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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第四十六話 黒雲

 結局、町民が住んでいる地域の井戸には十分な水が届かなかった。舞湖は大江戸城に呼ばれた。


「舞湖殿、神田浄水の工事、見事であった。こんなに早く飲み水の問題が解決できるとは思わなんだぞ、褒めてつかわす」


「上様。お褒めいただきありがとうございます。と言いたいところなのですが」


 ここにいるのは上様こと徳川秀長、若様こと徳川秀光、北町奉行の遠山銀四郎、それと舞湖の4人だ。


「うむ、井戸の水の事だな。遠山から聞いておる。だがな舞湖、神田川を水運で使えるようにしたであろう。それがなければ全てに井戸に水は周った。水の出ない井戸はまだこれから民が住むところだし、すぐに影響はない。それにお主の事だ。次の手を考えておるのであろう?」


 秀光が驚いた顔をしている。秀光は100点満点だと思っていたのです。舞湖は神田川の堰を壊して大川から舟が登れるようにしてくれています。水道橋も舟が下を通れるように隙間を開けてありますし船着場もできてすでに運送も始まっています。大江戸の飲み水も神田浄水だけでほぼ賄えているのです。確かにこれからもっと人口を増やしていくのでいずれは足らなくなるでしょうが舞湖といい父上といい、不満なのか?


「はい。今の水の無い井戸に水を送るのは一月もあればできます。すでに水の当てはつけてありますし、伊達様からお借りしている人達に工事も指示してありますので。問題はこの後です。大江戸の人口を100万人にするとお聞きしています」


「そうだ。何年かかるかはわからんが20年はかかるまい。それには舞湖の飲み水だけでなく人の住むところを作らないとならん。遠山、そっちの見込みは?」


 遠山の銀さんは以前、舞湖の上司?だった川久保を連れていった。舞湖の薄ーい記憶で説明した川の移動工事だ。幕府は大江戸湾に流れ込んでいた利根川を九十九里の方へ向きを変える工事に着手していた。そしてその工事が進むに連れて大江戸湾に流れ込む水が減っていっている。ここでは大川と呼ばれている隅田川も神田川の水を流し込めるようになっているし、きっと工事は上手くいっているのだろうと思っている。


「はい。利根川と舞湖が呼んでいる川ですが常盤川と繋ぐことができました。その先の工事は結城様がご担当なので」


「兄上か。わかった、それで?」


 結城って人が兄上なんだ。将軍の兄なのに姓が違うって事は婿養子か何かかな?あんまり歴史は詳しくないからわかりません。お父さんならわかるだろうけど。舞湖は時代劇と大河ドラマで見たことくらいしか知らないのです。遠山は話を続けました。


「舞湖が荒川と呼んでいる川ですが、地元の連中も荒川と呼んでいます。荒ぶる川から来ているそうですが、こちらは川久保の作る堤防という氾濫防止の工事とともに流路を変えていますがまだまだ時間がかかりそうです」


「早く民の住める土地を作らねばならん。それには水が減った土地を埋め立てて町を広げるしか無い」


 舞湖はまだこの時代の荒川までは行ったことがない。そっちに構っている時間がなかったし、早く玉川上水にかかりたい。下調べが不十分なのです。けれど飲み水だけ先行しても町がなければ無意味になってしまう。


「上様、私もそっちに行きましょうか?」


 埋め立ての知識はないけど、一応現代人だしね。この時代の人よりは役に立つかもと思ったのですが、


「ならぬ、舞湖殿は働きすぎだと皆が言うておる。お主のような人材は大事にせねばお主を遣わしてくれた神か仏かに申し訳が立たぬ」


 そんなすごい人?人ではないのかもだけどすごい何かがいたら元の世界に戻してもらいたい。玉川上水作った後で。早く帰りたいけどそこまではやり遂げたい。ここまで来て今戻ったら後悔しそう。戻り方わからないけどね。


 上様に反対されては仕方がない。


「それでは私は、全ての井戸に水が行き渡るようにいたします。それと水の管理に問題がないか確認します」


「待て。少し休暇をやろう。一月ほど休むが良い。お主への給金も溜まっておるし」


 給金?そういえば今までお金貰ったことなかった。住むところも食べ物もなんとかなってたけど、あれ?


「お給金っていただけるので?」


 みんな唖然としている。どうやって生活してきたんだと言う顔だ。聞いてみると幸が管理していたのだそうだ。過分な金子は持っていると危ないので必要最低限だけもらって生活費に充てていたという。それ故に未払いの給料がわんさかあるという。


 そう言われてみると大江戸に来てからほとんど休んでいない事に気がついた。そうよね、完全週休2日制を目指しましょう。大江戸観光もしてないし。一番興味があるのは魑魅魍魎がいるという京都だけど。


「一月あったらどこまで旅ができますでしょうか?」


 それを聞いて大人しくしていた秀光の目が輝く。


「そうか、舞湖は旅がしたいのか」


「折角のお休みなら時間を有効に使いたいです。例えば京とか」


 急に空気が重くなった。空も晴れていたはずなのだが黒雲が広がり嵐のように雨風が強くなる。秀光はブルブル震えているし遠山も頭を抱えて蹲っている。


 えっ、私何かいけない事を言っちゃった?

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