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2/7

取り敢えず僕は力があって頭が良い。こいつはバカで力がない。ひょっとしてこれが正しい世界じゃないのか。

 俺が俺に突っかかって来る。

「なんだてめえなにした」

 胸元を掴まれた。

「そんなの僕にも分からないよ」

 ヤミニシを突き飛ばした。えっ、簡単に突き飛ばせた。ヤミニシも驚いている。

 体勢を整えて再度向かってきた。僕なのにスゲエ迫力。

 やばい! 逃げようかと思う。けど肩を押して防いだ。

 手をぶんぶん振り回しても頭を押さえられ届かない、そんな漫画になりそう。

 情けないけど、迫力十分だからちょっと押された。

 周りが気付いて、驚いてそれからコグスゲやるじゃないかって雰囲気になった。

 ヤミニシの僕に協力しようかな。みな応援しているみたいだし。

 それで尻もちをついてみた。

 ヤミニシの僕がここぞとばかり抱きついてきた。手とか脚とか膝を使って複雑な攻撃をしてきた。


「落ち着いてよヤミニシ君」

 興奮しているヤミニシは夢中で攻撃してくる。

 僕もやれたんだと思う、けど痛い。

 下から投げて立ち上がった。ヤミニシの僕をヘッドロックして人溜まりから離れた。

「チキショウ、コグスゲ覚えとけ」

 怒りは益々増すばかりのようだ。

 刃物を持っていたら確実に刺された。持っていない僕に安堵だ。

 興奮しているバカに話すにはどうしたらいい。

 この際勉強しよう。取り合えず突き飛ばして尻もちをつかせた。

 余りに情けない僕。ヤミニシの目線で僕を見るのは堪えられないな。

 憎々し気な僕がしたことのない目で見上げてくる。顎でも蹴ってやろうかな。


「話さなきゃ分かんないだろ」

 言ってみたけどたぶん話しても分からない。

 けどヤミニシは黙った。聞く目に変わった。案外素直だったのか。

 バカの方が素直だというのは本当かな。


「ヤミニシ君。状況は分かる?」

 分かるわけないか。頭は???だろう。

 どういう状況か分からないけど、入れ替わったのは僕の方からだ。

 ヤミニシが僕に乗り移ったのではない。このバカにそんな芸当出来るわけない。

 じゃ入れ替わられて驚いているのはヤミニシの方だな。

 僕より衝撃だろう。なにせ僕に変わっちゃったのだから。

 それは腹が立つから、手を踏んづけてやった。


「幾らでもぶっ飛ばしてやるからな」

 急にヤミニシになってみようかな、と思った。

 僕に変わって驚いているヤミニシに腹が立ったからだ。

 この状況は何でも出来る。僕は痛いだろうけどそれはヤミニシだ。

 僕の体が可哀そうだけど、ヤミニシが痛い方が先だ。

 僕に乗り変わったのなら喜べ阿呆。

 顎を蹴飛ばしてやった。

 凄い自虐的だ。

 複雑な気持ちだ。

 僕はマゾか! 

 ええい。もう一発蹴った。

 むむ。ハートが痛む。

 マゾじゃないな。

 マゾなら喜ぶというし。

 心臓が痛苦しい。

 自分をこんな風に蹴った人は居ないだろう。

 涙も出ようってものだ。

 涙を出したら、涙を出しだヤミニシを僕のヤミニシはどう見るだろう。

 こんな男の為になにを高尚になっているんだ。


 取り敢えず僕は力があって頭が良い。こいつはバカで力がない。ひょっとしてこれが正しい世界じゃないのか。


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