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今日から学校と仕事、始まります。①莞

誰にも負けない愛情で、彼女達は馬鹿

作者: 孤独

とある喫茶店にて。


珍しくテーブル席に4人。それは別に珍しくもないか。

1と3の、相席。男と女達の相席だった。


「は?」


広嶋健吾はスマホでスポーツ中継を聞きながら、何言ってんだと返す言葉を出した。

先に伝えた真ん中に座る沖ミムラは、もう一回、大きく精一杯の気持ち入れて、呼ぶように


「広嶋くんの事が好きだから!!あたしと付き合って!」


告白を、ずるいって感じで。両隣に座る。のんちゃんと、裏切京子は、ミムラの服を掴んでの抵抗。


「そ、そ、それはないですよねー。広嶋さん。のんちゃんの方が家庭的ですよ!」

「ですわよ!広嶋様が、ミムラとなんかと、お付き合いなどと……この裏切!殺し合いも辞さないですわ!」


ミムラは大学生。広嶋と同い年。

裏切京子は高校生。年下。

阿部のんは、小学生。さすがに付き合うのはやばい……。ある意味、犯罪者扱いだ。


見た目だけ見れば、3人共悪くはないが。


「お前等が勝手に言ってるな。今、野球が良いところなんだよ」

「告白ですよ!あたしからですよ!」

「いや、俺は別にお前の事。好きでもねぇし」

「ガーーーンッ」


ひでぇ……。


「つーか。お前等は、俺のどこが良いと思っているんだ?俺、鬱陶しい女は嫌いだ」

「それあたしの事言ってますか!?それとも、裏切ちゃん!?」

「ミ、ミ、ミムラの事ですわよね」

「両方ですよー。のんちゃんは違いますけど」


いちいち、話を進ませてくれない3人馬鹿女である。


「それはやっぱりとっても強いから!あたし、好きな人が死んじゃった過去を話した事あるでしょ!強い人じゃないと、あたしと付き合えないの!たぶん!」

「俺に死ねって言って、告白してんのか!?」

「のんちゃんはですね。やっぱり、こうしてのんちゃんが過ごしていた平穏を、広嶋さんが届けてくれたからです。そこに広嶋さんが、もっと近くに……」

「さすがにお前とは、歳の差というか。お前がまだ子供だろ。10年以上早い」

「この裏切は!」

「お前は分かっているからいいや」

「酷い!!でも、そんなところがまた素敵ですわ!!そんな冷淡さが、この裏切を刺激してくれるのですわ!」


広嶋からしたら、この3人はかなり鬱陶しい。色々、助けたり、助けられたり、しているわけだが。こんな3人と付き合うという、生活の半分くらいを差し出すマネ。そんな覚悟は到底作りたくない。

本人自身、いつ命が終わるか分からない、自分も人の命も弄ぶ人間だから。余計でもある。


「ひ、広嶋くんが嫌いとか、どーでもいいとか思っていても。今はいいよ!この中で、あたしは一番。誰にも負けない君への愛情があるんだから!」

「どんな?」


自信満々に、自分が愛を持っているって、ミムラが言う。しかし、広嶋はどーでも良さげ。というか、迷惑的な感じであった。


「強く抱きしめられて!」


ミムラは拳を握って、


「極悪マフィアの銃弾からあたしを庇ってくれる、広嶋くんが見えるくらい!!」

「俺、死んでんじゃねぇか!?お前の愛情は妄想だ!」

「じゃあ、裏切ちゃんの銃撃で」

わたくしがそんな事するわけないでしょ!ちゃんとミムラを銃殺するわよ!信じてください!!広嶋様!」


そういって、セーラー服から拳銃を取り出す裏切は、ミムラの頬を銃口でゴリゴリ押す。


「俺がお前を庇うわけないだろ。裏切も銃をしまえ」

「えーーーっ!?酷いよ、広嶋くん!守ってください!抱きしめてもアリなんですよ!」

「お前の例えが一番酷いわ!俺、死ぬっつったろ!」

「まったくですわ。ところで、裏切は庇ってくれます?」

「お前が俺を庇うだろ?あり得ない質問するな。分かってる」

「分かってます頂きましたーー!裏切は至福ですわーー!」


ガックリミムラの隣で、デレデレ裏切。そんな雰囲気でのんちゃんは、


「の、のんちゃんは、庇ってくれます?そんな状況でも」


残念も分かっている。だけど、聞いておきたい。


「のんだったら守るな」

「えーーーっ!?なんで!?」

「どうしてですか!?」


間隔が空かない返答に、驚くミムラと裏切。


「そりゃ、子供で女だから。ま、そーいう危険な事をさせたり、巻き込むのは俺の性分に反する」


単純に人としての声。それに、


「ロリコンって事なの!?」

「……………」

「ロリコンなの!?広嶋くん!?」

「…………」


ドガアアァァッ



ミムラの執拗な罵倒みたいな確認に、広嶋が怒り、彼女の顔面をテーブルに凹むほど叩きつけたのは、ある意味当然だった。


「こーいう事があったら俺に言えよ、のん。すぐに制裁してやるから」

「は、はい!」

「ミムラ、生きてます?」

「だ、……だ、……大丈夫だよ。あたしだって、こんなことでめげないもん……」



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