ユメは夢
目が覚める
さっきまでと違う場所
いつもの見慣れた場所
そこで気づく
あれは夢と そう思う
名前は思い返せても
会ったこともない友人たち
見たことも聞いたこともない場所に
色んな乗り物で旅をして
ずっと笑っていた気がする
自転車で長い坂道を駆け下りるときも
列車でみんなと旅先から帰るときも
そこには上司もいたと思い出す
上司と寝転がって列車で旅する
夢だからこそなんだろう
隣に眠るのは……
目が覚めた
さっきまでと違う場所
いつもの見慣れた場所
そこで気づく
あれは夢と そう思う
夢を思い返しても
なんだったのかひどく曖昧で
見たことも聞いたこともない記憶に
色んな感情だけが取り残されて
ただ楽しかったという気がする
整理されて欠けてく記憶の断片
薄れぼやけて溶けていく感情の波
そこには誰かがいた気がする
誰かがずっとそこにいるなんて
夢だからこそなんだろう
隣に眠るのは……
意識が戻る
さっきまでと違う場所
けれどここも見慣れぬ場所
ここはどこだ?
あれは夢と そう思っていた
名前は思い返せても
「会ったこともない人たち」と
見たことも聞いたこともない場所と
なぜ端から断定できたのか
残されてるのは感情の記録
隣の寝台を何度見返しても
起床して部屋を見回したとしても
そこには、ここには、誰もいない
誰もいないずっと独りでいる
これこそが
夢ではない証なのだろうか
それなら
隣に感じた温もりは……
瓦葺きの屋根という意味の
「甍」という字と
「夢」という字は
屋根の下に囲まれた字が
瓦か夕かの違いしかない。
夕は三日月から成る字。
三日月で出きた屋根の下で見るから夢
でも実際に眠るのは三日月の下ではなく
甍の下のような家屋の中。
甍の下で見るものも
夢の中で見るものも
同じものなら。