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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第四十八話  多摩川

 翌日、幸に旅支度を命じてから玉井を連れて多摩川へ向かいました。旅行とは逆方向ですが長旅になるから支度に2日かかるというのでその間に下見です。弥七には伊達家の鈴木に申し送りをさせています。弥七は江戸川橋から水道橋の間の管理を担当しています。水の監視は重要な業務なので旅の間、信用がある鈴木に任せる事にしました。玉井はというと監視人の新人教育を担当していてそれは中村に申し送り済みです。監視人はもっと増やして教育しておかないとこの先困る事になるので手を抜けないのです。


 伊達家の片倉は舞湖から善福寺川と舞湖が呼んでいる湧水からできた池から溢れている水を神田川へ合流させるよう指示されて、早速工事にかかっています。神田浄水は末端まで十分な水量が確保できませんでした。その状態だと上流の大名が水を汲みすぎると下流に水が届かなくなってしまいます。それでは民が住み着かないでしょう。


 それには江戸川に流れる水を増やすしかありません。江戸川橋の堰の高さまで水が行かないと水道橋まで水が届きませんし、そこで変な操作をすると下流の神田川の水が足りなくなってしまい水運が滞ります。舞湖は片倉を信用して工事を任せました。片倉は、


「お任せください。伊達家が責任を持って新たな川を作り水量を増やします。ごゆっくり休暇をお過ごしください」


 と、相変わらず下手に出て舞湖を送り出したのだった。舞湖は休暇が終わるまでに間に合うとは思えないので安心している。





 舞湖はシロに乗って最近街道として整備された多分未来は甲州街道となるであろう甲斐街道をと呼ばれている比較的いい道を走っています。馬に乗る事途中休息を挟みましたが約2時間、街道は多摩川にぶつかりました。多分立川に辺りですね。玉井は、


「舞湖様、これは立派な川ですね。ここから水を引けば水の心配は無くなりますね」


 そう思うよね。ここから水を引きたくなるよね。でもそれじゃうまくいかないって歴史が言ってるのです。舞湖は玉川先生のご先祖様が作った玉川上水の苦労を知っています。知らなかったら同じ失敗をしたでしょう。


「玉井さん。ここでは駄目なの。でも普通ここを選ぶよね、近いし」


 玉井は舞湖が何を言っているのかわからなかった。近いのなら工事は楽だ。なぜ駄目なのか?ただ舞湖がいうのだから駄目なのだろう。舞湖はどう説明したらいいかわからなかった。実際に工事計画を若様に説明するときも揉めそうだ。わざわざ遠くから持ってくるなんて費用も時間もかかるし、どう信じてもらおう?


 舞湖が言えば若様は信じてはくれるだろうが、費用を負担する人達はどうだろう?もっと信じてくれる人を増やさないと先々は上手くいかないかもしれない。そもそも今までが上手くいき過ぎていると舞湖は思っている。休暇になって初めて気がついた事だ。


「休暇って振り返ったり自分を見つめ直したりできるからいいものだね」


「舞湖様は忙しくずっと前を向かれて働いておられました。上様がご心配されて休暇をご指示くださるなんて普通ないですから。私達の自慢の上役です」


 えっ、そうお。なんか嬉しくなっちゃう。玉井もなんかウルウルしている。馬から降りて河原を歩いていると地元の子供達が魚を獲っていた。10歳から15歳くらいだろうか。今日のお付きは玉井一人だ。玉井が危険がないか周囲を監視しているが、ここは徳川家の領地なので実は隠れた護衛が付いている。その護衛が子供達の邪魔をしようとした。正確には舞湖が近づこうとしたので安全にために動いたのだが、


「あっ、そこの人。お役目お疲れ様です。ちょっと話をするだけなので大丈夫ですよ」


 そういうと、中年のお侍さんが2人、辞儀をして子供に何か言ってから下がっていった。玉井は、


「あれっていつからいたんでしょうね?」


 と考えてみれば舞湖様を自分一人でというのはないな、と今更ながら気づいた。


「多分上様ね。行き先はさっちゃんに言ってあるからそこから格さんで、そこからお奉行様で」


 玉井は護衛に気が付いていなかったようだ。舞湖はなんとなくそうじゃないかなと思っていたので驚かなかったのです。護衛が去った後子供達を見ると魚獲りをやめて舞湖を見ている。


「あっごめんなさい。お仕事の邪魔をしてしまいましたか?」


 舞湖が話しかけるとリーダー格と思われる同い年くらいの男が跪き、


「お役人様。おいら達はこの先の日野村の者です。何か御用でしょうか?」


 そうそう、礼儀というかしっかりしている。なんか仕事ができそうな感じがする。いいねえ、こういう若者ってなんで上から目線?なんか説教おじさんみたいになってんじゃん。どうもこの世界に来てからおかしい。元はこんなんじゃ無かったんですよ、信じてください!奥さん!




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