第10話:デッド・オア・アライブ
どんな魔法か頭ではわかっているのに、魔法名を思い付かない・・・
今、俺はというと、ダンジョンから外出し、北西にあるという村に向かうため森の中を歩いていた
「猪とか出てくるかと思ったが、何もいないな」
あるのは、鑑定スキルで見つけた薬草やらキノコやらだ。
肉か魚が食べたい
「あ、森から抜ける。ってことは村が近いってことだな」
ダンジョンから歩いて約30分で森を抜けた
「さて、村はどこかな?あ、本当に森のすぐ近くにあった」
これから正念場だ。ら
どうか無駄な血が流れませんように
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ダンジョンから北西の村の入口
森を抜け、村の入口へ近づく。
観察してみると、土壁が目立つ家が10件ぐらいの小規模な村だ。
村を眺めていると、村長っぽいじいさんが歩いてきた
「これはこれは、ここら辺では見ない方ですな?どちら様でしょう?」
「俺は魔法使いでね。この村に繁栄をもたらそうと思い、やって来た」
「それはそれはありがたいことですな」
「だが、無償ではないがね」
「左様ですか。ただ見ての通りこの村は貧しいので金銭となりますと・・・」
「いや金銭より家畜を数匹譲ってもらいたい。家畜は飼育しているよな?」
「はい。それほど多くはありませんが飼育はしております。今、連れて参りますので少々お待ちください」
村長は村の中へと戻った。
少し待っていると、家畜ではなく剣を持った40歳ぐらいの男を一人連れてきた
「ほう。お前がじいさんが言ってた変な男か?確かに変な格好をしてるな?」
剣を持った男が見下したような目で見てきた
「家畜はどうしました村長?」
「家畜など飼育しているわけなかろう!していたとしても誰が貴様のような怪しい者に渡すか!」
「そうか、残念だよ」
「おいおい。俺は無視か?ていうか、いきなり来て家畜を寄越せと言われて、渡すと思ってんのか?」
「本当に残念だ。渡さないと言うのが、この村の総意と考えていいんだな?」
「何格好つけてんだ?怪我したくなければ、さっさと消えろ!」
人間はどの世界でも同じみたいだ
「そうか。なら、滅ぼすだけだ」
「てめえっ!?」
男が剣を抜いて、俺に迫ってきた
だが、俺の方が早い
「遅い。《死霊魔法 冥府の煙》」
俺は手を前に突き出すと、手のひらに小さい黒い魔法陣が現れ、そこから黒い煙が勢いよく吹き出した
「!?」
剣士と村長はあっという間に煙に飲み込まれ、村も煙で覆い尽くした
「悪いな」
煙が消え、残ったのは肌が腐食した死体だった
「死霊魔法リビングデッド》」
目の前に転がっていた剣士の亡骸の真下に黒い魔法陣が現れると、剣士の死体が急に動きだした。
いわゆるゾンビだ。
本当は村人全員、ゾンビにしてもよかったが大勢だと邪魔になる
「俺について来い」
ゾンビとなった剣士は頷き、俺の後を追うように歩きだした。
次の村では間違った選択をしないでほしいな
ーーーーーーーーーーーーーーー
ダンジョンから西の村の入口
次の村へ辿り着いた。
ゾンビ剣士は最初は森の中に待機してもらっている。
そうこうしていると、やっぱり村長らしいじいさんがやって来た
「こ、これはこれはどちら様でしょう?」
おかしいな、凄く恐がっている?
というより、村長は俺の後ろを見て怯えているようだった。
俺は振り向くと、そこにはゾンビ剣士が立っていた
「そ、そ、その者は隣村の騎士様!?」
え、騎士、こいつが?
だがら、中々いい剣を持っていたのか
「はあ、もういいや。村長、俺はこの村に繁栄をもたらそうとやって来た魔法使いだ。こいつは、俺の提案を断った。というより逆らったから、殺してこの姿にした」
「な、なんということを!」
「逆らった者の末路なんて、こんなもんだよ」
「何をお渡しすれば?」
「話が早くてありがたい。家畜を何頭かもらいたい。この村に家畜はいるか?」
村長は顔を青白くした
「申し訳ございません!!この村には家畜はおりません。しかし、先程、捕ってきたビッグボア2頭とビッグバード2羽がございますので、それでどうかお見逃しください!!」
「いいよ」
「よ、よろしいのですか?」
「うん。それだけで十分ですよ。一応、物を見せてもらっていいですか?」
「もちろんです!どうぞこちらへ!!」
「お前は今度こそ森で待ってるよ」
ゾンビ剣士に命令し、俺は村へと入っていった。
この村には逆らってくる者がいないみたいでよかった。
それにあの剣士、どこかの騎士だったこともわかった。
ダンジョンに帰ったら、あの騎士を素材にして眷属召喚してみるか
眷属
ゴブリン雄 :40匹
ゴブリン雌 :10匹
スライム : 3匹
闇カラス :10羽
クレイゴーレム: 1体
ゾンビ剣士 : 1人