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1、始まりは酔い人の戯れ言?

初めて、自分の好きな異世界ものを書いてました。

長編を書くのは正直苦手なので、まだまとまってない部分もあり、修正しながらやって行こうと思っています。


読んで頂けると嬉しいです。


「なんと美しい。美香(みか)の瞳にそっくりだ。」


アステール国の王は、自分の娘の成長に感動した。

王妃もまた待望の再開に瞳を潤ませた。


「髪は貴方の色ね。産まれた時のまんまだわ。会いたかった……!紗弥華(さやか)……!」


しかし娘の沙弥華は、冷静かつ強い意思を込めて両親に告げた。


「お会いできて光栄です……。ですが、私はアステールに戻る為にきたわけではありません。実の両親が本当に生きているのか、どういう人なのかをこの目で確かめるためです。」


「紗弥華?」


自分達との再開を喜んでくれると思っていた。両陛下は戸惑った。

しかし沙弥華は続けた。


「私を育ててくれたのは、花楓(かえで)ちゃんだから。やりたいこともあるし、私は2日後にまた日本へ帰ります。」


「そんな!!」




両親が待ち望んでいた感動の再開をぶち壊している自覚はある。

だがしかし、私もこの異世界の国「アステール国」へ住むつもりは今のところない。

だって私は、ちょっと前まで普通の高校3年生だった。

いや、当たり前に育った環境しか知らなかったと言うべきだろうか。

両親の事も、ましてや異世界なんて世界がある事さえも知り得なかった。



たった1週間前までは……。




~1週間前~





「もう、花楓(かえで)ちゃん飲み過ぎだよぉ~。」


時間はとうに新しい日付けを刻んでいる。深夜に帰って来た叔母は、酒の匂いを漂わせていた。

フラフラとソファーに座り込んだ叔母に、紗弥華(さやか)はすかさず、水の入ったグラスを渡した。


17歳上の叔母がこうなるときは大体決まっている。


「また男の人とうまくいかなかったの?」


花楓はグラスに入った水を浴びるように飲み干した後、グラスをテーブルに激しく打ち付けた。


「結構いい感じだったのに、私の方が自分より年収が高いことわかったら、手のひら返したように友達感だしてくるのよ!ありえなくない!?しょーがないでしょ!仕事ができるんだからよぉ!オメーよりよっぽど稼いどるわい!!この万年平社員が!!」


ソファーでのたうち回る花楓を紗弥華は優しく抱き締めた。


「大丈夫。花楓ちゃんはすごく魅力的よ。仕事できるし、美人だし、私をここまで育ててくれたとっても優しい人。ほら、大事なネックレスに髪の毛絡まっちゃってるよ。ちょっとじっとしてて」


それを聞いた花楓は瞳をうるうるとさせて紗弥華に抱きついた。

紗弥華は幼い子供をよしよしするように、花楓の黒髪を優しく撫でた。そして綺麗なセミロングの髪が傷付かないように、ゆっくりとネックレスのチェーンから髪の毛をほどき始めた。


「私はもう大丈夫だよ。花楓ちゃん。だってもうすぐ18だし。花楓ちゃんは自由に恋愛していいんだよ。私、高校生卒業したら今までのバイト代で専門学校の入学費だって賄えるし、専門行ってもバイトは続けるから、しんぱ」

「ダメ!!」


突然、花楓は紗弥華の言葉を遮った。


「花楓ちゃん?」


花楓は振り向き、髪の毛をほどいていた紗弥華の手を両手でぎゅっと握った。


「ダメ!専門学校なんて行っちゃダメ!」

「どうして?お金の事は自分で何とかするから」


それでも、花楓は首をぶんぶんと振って言った。


「そうじゃないの!約束したの!お姉ちゃんと!紗弥華が18になったら、アランと迎えに来るからって……。はっ!いっ今のなし!私何言ってるんだろ!?ほんと酔っ払ってダメね~」


明らかに挙動不審な叔母を逃がすまいと、慌てて部屋に戻ろうとする花楓の手を今度は紗弥華はぐっと握って捕まえた。


「どういう事?花楓ちゃん……。アランって誰?迎えに来るって……。お父さんもお母さんも事故で死んだって……私に言ったよね?」


沙弥華は花楓に詰め寄ったが、花楓は目をそらしてはぐらかす。


「いや、だから今のは酔っぱらってわけわかんないこと言っただけよ~気にしないで~」


そんな花楓の態度に、沙弥華は一際大きい声を出した。


「花楓ちゃん!ねぇ…お父さんとお母さんは生きてるの!?花楓ちゃん!」


紗弥華の真剣な表情に負け、花楓はポツポツと言葉を落とした。


「生きてる……。二人は生きてる……アステールで」

「アステール!?外国にいるの!?」


花楓は重く首を横に振った。


「2人がいるのは……異世界よ」

「いせ……かい?」


何を言っているのか理解出来ない沙弥華は聞き返した。すると花楓は今度は重く首を縦に振り、やるせない気持ちで眼を伏せた。


「詳しいことはまた明日話しましょう。私もちゃんと話したいから」


そう言うと、花楓は部屋に籠ってしまった。

1人リビングに残された紗弥華は、信頼する叔母の言っている事が何1つ理解できなかった。

本当に酔っ払って言っているだけの冗談なのではないだろうかとさえ思った。いや、そう思いたかったのかもしれない。

そして紗弥華はもう1つ重要な事に気が付いた。


「待って……。誕生日まで後1週間なんだけど……」


しばらく紗弥華はその場から動けずに、宛もなく視線を漂わせるしかなかった。


読んでいただいてありがとうございました。

コメントを書いて頂けると励みになります。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが読みたいです。更新を楽しみにしてます。
[一言] 今流行りの異世界転生ものってあまり好きではないんですけど、これは内容もまだ異世界異世界していなくて好感が持てます。 テンポよく読めていいですね。
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