理不尽(3)女性問題研究家
大教室は、女子学生で満員、ムンムンとした熱気にあふれている。
教壇では、よくテレビにも出演する人気教授山嶋女史が熱弁を振るっている。
「この世界、特に日本には女性差別だらけ」
「それなのに女性より完全に劣る男たちの奴隷化している」
「今こそ、行動を起こして、女性の完全な復権を目指さなければならない」
熱心に講義を聞いていた女子学生が一人立ちあがり、質問した。
「先生のお話、本当に勇気づけられます」
「すごく大切な話と伺っております」
「そこで女性差別の他に、人類には様々な差別があります」
「人種差別、宗教差別、学歴差別、身分差別、年齢差別」
「その中でも女性差別は、最も悪質な差別なのでしょうか」
山嶋女史は不機嫌な顔。
「当たり前です、私は女性差別さえなくなれば、世の中のほとんどの問題が解決すると考えているのですから」
「これ以上下らない、質問をしたら、あなたには単位を与えません」
「就職にも響くでしょうね」
質問した女子学生は、失意の表情で席に着いた、
「身の程知らず・・・」
「山嶋先生のご機嫌を損ねるなんて、どこの出身?」
「どうせ、ド田舎の・・・」
「あの子・・・これから無視決定・・・」
「来なくなるかな・・・」
「どうでもいいや、そんなの」
その講義の一週間後、質問をした女子学生は、自主退学に追い込まれてしまった。