第47話:無慈悲
慈悲も恩赦もかけない
『獣』を司るダンジョンマスターであるレオパルトとの戦いが終わり、今から一鬼たちの加勢に向かおうとしていた
「今から一鬼たちの加勢に行く。それにあたって一緒に行くメンツだが、今回は東風と犬神とクラウンの3人を連れて行く。あとはダンジョンに残ってくれ」
俺は皆が転移魔法陣に乗り、ダンジョン入口へ転移する前に、皆に告げる案の定、否定の声が上がる
「ランスロットはレオパルトとの戦いで疲弊しているだろ?」
「モウシワケアリマセン・・・」
「大丈夫だから少し休め。ただ、疲弊し切っているランスロットだけダンジョンに残すのは少し不安があるから、念の為、スケルトンナイトリーダーとバンピールナイトを置いていく」
「ダンジョンのことはわたくしめにお任せください!」
ナイトリーダーは快く引き受けてくれた
「仕方が無いわね。わたくしも残るわよ」
バンピールナイトは渋々引き受けてくれた
「ワカリマシタ。ドウカオキヲツケクダサイマセ」
ランスロット、ナイトリーダー、バンピールナイトに留守を任せ、俺と東風、クラウン、犬神は転移魔法陣に乗り、ダンジョン入口へと移動する
「よし。ここから一鬼らがいる場所まで少し離れているから急ぐぞ!!」
「魔スター君!!僕の魔法なら一鬼の所まですぐに行けるよ!」
「本当か!」
「うん!!《空間魔法ディメンションゲート》!」
ダンジョン入口のゴツゴツした岩肌に魔法陣が現れると、そこから赤色の扉が出現し、音を立てて扉が開く
「この扉を潜れば一鬼の所に行けるよ!!」
「凄いな!この魔法なら色んな場所に行けるのか?」
「どこでもは無理かな。僕もしくは僕以外の誰かが行ったことのある場所、あとは出会ったことのある人が現在いる場所にしか転移できないんだ」
「それでも凄い魔法だよ!ありがとうクラウン!」
俺が褒めるとクラウンは嬉しそうにはにかんでいる
「善は急げだ!一鬼、今行くぞ!」
そして俺らはクラウンが創り出した魔法の扉を潜り抜けると、そこはダンジョンの周りにある森林を抜けた先の草原であった
「一鬼は!?」
俺は一鬼を探すように周りを見渡す
「ますたー!!!」
探していると右側の方から一鬼の声が聞こえた
「一鬼!!無事だったか!!」
加勢に来た俺らは一鬼へと駆け寄る
「おれは大丈夫だ!ますたーは?ダンジョンバトルはどうなった??」
「勝ったよ。東風が頑張ってくれた」
俺は東風へ視線を向けた
「その面、烏天狗か?名前を貰ったのか!!」
「・・・・そうよ。名前は東風」
「東風か、いい名だな。それにおまえはクラウンか?なぜここに?」
「一鬼。ダンジョンバトルやクラウンのことは後で説明するか、今は戦況を教えてくれ」
「すまない。げんじょうだが、生き残っているのはおれとセイバーら5人のみだ」
最悪な言葉を聞いてしまった
何百といたゴブリンらは全滅したのか
「だが、敵も残り半分ぐらいまでけずれた」
「そうか。あいつら頑張ったんだな」
「ああ」
「そうか、そうか・・・」
俺は俯き、怒りに身体が震えている
「一鬼。残っている奴らを下げさせてくれ」
「なにを・・・」
「俺の魔法に巻き込まれる」
「わかった!!アサシン!!!!」
一鬼がアサシンの名を大声で呼ぶと影からホブゴブリン・アサシンの顔が現れる
「あいつらを後退させてくれ」
「かしこまりました」
アサシンは返事をし、すぐ影へと潜って消えた
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数分後
「お待たせ致しました。全員後退完了」
アサシンは影から顔を出し報告する
「わかった、ありがとう」
さて、これで心置きなくやれる。
俺は一緒に連れてきた眷属と一鬼をその場に留め、一歩また一歩と敵兵の近くへ近寄る
「やれやれ。いつも俺を怒らせるのはいつでもどこでも人間だな」
俺は歩きながら呟いた
「もうこれ以上仲間はやらせない」
俺は空に向かって右手を上げた
「《重力魔法 愚羅毘呑》」
俺と敵兵らの頭上に大きな魔法陣が浮かび上がる
「落ちろ」
と呟くと、背後の方から一鬼から声を掛けられた
「ますたー?」
どうやら俺が何をするのかわからないようだ
「まあ見てな」
俺は人差し指を上空へと向ける
「???」
一鬼は俺の指が指し示す上空へと見上げた。
他の眷属らも同じように空を見上げるが、真っ先にクラウンが声は発した
「ま、魔スター君、あれって・・・」
「気が付いた?」
「あ、あれはヤバいよ!!!!」
クラウンは慌て始めた
「なんだ?なにがおこっている?」
一鬼はクラウンの焦る姿を見て、状況がわからずおせり始める
「い、隕石だよ!魔スター君が隕石を落とそうとしてる!!」
「いんせき?」
「見えてきたぞ」
俺は一鬼とクラウンに空を見るように伝えると、眷属全員が空から落ちてくる巨大な隕石に気がつく
「な、なんだあれは!!!?」
「そろそろかな?《重力魔法グラビティア》」
俺を含む眷属らの身体が光ると、身体に掛かる引力が減り始め、少しずつ宙に浮き始めた
「余波がヤバいから空に逃げるぞ!!!」
俺は地面を強く蹴り、空へと逃げる。
俺のやり方を見た眷属らも、真似るように次々と地面を強く蹴り空へと逃げ始めた。
そんな姿をイシュタリアの騎士団は嘲笑っているが、どうやら隕石が落ちてきていることに気がついていないようだ。
しかし、一人の騎士が偶然空を見上げたため、隕石の存在に気がつき、慌てて空を指差し、大声を上げる
「もう遅い」
隕石はあと数十秒で地面に落ちるところまで来ており、騎士は逃げようとするが間に合わない
「さよなら」
俺は逃げた上空から騎士共へニッコリとまるで悪魔が笑っているかのようなゾッとする笑顔で、別れの言葉を告げた。
そして隕石は地面に衝突し、大爆発を起こした
眷属
一鬼
ランスロット
東風
クラウン
クレイゴーレム
スケルトンナイトリーダー
バンピールナイト
犬神
ホブゴブリン・セイバー
ホブゴブリン・ランサー
ホブゴブリン・アーチャー
ホブゴブリン・アサシン
ホブゴブリン・キャスター
ゴブリン雄:100体(二百体戦死)
ゴブリン雌:100体
スライム : 3匹
闇カラス : 10羽
ゾンビ : 10体
スケルトン: 10体
住民
クラリス
クララ
 




