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流通

作者: 雉白書屋

『ね、ね、ほ、本当にその、僕と結婚してくれるんだよね?』


『もっちろん! ……でもぉ。そのためにはぁ。まずあたしの身の回りのコトをちゃんとしないとさーぁ……ごめんねぇ、いつも頼りにしちゃって……でも、あたしさ、他に頼る人がいなくて、親とも関係がちょっと……』


『う、うん、ううん! 男だからね! 女の子を守るのは当然だよ! いつでも話聞くからさ! あ、はい、これ! この前言っていた金額きっちりあるよ! 役立てて!』


『ありがとう! あーあ、はやく一緒になれたらいいのになぁ……』


 と、このようにあくせく働いて貯めた彼にとって命と言っていい大事なお金が女の子に渡り、その後どうなるのかというと……


『おーす、姫。待ってたよ。ありがとね』


『彼女なんだから、とーぜんじゃん! もうちょっとでナンバーワンなんでしょ!』


 と、店に差っ引かれつつ、ホストに渡った分はというと……


『いいかい! この国はもう終わってる! 低迷低迷低迷! お先真っ暗! 君たちの将来もね! でもそんな時、足元を照らしてくれるのはなに? そう、お金だよね! 将来、衰えた自分の面倒を見れるのは結局、自分なんだよねぇ。じゃあ、稼ぎ方。教えちゃおうかな』


 怪しげなセミナー、その講師に渡ったお金はというと……


『いやぁー、前からずっとファンだったんですよぉ。テレビで活躍している方とコラボできるなんて嬉しいなぁ。あ、そうです。そのサプリを褒めて下さる感じで、お願いしまーす』


 とある芸能タレント及び事務所に渡り……


『あぁ、教祖様……先祖の罪をお清めください……審判の日に私にも救いの手を……』


 そこからさらにとある宗教団体へ渡り……


『さあ先生、どうぞ。選挙にお役立てください。信者一同、あなたを応援していますよ』


 お目こぼしのために政治家に渡り……


『えー、い、今、我々が生きていられるのも、あなた方の寛大なお心のおかげであり、大変感謝しており、えー、これからもノルマをきちんと守りますので、どうか、ち、地球人類とわ、和平を、あ、あ、食べないで、え、あ、すみません、しゃ、喋らなくとも伝わるんでしたね、だ、黙ります……』



 今、皆さんに見ていただいた映像は一例ですが、このようにして彼らの社会は上の者が下の者を搾取して成り立っているんですね。

 こうして作られた弱者は、やがて身動きが取れなくなり、最終的に我々の星へと運ばれて食肉に加工され、このように皆さんの給食にならぶわけです。

 では皆さん、今日もおいしいお肉に感謝しましょう。いただきます!

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