を出ると長屋がありました。井戸も見えます。ここらの水は飲めそうです。少し北に歩くと小さな川がありました。小石が多いので昨日見た小石川ではなどと思いつつ川沿いに上流へ歩いていきます。この方向は巣鴨とか板橋へ向かってる?なんせ現代の面影は皆無で知っている目印もありません。途中に立派なお屋敷がありました。目印として覚えます。


 格さんは途中で右に曲がりました。坂を登ります。そうなんです。御茶ノ水界隈は坂が多いのです。登ったり降ったりってあれ?もしかして知っているところを歩いている?10分ほど歩くと古ぼけた神社がありました。神社の後ろが坂になっていて坂の下を見ると大きな湖が!


「えっ!湖!じゃあない、池だ。もしかして不忍池?」


 その声を聞いた格さんが、


「そうです。記憶が戻られたのですか?」


 舞湖は焦った。本当に不忍池なのか、という思いと嘘がバレそうになったのと脳みそ混乱中です。てことは、この神社が湯島天神なの?建物がなければここから池が見えても不思議ではありません。


「ホ、ホエッ、マジですか。あ、いえ、何でもありません。不忍池か、あははははは」


 笑って誤魔化すが格さんの目は真剣だった。どうやら本当に一大事のようだ。北町奉行所は湯島天神から北へ曲がり少し戻ったところにあった。何でまっすぐ行かないのか、遠回りじゃんと思う。本郷くらいまで戻った気がするし。でも道がなかったか。さっきのより小さいお屋敷がずらっと並んでたしわざとそういう作りになっているのだろう。そういえば戦国時代の城下町は防壁の役目もしてると本で読んだ気がする。でも奉行所護るのも変だけど。


 ここは東大の裏辺りではないだろうか?もしかして奉行所が東大になったとか?それはそれで面白い。なんてまたまた変な事を考えていると奉行所の入り口で中村の旦那に声をかけられた。


「お待ちしておりました。まずは新奉行にご挨拶を」


 お奉行様かあ、この桜吹雪に………、なんて言われてみたい。でもお奉行様が何の用なのだろう?





 舞湖はなぜかお白洲の場にいた。汚いござに座らせれている。周りには同心が立っていて中村の旦那もその中にいた。私なんか悪いことしたっけ?記憶を無くしたって嘘ついたのがこんなに大騒ぎに。これって鞭打ちの系とか市中引き回しの上何とかとかやばいやつ???

 舞湖は改めて怖くなった。冷静に考えてみよう。そもそも何でこんなに私はこの世界に順応しているんだ。突然江戸のような変な時代劇みたいなところへ放り込まれて、夢かと思ったら違うし。普通怯えるとか泣き喚くとかするんじゃあないの、か弱い健気女子中学生何んですよ、私は。


 まだこの世界か時代かわからないけど、ここにきて二日目だ。昨日も爆睡しちゃったし冷静すぎる。こんな子だったっけ、私。何か憑依とかしてない?


 舞湖はぶつぶつ小さな声で独り言を言っていたようで、中村の旦那がゴホン、と咳払いをしたので気づいたら中村の旦那の目は大丈夫だから安心しろ、と言っているように見える。格さんのいうように人のいいおっちゃんなんだろう、出世できないタイプ。

 その横に立っている若い男、建物に近い方が上座だとすると中村の旦那の上司なのかな?そいつは人の悪そうな顔をしていて舞湖を睨んでいる。


 こいつ絶対嫌な奴だ。上にはヘコヘコ、下には厳しく理不尽。よくドラマで見る典型的なのだ。舞湖は見た目だけで勝手に決めつけていた。


「お奉行様の おなーーーりーーー」


 キタキタ。こういう時は頭を下げて出迎えるのよね。舞湖は地面におでこがつく寸前まで頭を下げて待った。



 んん、まだかよ、なげーよ。舞湖は疲れてきた。あれ、なんか間違えたかな?恐る恐るゆっくりと頭を上げてチラ見するとお奉行様が目の前で舞湖を凝視していた。


「ヒ、ヒエーーー!」


 舞湖はつい声を出してのけぞってしまう。それをみたお奉行様は、笑いながら縁を登り用意されていた座布団らしきものに座った。そして優しい声で話しかけてきた。


「其方が水野舞湖か?」



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