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7 夢は密かに終わりを告げる

《》内はスマホのチャットを表しています

≪ホントに言ってるの!!≫


≪そんなに驚くことかよ≫


あれから数日後如月に半ば強引に交換させられたメッセージに着信があった。

一昨日の文化祭の話からをしていると何故か不自然にも遊園地の話になった。


そして遊園地に行ったことないと言ったら返信数秒で驚かれた。

きっと画面の向こうで笑ってるんだろうな。 


≪なら仕方ないな、明日遊園地に行こう≫


≪嫌だよ、三時間待ちとか普通にするんだろ・・・・・≫


≪大丈夫、明日は平日だから≫


平日なら遊園地は空いていて待ち時間の問題もないと言いたいのだろう。


≪でもチケット高いんじゃないのか≫


ここぞと言わんばかりに行きたくない理由をぶつける。


≪実は・・・お母さんが・・・・ね≫

≪?≫

霧雨らしくもなくチャットの返信が遅い。


≪退院祝いに遊園地のペアチケットくれたんだ≫


≪よかったじゃん≫


≪それがシオンとの関係を勘違いされてるらしく「これでデートに行ってきなさい」とか「今度改めて紹介してね」って言ってた≫


きっと霧雨の心の中で戦いが起こっているのだ。両親にもらったチケットで遊び安心させてあげたい心と両親に勘違いされたままでいるじれったさ。


≪なら早めに誤解を解こう、手伝うよ≫


≪別に急がなくても…いいかも、ほら勘違いされてる方が面白いし≫


≪全く面白さを感じないんだが≫


≪うるさい。ばか!≫


それっきり着信はなかった。何か怒らせてしまったのだろうか。

明日の遊園地にて機嫌を取り戻してもらわなければ。


明日は波乱な青春の一ページになりそうだ。

そんな予想に反し瞼が重くゆっくり沈んでいった。



                       ※



高速バスに二時間揺られそこから満員の環状線に五分乗り直通の駅に到着。そして遊園地入場口で入場パスを掲げ到着した。

満員電車の中で顔が近くなり何故か二人とも俯いてしまう気まずいことがあったがとにかく無事についた。


遊園地入口から150メートルは続くアーチを潜れば大きな城にアトラクション。

その大きさには夢の中に入ったかのようだ。


しかも平日だというのに人で溢れかえっていた。


「シオンは何かやりたいことや乗りたいアトラクションある?」


「先生、まずどんなアトラクションがあるか分かりません!」


「よし先生に任せなさい。効率よく遊園地を回るよ」


霧雨の後を迷子にならないようについていく。


周りを見渡せば多くの人が喜びに包まれている。こんなに幸せで溢れかえっている場所はいくら探してもそうないだろう。

最初はそう思っていた。


――あの乗りものは危険だ。


みんな悲鳴を上げて笑顔で楽しんでいるが何が楽しいのだろう。 浮遊感?慣れない重力からの違和感だろうか?


「要するにジェットコースターが怖かったの?」


「何故皆がお金を払ってまであんなものに・・・・・」


「プッハァハ、意外だね。 そっか怖いのか」


腹を抱えて大笑いしている。そんなに無様だったのだろうか。


「今度は浮遊系なしで行きましょ」


「じゃあ、次はどのジェットコースターに乗ろうか」


勘弁してくれ・・・・。でも病室にいたころには見られなかった爽快な笑顔。

少しだけ見惚れてしまった。


「そ、そうだ。その服よく似合ってますよ先輩」


「話を逸らすために褒められてもあんまり嬉しくないんだけど・・・」

と口ではいいながら満更でもなさそうで華やかに一回転した。


病室では病服、文化祭では制服のため彼女の私服姿はこれで初めてだ。

彼女らしく軽やかに尚且つ派手すぎないカジュアルな感じだ。


それから遊園地のマスコットキャラクターと一緒に中半強引に写真を撮ったり、昼間から休憩がてら観覧車に乗ったりもした。太陽が照り付ける中の景色もなかなかだった。

時間は午後二時、遊園してから五時間経過していた。


「そろそろ帰りましょう」


「まだ早いよ、夜のパレード見ていこうよ」


「先輩はまだ退院して四日しかたっていません。無茶はしない方がいいです」


ホントは楽しい。この時間がまだあと五分でも続けばいいとさえ思った。


「私はもう大丈夫。だから…ね、いいでしょ」


彼女が僕の腕を掴む。


慣れない移動もあり体力、気力ともに限界のはずだ。

これ以上は多分危険だ。直感がそう言っている。


「先輩、お願いですから帰りましょう。これ以上いたら・・・・」


数秒の沈黙が続く。霧雨が腕を引っ張って突き進む。


「あと二時間・・いや三時のパレードだけでも・・・・」


「また今度来ましょう。今度は僕から誘いますから」


「・・・・。ホントに?」


「ええ、本当に」


「・・・・」


「先輩?」


そう・・・、と聞こえた直後先輩の体が揺らぐ。 バランスが取れず地面に倒れる彼女の体をどうにか支えた。


「しっかりしてください!」


先輩を支えながら声を掛けるが返事はなく、ただひたすらに神様に祈るばかりだった。


あと二章で完結させていきたいです

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