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異世界の闇軍師  作者: まさな
第四章 侯爵令嬢

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第七話 人体実験

2016/10/14 若干修正。

 ヤヌールの街の宿屋の一室で、俺は調合や魔法研究に専念。

 あの門番の兵士達とはもう揉めたくないので、街の外に出て薬草や木の実を集めるのは無しにした。


(ヒマ)ニャー」


 リムもあの門番とは顔を合わせたくないようで、お出かけしてくれない。

 暇を持て余した挙げ句、俺の部屋にやってきて、ベッドを占領。それだけなら良かったのだが、時々、抱きついたり、ヘッドロックしてきたり、と魔法研究の邪魔ばかりしてくる。


「ああもう、リム、お前、ティーナのところへ行ってろよ」


「嫌ニャ。あの兵士とまた揉めたら、怖いニャ」


 モンスター相手には全然ビビらないくせに、権力には弱い奴。ま、権力に弱いのは俺もだけどね。


「だったら、せめて邪魔はしないでくれ。俺は早めにこのお風呂魔法、完成させておきたいんだよ。完成したら、お前にも使わせてやるから。気持ちいいぞー」


「うーん、別に体は昨日洗ったからもう良いニャ。それより、なんかして遊ぶニャー」


「ぐぐ」


 俺より力が圧倒的に強いので、羽交い締めにされると、ほとんど身動きが取れん。


「うりゃ」


 リムが俺の首をひねってきた。


「いてててて! 分かった! 遊んでやるから!」


「やったー♪」


 くっそ、死ぬかと思った。ひとまず、首にサロン草を貼っておこう。

 

「よーし、リム、じゃ、ゲームをやろう」


 お前のデスゲームをな!


「フッ、素直に最初からそう言うニャ」


 ムカつく!

 まあいい。ちょうど、実験台が欲しいと思ってたところだし、死ぬことは無いだろう。


「じゃ、準備するからちょっと待て」


「分かったニャ。早くするニャ」


「ああ。ルールを説明するから、よーく聞いておけよ? 二度は言わん」


「わ、分かったニャ」


「お前はこれから目隠しして、俺が出した食べ物を食べるんだ」


「ニャ! 食い物ニャー!」


「おう。で、それが何かをバッチリ当ててくれたら、そうだな、正解一つにつき、魚一匹をくれてやろう。全問正解したら、なんと豪華ヨーロッパ一周旅行をプレゼント!」


「おおー」


 ま、絶対に全問正解は無理だろうから、連れて行けなくても問題ない。

 宝くじの一等賞が本当に受け渡しされてなくても成立する、夢を買いまショーだ。

 だいたい、お前、ヨーロッパがどこかも知らないだろ。


 俺を邪魔して首を痛めてくれたお礼、たっぷりとしてやんよ。

 人体実験としてな! フハハハ!


 とは言え、最初は美味しいエサを与えておかないと、バカ猫もゲームに乗ってこないだろう。

 なので、最初だけ、猫の実を出してやることにする。


「じゃ、目隠しな」


「鼻はいいのかニャ?」


「ん? ああ、まあ、よしとしよう。その代わり、食べる前から匂いを探るの禁止で」


「分かったニャ! それでも楽勝ニャ」


「ほほう。自信がありそうだな。じゃ、第一問、これなーんだ。ほれ、あーん」


「あーん」


 なんだか、目隠しした女の子にこうやって物を食べさせるのは凄いヤバい雰囲気があるが、今は気にすまい。

 復讐するは我にあり!


「あむっ、んー! んぐんぐ、分かったニャ!」


「では、リムさん、答えをどうぞ!」


「猫の実ニャ!」


「はい、正解! やるなあ」


「ニャハハ。それほどでも無いニャ。こんなの誰でも余裕ニャ」


「ま、最初はサービス問題だからな。これからちょっと難しくなるぞ?」


「ムム、よーし、かかってこいニャ」


「その意気だ。じゃ、第二問」


 すでに俺は乳鉢と乳棒を出して、アロエ草と毒消し草を混ぜている。これはポーションの状態にすれば、この世界でも普通に売っている代物だ。


「あむ。むっ? んん?」


「さあ、食べ物が一種類とは限らないぞ?」


「あ、アロエ草と、毒消し草ニャ」


「正解! さすがリム」


「ふふん。でも、もうちょっと旨い、お魚が欲しいニャ」


「まあ、続けてたら出てくると思うから」


 干し魚を途中で混ぜるか。


 そして、今、俺が新たに調合しているコレ。

 ここからが本番だ。


「じゃ、第三問、準備はいいか?」


「良いニャ。あーん。あむっ。むっ? むむ?」


 おお、いきなり吐き出すかと思って桶を手前に置いているのだが、意外に平気そうだな。

 サロン草は食える、と。メモメモ。


「さあ、リムさん、答えをどうぞ」


「ん、んん? なんか、スースーして、冷たいニャ。前にこれ食ったこと、有るんだけど、どこだったかニャ…」


 食べたのかよ。ひもじくて食ったのかな? それとも、サロン草を使った料理があるんだろうか?


