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第60話:『虫』のダンジョンマスター

虫はどうも苦手

1週間後


「いつになったらダンジョンバトルが始まるのかな・・・」


メインルームにある硬いベッドの上でだらけていたその時


「失礼」


だらけきっていた俺の目の前に燕尾服を着たオクロック殿とはまた違った老紳士が立っていた。

だらけきっていたとはいえ、こんな近寄られるまで気がつかないとは


「何者だ!?」


俺はすぐさまベッドから下り、身構える


「わたくし、『力』を司るダンジョンマスターであるレオニダス様の執事である狼星(ろうせい)でございます」


「レオニダス殿の?てことは、始まるということか」


「左様。ですがその前に相手側のダンジョンマスターと顔を合わせる場を設けましたので、そちらにお連れ致します」


「わかった」


「デハ、ワレガトモヲシマショウ」


狼星殿の気配を感じ取ったのか、いつの間にかランスロットが立っていた


「申し訳ございません。わたくしが連れて行けるのは1名のみとなります」


「ソレナラ、アルジヲイカセルワケニハイクマイ」


俺と狼星殿の間に、ランスロットが剣と大盾を構えながら立ちはだかる


「大丈夫だ、ランスロット」


「デスガ・・・」


「ご安心ください。今からお連れする場は戦闘が禁止されている場所。もし『虫』を司るダンジョンマスターが敵対行動を取った際は、このわたくしが全力をもって対応致しますので」


「だとさ。俺は行ってくるから、ランスロットは皆を集めておいてくれ」


「・・・カシコマリマシタ。オキヲツケテイッテラッシャイマセ」


ランスロットは渋々納得してくれたが、他の眷属が来るとややこしくなるから早く行ってしまおう。


「では失礼致します」


狼星殿が俺の肩に手を置いた瞬間、先程まで石造りのメインルームに立っていたはずが、気がつくと豪華なシャンデリアが目立つダンスホールのような場所に立っていた。

狼星殿は俺の肩から手を離し、少し距離を取る


「お待たせしてしまい申し訳ございません。マンティア様」


狼星殿は俺の後方に待機しながら、俺の目の前に立っている俺と同じぐらいの背丈をした二足歩行のカマキリへと謝罪する。

見るからに『虫』のダンジョンマスターであろう、その姿は正直キモイ


「ギギギ、キサマガ、ウワサノポットデヤロウカ」


姿もキモいのに、声までも全身の鳥肌が立つ程の気持悪さ


「・・・・・」


とりあえず無視しよう。

虫だけに


「ギギギ、キイテイルノカ!!」


「狼星殿、俺の相手はこの虫けらでよろしいでしょうか?」


「うむ」


「ギギギ、ムシヲスルンジャネエ!!!」


無視されたのが気に障ったらしく、怒ったカマキリが右手の鎌を振り上げ、俺の頭目掛け振り下ろす


「失礼。ここでは戦闘行為となることを禁じているとお伝えしたと思いましたが?」


振り下ろされた鎌を狼星殿は左手の人差し指と中指で軽く挟む形で止める


「シルカソンノコト!!」


「そうですか。では死にたいということでいいのですね?」


狼星殿はカマキリ野郎へ睨みつけると、彼の全身から嫌なオーラが溢れる。

睨まれたカマキリ野郎のみならず、俺さえも全身から冷や汗が流れ落ちる程の威圧、下手したら死人が出るレベルの殺気だ


「グ、クソガ!!」


カマキリ野郎は悪態を吐きながら鎌を引くが、奴の足はブルブルと震えていた


「ありがとうございます。これでやっと話を進めることが出来ます」


何事もなかったように狼星殿は話を始める


「では遅くなりましたがお互いの紹介からさせていただきます。京様、こちらの方が『虫』を司るダンジョンマスターのマンティア様でございます。続きまして、マンティア様、こちらが『魔』を司るダンジョンマスターの北郷京様でございます」


「改めて北郷京です。よろしくマンティア殿」


俺はとりあえず社交辞令として、にこやかに挨拶をしてやった


「サマヲツケロ」


どうやら殿より様がいいらしい


「嫌ですよ。自分より雑魚なのにどうして様呼びしないといけないんですか?」


俺はとぼけた表情でマンティアを挑発する


「ゴミガ、コロスゾ?」


「できないことは言わない方がいいですよ?」


「ヨシ、コロス」


マンティアは学習もしないで、また俺に対する敵対行動を始めようとした、その瞬間


パンッ!!!


まるで爆発したかのような音が響き、耳がキーンとなる


「マンティア様?」


どうやら狼星殿が手の平を蚊を潰すかのように打ち合わせたようだ


「グググ・・・」


マンティアは先程のことで既に委縮してしまったようですぐ黙ってしまった


「京様も挑発するのはほどほどにして頂かないと」


「申し訳ありません」


狼星殿は俺にも鋭い目つきで睨んでくるので、とりあえず謝っとく


「では続けます。今回我が主、レオニダス様たっての希望の為、お二方には戦って頂きます。報酬としましては、勝った方には我が主が同盟を結ぶとの事です」


「ナンダト!?ソレハホントウカ!!」


「はい」


「コノムカツクガキヲコロセルシ、トップ10トドウメイヲムスベルシイイコトダラケダ」


「京様はよろしいでしょうか?」


「それで大丈夫ですよ」


虎の威を借りる狐。

トップ10の『力』と『時空』の二組と仲良くなっておけば、他のトップ10から狙われることも減るだろう


「では、戦闘開始は現時刻から2時間後でよろしいですか?」


「ソレデダイジョウブダ」


「自分も大丈夫です」


「かしこまりました。それでは各ダンジョンまでお送りいたします」


顔合わせが終わり、俺とマンティアはそれぞれのダンジョンへと送り届けられた





眷属


一鬼

ランスロット

東風

クラウン

クレイゴーレム

スケルトンナイトリーダー

バンピールナイト

犬神

鬼・セイバー

鬼・ランサー

鬼・アーチャー

鬼・アサシン

鬼・キャスター


ゴブリン雄:980体(+700)

ゴブリン雌:280体(+140)

スライム :  3匹

闇カラス : 10羽

ゾンビ  : 10体

スケルトン: 10体


住民


クラリス

クララ

サンスネル

スローン

スインス

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