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「砕けて逝けえええ!!!!」
「フォオオオオオ!!!!!!!!」
全てを解き放ったミャオは、手に持った十字架を振り落とし、妖神を一気に押し潰していく。
敵もそんなミャオに対抗するべく、大鎌で攻撃を受け止めようとしてきた。
だが、互いの攻撃がぶつかった瞬間、電撃のようなエネルギーの迸りが生じると、妖神の大鎌は粉々に砕け散ってしまう。
「フォオオオオオオオ……」
ミャオはそのまま十字架で、妖神を叩きつぶしていき……。
ついに、作中最強の敵は粉々に消え去ってしまった。
「終わった」
「今度こそやったにゃ!」
禍々しい気配が薄れていく。
妖神の雄叫びが完全に消え、あたりに静寂が戻っていく。
「うぐっ!」
「ミャオ!」
強大な相手との戦いに勝利した瞬間だった。
今まで凛とした佇まいだったミャオは、突然胸を手で押さえて苦しみだした。
「痛いの苦しいの飛んでいけー!」
それを見たクス子はすかさず、いつもしているようにミャオを治療した。
「う、うそ! 治らない!」
だが、ミャオの苦しみが和らぐ事はなかった……。
「ぐうっ、あああああ!!!!」
それどころか、荒々しい呼吸をしながら全身を激しく震わせ、その場にうずくまってしまう。
「ミャオちゃんはもう助からないよ」
この状況を見守っていたリリィお姉ちゃんは、悲しげな表情をしながらそう僕へ告げてきた。
「あたしの力じゃ……駄目なの?」
「そんな! ミオリーゼさん!」
ミャオの喪失によるショックは大きく、クス子はその場で涙をぽろぽろと零しながら座り込み、マリーさんは首を何度も振ってこの無情な現実を振りきろうとした。
「でも、そんなどうしようもない状況を逆転できる方法が一つだけあるの。タロ君、分かっているよね?」
「うん」
みんなが僕の方を向いている。
分かってるよ、僕の史上最強のスキル”全ての望みが叶う”でミャオを救うんだよね。
「うああ!!! ああああ!!!!」
僕はミャオへと近づいていく。
その間も彼女は胸をかきむしり、叫びながらのたうち回っていた。
「頼む、ミャオ。戻ってきてくれ……」
そして僕は、苦しむミャオの手をぐっと握り、そう告げた。
「ああ……、うあぁ……」
だが、状況は何も変わらなかった。
このまま僕は、ミャオが弱っていって命を落とすのを見守る事しか出来ないのか?
僕は……、やっぱり無力なの?




