王太子妃候補のマリア
私、エミリア・オールドウッドは、16歳になり学園への入学を果たした。学園での新たなる冒険が待っていることを胸に、期待と緊張が入り混じった気持ちで学舎に足を踏み入れた。
しかし、入学後の驚きは私を待ち構えていた。学園の内部は豪華な装飾で飾り立てられ、女性たちはゴテゴテとした派手な衣装やアクセサリーで自己を表現し、男性までもが華やかな服装で身を包んでいた。私が好むシンプルなスタイルは、この学園では浮いてしまう存在だった。
寮に引っ越し、同室になった王太子妃候補のマリアとの出会いが、私の学園生活に新たな展開をもたらした。マリアは何かに悩んでいるように見えたので、心の中で思い切って声をかけることにした。
「マリアさん、どうしたんですか?お悩みのようですが。」
マリアは驚いたように私を見つめながら、少し躊躇した後に言葉を紡いだ。
「実は、王宮で行われるお茶会で王太子妃が決まるんです。参加者はみんな優秀で、私が選ばれるかどうか不安なんです。最近、王太子との関係も冷たく感じてしまっていて…何かいいアイディアはないかしら?」
私は彼女の悩みを理解し、真剣に考えました。マリアが他の人と差別化し、自分の魅力を引き出すことが重要だと感じたのです。
「マリアさん、私には一つアイディアがあります。」
彼女は半信半疑な表情で私を見つめましたが、私は自信を持って提案しました。
「マリアさんは、周りと同じように派手な装飾ではなく、あえてシンプルなドレスを選ぶのはいかがでしょうか?あなたの内面的な魅力を引き立てることができますし、メイクも控えめにすることで聖女のような印象を植え付けることがでるのではないでしょうか?」
オシャレは引き算である。
前世で何度もテレビで辛口コメンテーターが言っていた言葉だった。
マリアは私の提案を半信半疑ながらも受け入れました。
「本当に、そんな風にしたらいいのかしら?」と彼女は疑問を投げかけましたが、私は自信を持って応えました。
「絶対に大丈夫です。あなたの本来の魅力が引き出されるはずです。自信を持ってください。」
お茶会の日がやってきました。マリアは私の提案通り、シンプルで上品なドレスを身にまとい、薄く控えめなメイクを施して臨みました。彼女の内面から溢れる優雅さと聡明さが、そのまま外見にも現れていました。
お茶会の会場では、きらびやかなドレスに身を包んだ他の候補者たちが目立っていましたが、マリアの存在は一際異彩を放っていました。
王太子も彼女に目を留め、驚きと興味を隠せませんでした。彼女のシンプルさが、他の人々との差別化を果たし、まるで聖女のような印象を与えていたのです。
お茶会が進むにつれ、マリアは王太子の心を掴む魅力を発揮しました。彼女の内面の輝きが、華やかさよりも深く響くのです。王太子との関係も、再び温かさを取り戻し始めたのです。
私はその様子を目の当たりにして、思わず安堵のため息が出てしまいました。マリアならきっと素敵な王妃になると確信したからです。
そして、ついにマリアが選ばれました。彼女は誰からも愛される素晴らしい女性でした。王太子妃に選ばれたことは、当然の結果だと納得すると同時に、羨ましくもありました。