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終着点
「ええと、結果は、あとで伝えることになるんだけど」
天使採用試験を受けに来た天使候補に目を向けて、わたしは首を傾げた。
「どうかしましたか」
天使候補は怪訝そうに、眉間の皺を深くする。
ああもう、一度は薄くなったのに。
呆れたように、笑って見せる。
「意外と、気付かないものだね?」
「はい?」
「いやまあ、人型で会うのは初めてだし、仕方ないっちゃ仕方ないんだけどね」
「なにを言って……」
「銀色でもないしねぇ」
なにせこちらは生粋の日本人。銀色要素皆無の外見である。美人でもないし。
「銀色……?」
「シルヴィアって顔じゃないか」
「お前、まさか……」
ようやく気付いてくれたらしい元持ち主に、微笑み掛けて言った。
「久し振り、ハデス」
次の瞬間、頬を固い胸板に叩き付けられて、そう言えば彼に抱き締められるのは初めてだななんて、ぼんやりと思った。
拙いお話を最後までお読み頂きありがとうございました!
ヒューマンドラマさんの懐の深さを、作者は信じています