前半
なんとも言えない日常
いつものように教室で窓の奥にある空を見ている。
授業を受けても見上げているような・・・なんて流石に授業は受けているし、先生の話も聞いている。覚えるのが下手な僕には聞いても分からないから黒板の字を丸々写している
先生によっては黒板に書くスピードが遅い人や黒板を書くではなく、パソコンやスクリーンを使用して授業をしている先生もいる
黒板を書くスピードが速く、黒板を消すスピードの速い先生の時は聞く暇もないから黒板に書いてある字を写している
諦めている人は寝ている。寝ても文句はないように見えて起こされる人もいるので何人かはふざけるなと思っていたりして休憩中に愚痴ったりする
「なあ、浅野!社会のノート貸してくれ」
彼もその1人
「また?いいけど・・・社会のノート写しているだけだからね」
「それでいいんだよ!あの先生早すぎるから写しても追いつかねえんだわ。教科書ではない内容とか含まれているテストを出すとかやめてほしいよな。科学の先生なんてパソコンでそれぞれ調べろって感じで楽なのによ〜」
「はいはい。ここだよ」
今日の分のノートを見せる。僕は普通に書いてあるだけ。ただそれだけでもいいみたいだ
「おっ!サンキュー!助かるわ〜あの先生、ノートチェックするから何も書いていないとか書いてない部分あったら呼び出しされそうで怖いんだよ」
「そんな事例なんて聞いたことがないから大丈夫だと思うよ」
「そんなもんか?まあ、そう言う話は聞いたことがねえな」
いつものように雑談を話す
「生物の授業ってどんなことをしているんだ?解剖とかやったりする?」
「やらないよ。この学校に解剖室なんてないでしょ」
「確かにな、そりゃないわな。そういや、お前の生物の点数高いよな。1学期のテスト難点だったんだっけ?」
「中間が82点、期末が75点だね。平均は中間が85点、期末が83点だったよ」
「うわ〜高すぎるわ。俺なんて50点以下なんだぜ?赤点が30点以下だから問題ねえけどよ〜」
生物は点数が取りやすい。暗記が得意な人が多いからとかそう言う理由ではなく、覚えやすい。テストの難易度は他の科目と比べて低いのもあるから点数が高いなだけ。僕は天才ではなく、凡人以下
「公民のテストと比べたら可愛いよ?」
「だよな〜あの先生、教科書やワークに出ない問題出すから無理なんやわ。この前のテストは46点だぜ?」
「僕は62点。平均超えだったよ」
公民のテストは難しい。覚えることが多いし、自分で考えなさいと言う問題も出てくる。僕は暗記はまだできる方だからまだマシだけど平均は54点くらい。皆、寝ているのにそれなりに点数を取っているから驚きだよ
「うわ〜高い!英語は?」
英語か〜かなり低かったな
「39点だったよ」
「マジかよ。俺は31点だぞ」
「変わらないでしょ」
「まあ、底辺は底辺だな。俺はギリギリだし・・・2学期中間は赤点は国語だけだったから助かったわ」
「僕も同じだね。29点だったよ」
「ふっ俺の方が低いぜ。14点!」
「補修確定点数」
「お前もだろ。ってか、あんな問題出すなよ。問題の意味を答えなさいが10問で一つ2点なんて終わっているだろ。なんだよあれ」
あ〜あったね。ワークに丸々出ていた問題だ
「ワークにあったよ。まさか全部出すとは思わなかったけど」
「ワークやらなかったからな〜今は出したけどあんなもん覚えられるか!」
「長く書かないといけないところとかあったからね。放置したよ」
今を答えなさいって簡単にできるような問題ではないよね。蛇足とかなら簡単。でも、それ以外の難しい問題は無理
「国語って難しいよね。なんで英語が赤点じゃなかったんだろ?不思議だよ」
「分かる分かる。なんか並び直しなさいとかの問題がなんか正解していたわ。文章問題全然無理だなって思ったらなんか正解していたし。まあ、記号が正解しただけだし、偶然だし〜」
英語も難しい。日本人に英語を習わして何が得するのか。今はグローバルだから外国人との会話をするために共通語を学ぶべきとか言っているけどスマホの翻訳機能で十分だと思う
海外の人と関わる機会が多くても道案内するように尋ねられても断ればいい。分からない言葉で無理に何かしようもできないし。日本語と英語って文章の作り方が違う。それに同じ感じでも複数の意味を持つ日本語に対して1つ1つの言葉に1つ意味がある英語では違いがありすぎてできない
