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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第四十二話 大名屋敷

若様は小石川には叔父上に頼むと言う。将軍の弟さんらしい。確実ならなんでもいいけどもしかして水戸の人だったりして。


「若様。まず小石川のお屋敷で水の管理をしていただきます。水は優先的に使えますがその代わりにその家の人に管理をさせるのです」


「川を渡る前に水が使い放題なのだからそのくらいは問題ないであろう」


秀光は重要性をわかっているのかわからないが安易に答えた。


「そしてそのお屋敷を出たところから上水は暗渠になります。綺麗な水を暗渠に通すのです。今、鈴木殿が伊達家の力で地面を掘り起こし、そこに埋める水路を中村の旦那が作っています。距離が長いのでもう少し時間はかかりますが、向こうができてもこっちができなければ水は通せません。ですので若様の方の進捗がこれからの要なのです」


舞湖は頼むよ小僧、しっかりやってくれよ、と言う顔で秀光をじーっと見ます。秀光は舞湖に見つめられていると勘違いして頬が赤くなっています。そして少し照れ気味に


「余が要、いい言葉だ。舞湖の期待に応えねばならぬな」


そういう格好だけの言葉はいいから結果出せよ!とは言わない。なんかやる気になってるしね。


「地図に落書きをしていいですか?私が考える水道管のイメージを伝えたくて」


それを聞くと秀光は慌てて、


「ちょっと待て。写しをとらせるゆえ」


と部下を呼んだ。舞湖の仕事は速い、こちらも時間軸を合わせなければまた小馬鹿にされてしまう。そんな事を考えていると次の矢が飛んできた。


「では、その間の時間で水の管理についてお話しがあります。神田川を渡った後は水を綺麗な状態で町民にまで供給しなければなりません。そのために上水と下水をわけるのですが上水は自分のところを過ぎた後も綺麗な状態を保させるために罰則を決めて、奉行のような管理者に厳しく見晴らせる必要があります」


「尤もである」


「水は供給量を管理する水門の門番、葉っぱや汚れを除去する掛樋の管理者、この人達は今、中村の旦那に頼んで人の手配と教育を始めています。問題は神田川を渡った後です。私の案は大名屋敷を通って城下から町民街へ通す水道管です。大名屋敷はいくつありますか?」


秀光は焦った。屋敷の数を数えたことがなかったのだ。


「おい、誰かおらぬか!」


秀光は大声で人を呼んだ。舞湖はこいつ知らねえんだ、とわかったがあんまり虐めるのも逆効果だと最近若様の扱い方がわかってきたのであえて何も言わなかった。なんか頑張ってる雰囲気は伝わってくる。この小僧は褒めた方がやる気を出すみたいな気がする。小姓が現れた。なんか中学校の後輩に似ている。子供にしか見えない。この子をみると若様はそれなりに見える。


「お呼びでございますか?」


うん、声変わりしてないじゃん。こうみると若様はやっぱり同い年なんだとわかる。なんか同い年男子って子供に見えるんだけどなんでだろう。


「源太か、大江戸の大名屋敷の数を至急数えよ」


「承知仕りました。上屋敷だけでなく下屋敷まで含めますか?」


秀光は、咄嗟に


「含めよ」


と答えてから、あってるのかな?と不安になり舞湖の顔をみると満足そうな顔をしていたのでホッとした。それが顔に出ているのを見て初めて若様を可愛いと思った。源太が調べに出ていくと今まで黙っていた玉井が、


「舞湖様。神田川に近いところに上屋敷を置かれるのですか?」


「そうよ、権力のある人順にね。そうしないと揉めるっしょ。権力のある人にはそれなりの責任を負ってもらうの。そのお家で水が汚れちゃったら後から水を飲む人が困るでしょ」


「この間お話ししていた下水も並行で工事するのですか?」


それを聞いていた若様は、


「そうか、そうだな。確かにその通りだ。玉井もなかなかやるではないか」


急に偉い人に褒められて玉井はどうしていいかわからなくなってオロオロしている。せっかくいい事を言っていたのに台無しだ。だが玉井の言う通り上水だけではダメなのです。家庭排水を上水に混ぜられたらたまったものではありません。下水は別にして近くの川へ流してしまいたいところなのです。


そして源太が戻ってきました。可愛いなあ、こんな弟がいたらなあ。


「若様、大名屋敷の数ですが現在500でございます」


秀秋は驚いた顔をしている。


「そんなにか」


舞湖は江戸の大名屋敷の数を覚えていた。確か玉川上水を引いた後が千とかだった。最初はこの位で足らなくなって玉川上水を引いたような。最初は500だったんだね。あれ、どっかで見たかも。どこだっけ?


「若様、地図はどうなりました?」


舞湖は思い出していた。小学生の時になんとなく寄った東京都水道歴史館の事を。



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