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水の道  博士ちゃんJCが迷い込んだ大江戸で水を持ってくる物語  作者: Kくぼ


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第十一話  探検

お読みいただきありがとうございます。現代にも実在する地名や川が出てきますが大江戸では一応似て非なる物としてお読みください。よろしければブックマーク、星評価もお願いいたします。

 川久保が戻ってくるのを待って追加のお願いをしてから、格さんとその他5人を連れて小石川を遡る旅に出ました。川久保は実験に満足したのか上機嫌で舞湖の無理な願いを安易に引き受けたのです。


 舞湖は格さんの娘が気に入っていました。なんと、字が読めるのです。これであのミミズが歩いた後のような変な字を読んでもらえるのです。ですが、それは後の楽しみに取っておいてまずは小石川の水源まで歩いてみることにしました。絵師に地図も書かせます。絵師の名前は太田道之と言いました。元は北条家に従って江戸を治めていた武将の子孫だそうです。


「太田さん、じゃない太田殿。これから川沿いに歩きますが坂とか丘とかがわかるように地図を書いてください。高低差がわかるように」


「それはまた難しい注文ですな。そのような絵を書いたことがありません」


 この時代にはそういう技はないのか。仕方がないのでわかれば何でもいいと伝えました。正確でなくても大体わかれば目的は達せます。


「それならば。やってみます」





 舞湖は小石川、別名谷端川を探検した事を思い出しています。


 中学1年の時です。日曜日にお友達の芽衣ちゃんと一緒に探検に行きました。舞湖が行くというと私も、っと言って付いてきたのです。朝の8時に御茶ノ水駅で待ち合わせです。


「おっはよう、芽衣ちゃん。今日も可愛いね」


「おっはよう、舞湖ちゃん。今日も素敵だね」


「エヘヘヘヘ」


「エヘヘヘヘ」


 2人はとっても仲良しです。小学校では6年間同じクラスで、席も隣でした。舞湖は水に興味があってちょっと普通ではない変な子でしたが芽衣ちゃんはそんな事は気にせず、図書館に行くと言えば付いてくるし、今回も昔は川だったところを歩いてみる、という変な企画に、


「面白そう、私も行くね」


 とリュックを背負って楽しそうにしています。芽衣ちゃんはご両親がアウトドア派でキャンプで野外で寝たり、山を歩いたりしているので、今回のような冒険的な企画にはノリノリです。


 御茶ノ水から飯田橋まで黄色い電車に乗って、そこから地下鉄に乗り換えます。


「地下鉄って初めて乗る。地下に線路があるなんて不思議」


 階段を降りながら芽衣ちゃんを見ると芽衣ちゃんはワクワクしているようです。


「実は私も初めて乗るのです。誰が地下に電車なんて考えたんですかね、あったまいい」


 あったまいい、は2人共通の口癖です。舞湖も地下鉄は初めてでした。地下鉄に乗り、電車が動き出しました。


「ま、舞湖ちゃん。け、景色が見えない!」


「そりゃそうです。逆に見えたら怖いです」


「あ、それもそうね。舞湖ちゃんあったまいい」


「いいやあ、それほどでも」


 なんて、アホな会話をしていると電車は池袋に着きます。ほとんどの人が降りて行きます。車輌に残ったのは5人だけです。芽衣ちゃんは不安になったようで、


「降りなくていいの?」


 舞湖は鼻の上に手を置いて、回しながらVサインを作ります。


「だいじょうぶい」


「えっ、それ面白い。流行ってるの?」


「お父さんのオヤジギャク」


「舞湖ちゃんのお父さんって本当に面白いよね」


「そうお?結構くだらないと思うけど」


 お父さんが子供の頃にテレビで見た特撮忍者ドラマの真似だそうですが、舞湖はみたことがありません。池袋から二駅目、千川駅に着きました。


「おっりるよー!」


「はいな!」


「で、ここからどっちへ行くのでしょうか、舞湖様」


「ふむふむ」


 舞湖はリュックから地図を取り出しました。今と違い携帯で簡単に地図が見れるわけではありません。芽衣が地図を覗くと蛍光マーカーで道が塗られています。


「その塗られたところが川?」


「うん。川は今は地下にあって見えないんだって」


「えっ、どういう事?」


 芽衣は暗渠という言葉を知りませんでした。舞湖が知っている限りの知識で説明すると驚いています。


「じゃあ、私たちは知らない間に川の上を歩いてたりするの?」


「うん。見えないからわからないんだって」


「怖いじゃん。突然道路に穴が空いて落っこたりしないの?」


「絶対無いとは言えないけどでも結構都内はあちこちにあるみたいだから平気じゃ無い?まあその時は運が無いって事よ」


「そっかー。舞湖ちゃんは運強そうだから一緒にいれば安心ね」


「運強そうに見えるの?」


「うん」


 そのうんでは無いとは思いつつ、地図を見ながら歩く事5分、


「目的地に到着です」


 着いたのは豊島区にある粟島神社というところです。住宅地の真ん中に小さな神社があり、その中に池が見えます。2人はまず池にかかる小さな橋の上に乗って水面を眺めます。芽衣ちゃんはここまで歩いてくる間に一応の説明は受けていました。


「この水が飲み水になってたの?信じらんなーい、むっちゃ濁ってる。あっ、ねえ亀さんだ」


「どこどこ、あっ亀さんいるね。よく見ると魚もいる。見た目より美味しい水かもよ」


 芽衣ちゃんは無い無い、と手のひらを横に振っています。芽衣ちゃん曰く、神社に来たらまず最初にお参りしなきゃダメですというので階段を登って前に立ちます。


「私、お参りって初めて」


「そうなんだ。私の真似をしてね。二礼二拍一礼と言います。何でこうするのかは知りません」


 知らないのかよ!と思いながら真似をしてみました。その時何かを感じたような気がしました。



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