「日本語の習得が世界から見たら難しいって言っているけど僕達も同じだよね」
「日本人の8割が英語話せないんだぜ?小学生3年生から英語の授業をやっているとか俺の下の妹が話していたんだけどさ、俺達の時って5年生じゃん。全然英語必要とかなさそうなのになんでここまで重要になるんだよ」
「日本が生き残るための術だよ。日本って他国の資源に依存している国だからね。外交とか結構ニュースになっているでしょ?アレは海外との関係がどれだけ必要なのかのアピールだと思っている」
「いや、アレは単に政治家がやりました〜みたいなことを報道しているだけだろ」
それはそれで否定できない。日本って政治が腐っているとかなんやら有名だからね。それも目的の一つなんだろう
「あはは・・・そう思えるほど闇が深いよこの社会」
「バブル崩壊以前にもそんなもんが起きているんだろうな〜俺は知らんけど」
他人事じゃないでしょ
「話を変えて・・・この前、隣の女子が告ったとかなんやら君の噂を聞いていたけど本当なの?」
「なんだよその噂。告白なんてされてねえぞ?」
あれ?それじゃ嘘の噂ってことなのか
「俺別にモテているわけじゃねえんだわ。彼女とか恋人は欲しいと言う感情はあるけどよ〜自分の未来を考えるとそう言う余裕ねえんじゃん。社会に出たら余裕ないし、ある程度楽なことができたら彼女を作ろうかなって思ってんだわ」
「簡単にできないし、社会は求めるハードルが高いからね〜結婚するカップルの数が少ないのは長い間経済が不安定なことと求める税金が多いからだよね〜」
「結婚なんできないだろと諦めているしな。結婚しても結婚式なんてやる余裕もねえから結婚式を運営する業界もやべえことになっているみたいだし〜そんな感じに世の中やべえじゃん。だから告白されても断ろうと思ってんだよ。自分の生活に余裕がないのに付き合えるかってよ。社会が求める人材のハードルが高いから自分でやることが多い。無理だろ」
うんうん、分かる分かる。求めるハードルが高いのは社会で生きていくための壁の高さがあまりにも高いからだよね〜就職活動して就職した新社員が長続きしないことも出世しようとする意欲を持つ人が少ないのも今の社会がハードルを高くしているから
「何でもかんでも世界に合わせたら普通の生活ってできないよね〜」
「もうできるかできないかってレベルじゃねえだろ。ありがとうな。ノート写し終わったわ」
ノート写しながら話していた倉橋くんから自分の社会のノートを受け取る
「勉強をしてもなんか役に立つことがあるんかね〜黒板で書いてあることを写すだけでも大変なのに社会人として生きていくなんて無理だわ。そりゃ、詐欺が増えるわけだわ」
「詐欺って年々増えているからね」
詐欺師なんて日々生きていくのに必要なお金を稼ぐことができないから手を出しているとかある。なんかやばそうなバイトに参加した人もお金に困っていたからって犯罪に染めた
日々生きるだけでも大変なのに税金はどんどん増えて税金負担率が60%超えている。犯罪に染めないと生きていけないのに政府は何もしない。対策には効果はない
「今の社会って大変じゃん。だから、彼女を作っても別れていく結末が来るという想像ができるんだよ。社会の勉強をされている今の俺達が不安に感じるほどに世間は恐ろしい。危険なことをしてでも乗り越えろなんて1人の努力でできるようなことじゃない。余裕がないから付き合えない。青春しようと部活頑張っているとしてもそれは頑張る意欲になりますかって人それぞれ感じ方は違うし」
「深く考えるなってことなんじゃない?気楽に生きていくことが大事とかさ」
「そうかね〜・・・お前は告白とかされないのか?」
今度は僕か。僕はないね、生まれてから一度もないどこら辺にもいるただのモブのような存在に彼女なんてできないでしょ
「僕もないよ。運動部じゃないし」
「俺、運動部じゃねえんだけど」
「・・・・・・」
「運動部だけがモテるなんて考えはやめた方がいいぜ?それじゃ俺たちが可哀想になる」
う〜ん、そうなるのかな。結構、漫画じゃ隠キャでもモテるような展開はあるけど現実にそんなことがあるとは思えない。なら、僕に1人くらい告白されてもいいじゃんってなるし
「ってか、運動部ってテストの成績のいいやつもいるよな。運動部だからって理由なのか?」
「いや、努力しているからでしょ・・・でも、運動が日課になっている人ってテストの成績が高くなるとかそう言う傾向になるとかなんやら動画であったよ」
「頭が働いているからか?文化部と運動部では運動量に差があるからな。それもあるかもしれねえけど運動部ばかりモテてもね〜漫画みたいに俺達のような存在がモテる展開が欲しいよ〜彼女作る気ねえけど」
「ないから何もないんじゃない?」
「おいおい、そりゃねえよ!!・・・・・・いや、そうかもしれない」
どっちだよ
「モテても生きていくにはね〜責任が重すぎるんだよ社会ってよ。だから、俺達が生きていけるのか分からないと不安になる!」
「ミスしないように願っておけばなんとかなるわけじゃないからね〜今の時代って子供に怒る親が処罰の対象になっているから過保護の親が増えているから怒られる経験が少ない。なのに社会で求められる人材の質が高くないといけない。怒るようなことをしないようにしても必ず怒られるようななんてことが起きている。おかしいよね」
成り立つわけがないと思うくらいには社会は理不尽。理不尽な社会で生きていくのにその教育が社会を批判されるようになってしまった。体罰が駄目とかは無くしていったほうがいいけど躾で批判されたりするのはどうかと思う
「まあ、そうだよな〜なんて言って社会でどう生きていくなんて話しても何もできないんじゃあ、心病むよな〜お前もいつか告白されることを祈っておくわ。神社で」
「それは嬉しいけどそこまでやる人なかなか見たことないよ?」
「小説よりも現実の方があり得ないことが起きるんだぜ?そう言うことがあるってことでいいじゃん」
「そこまでやる必要はないと思うけどな・・・まあ、ありがとう」
「やってねえからありがとうと言われても困るんだが・・・まあ、感謝は受け取ろう。今日行っていくわ、恋愛に有名な神社に」
と言う話があって次の授業が始まった
放課後
「ったく・・・なんでこうも課題出されるんだよ。あの先生」
「まあ、大した課題じゃないからいいじゃん。プリント1枚だよ?楽な話だよ」
6時間目に出された課題に彼はキレている倉橋くんに苦笑するしかない
「漢字プリントだから簡単って言ってんのになんで意味調べせんなんあかんねん。漢字だけでええやろ。あの国研の先生許さねえ・・・」
「スマホで意味調べしればいい話だから大したことじゃないでしょ」
「・・・それもそうだな」
怒りが収まったのか怒りの籠った声ではなくなった
「スマホが便利だから簡単」
「便利すぎて怖いわ。スマホ依存症になっている俺からしたら便利すぎってところか」
「依存するほど使用しているじゃん」
「逆に依存していない高校生いるんかよ」
それもそうか
「さて、今日はどこ行く?部活ねえし」
「ラーメン屋が近くにあるけど行く?」
「行く行く!飯食いてえわ。この高校、食堂ねえし」
「物価高とかで食堂やっている高校とか少ないからね。1学期にあったのに潰れたし」
「だよな。んじゃ、行きますか」
生徒玄関まで歩いて自分の下駄箱を開く。いつものように靴を取って靴を変える
「それじゃ行こうか」
といつものように2人で生徒玄関に出ると
「ちょっと待った!!!」
『ん?』
誰か大声で叫んでいた
誰なのか分からないけどびっくりした
「なんかあったんか?」
「先生じゃない?」
「いやいや、先生が大声で叫ぶにしては声が若いだろ」
「今年赴任した先生の中に20代の先生いるよ」
「あっそうだったわ・・・まあ、なんかあったみたいだし、行こうぜ」
歩いていると
「ちょっと待ちなさい!!!」
また声が聞こえる
「なんかあったんだろうな」
「無視する?」
「するだろ。俺達隠キャだぜ?面倒事は嫌っている側なんだからよ」
「そうだね」
何があったんだろうとは何かあったということ。同じことを言っているけど何があったのかは気になる。でも、僕には関係ないなんだろうから深く追求することじゃないよね
「だから待ちなさい!貴方!」
僕の肩に誰か手を置いた。掴まれて動けない。力が強すぎるから倒れそうになるけど!?
「え?何?」
「あ?何が俺達に用かよ」
振り向くとそこにいたのは綺麗な女性。僕達と変わらない歳の女の人だった
「私の手紙を無視するなんて余裕あるわね。浅野くん」
そう言って女性は青筋を立てたのだった