「残り、五、四、三」


「ま、待つニャ! 飴ニャ! ミント!」


「ブブー、外れ。残念! サロン草とアロエ草でしたー」


「エー。そんなもん、食わせるな!」


 好き嫌いが無いリムが怒るからには、サロン草は一般には食用になってないのだろう。


「じゃ、次、第四問」


「魚、来い! 魚…。あーん、あむっ、もぐもぐ、んん? うえー、苦いけど甘いニャー、何これぇ」


 それは猫の実とヨモギ草のブレンドでございます。猫の実のリンゴを思わせる芳醇な甘みと、ヨモギの青臭い苦みが、きっと変な風に絡み合い、熱いバトルを口の中で繰り広げているのだと思います。


「答えは猫の実と、ヨモギ草でしたー」


「ムウ。猫の実だけ欲しかったニャ!」


 そうだろうけど、それじゃ復讐にも実験にもならないのよ、リムちゃん。


「第五問!」


 さてこれは…ちょっと不安があるので、HP表示に注意しておかないとな。

 いくら復讐と言えども、パーティー仲間なので、そこはステータスの呪文を無詠唱で唱え、最低限のフォローはするつもりだ。ヤバくても吐き出させて、高級ポーションを飲ませれば、コイツの体力なら生き残れる、はず。


「あむ? んん? また、ちょっとスースーするけど、コレは美味しいかも」


「えっ? マジで?」


 ロキソ草とコーワ草の実をすり潰して混ぜたものなんだが。俺だったら、実験でもまず口にしないね。

 どっちも外用薬だし。


「口が変な感じになって来たニャ」


 あれだ、麻酔状態になったと思われ。


「よく分かんなかったし、もっと食わせるニャ」


「いや、お答えをどうぞ」


「ムー…じゃ、ミント?」


「外れ。ロキソ草とコーワ草の実でしたー」


「エエ? 何それ?」


 知らぬが仏だろうな。


「第六問!」


 ここらで一度、まともなものを挟んでおく。干した野苺と干したピンクビワ。


「うう、あむっ、んん? これ、食べて大丈夫なものニャの?」


「もちろん。どっちも前にお前に食わせてやったぞ?」


「エエ? あっ! 野苺とピンクビワ!」


「当たり~」


「ムウ、見ずに食べると、ごわごわして、最初、虫かと思ったニャ」


「うえ、それは厳しいな。安心しろ、リム。虫はここには用意してない」


「そうニャ? 芋虫と蜂の子は美味しいニャ」


「おええ、そんなもん食うなよ…つ、次!」


 くっそ、俺が精神的ダメージを受けたじゃないか。

 気を取り直して、次はコレ。

 コレも、普通は食べないな。


「ニャ、山蜜柑の匂いがするけど、これ、皮かニャ?」


「正解!」


「中身を食わせろニャー…」


 ごめんね、リムちゃん。山蜜柑の中身はもう持ってないのよ。今度見つけたら、食べさせてあげるけどね。

 それにしても、リムの奴、途中で投げるかと思ったが、まだやる気だな。最後は干し魚を出してやることにして、もうちょっと行ってみるか。


 俺は色々な組み合わせを試してみた。

 高級(ハイ)ポーションも一個、材料として使いきることにし、調合していく。


「ニャ、これはなんだか美味しいかも」


 ふむ、山蜜柑の(ピール)と高級ポーションの組み合わせは、味的には有りと。

 まー、値段を考えたら、普通は絶対、山蜜柑だけで食うだろうけどさ。


 ん?


「お、おい、リム、気分はどうだ?」


 やっべ、何かしでかしちゃったよ、コレ。


「ニ、ニー!」


「ん? んー、ちょっと良い気分ニャ!」


「そ、そうか。とりあえず、この実験は失敗みたいだ。吐き出せ」


「嫌ニャ」


「いやいや、マジでお前のステータス、なんか変だから」


 ここに用意した材料的に、HPが減るか、毒状態になるくらいのもんだろうと高をくくっていたのがまずかったか。

 リムのHPバーが何やら水色に光っている。


 どうしましょ?

 

 高級ポーションと毒消しを飲ませて応急処置したいところではあるが、この状態を引き起こした材料の片方が高級ポーションのため、ちょっと今は与えない方が良いのではと思う。

 HPそのものは減っていないので、命に危険が有るとは思えないが、不安だ。


 しかし、困ったぞ。

 何がどうなってるのか分からないので、手の打ちようが無い。

 リムが耐えられるようなら、このまま時間が経つのを待って、変な効果が切れるのを待てば良いだけなんだが。

 生兵法(なまびょうほう)大怪我(おおけが)(もと)とはよく言ったもんだ。

 これでリムに後遺症が残ったり、万が一、死んだりしたら、俺はティーナに土下座だな。そしてあの世で猫パンチ。


 ひー。


 落ち着け。

 何か方法があるはずだ。


「そ、そうだ。リム、喉が渇いただろう。水でも飲んどけ」


「ああ、うん」


「目隠しはもう良いぞ」


「で、これは何だったんニャ?」


「ああ、ハイポーションと山蜜柑の皮だったんだが」


「また皮? 中身が良いニャー…」


「すまん。また今度、取ってきてやるから」


「ニャ! 約束ニャ!」


「おう。むう、元に戻らんな…」


 HPバーが水色に光ったまんまだ。

 しかも、光るって、ちょっとねえ…。

 無敵状態?

 いやあ、ねえだろ…。


「あっ、そうだ」


 ステータスの呪文を唱え、詳細パラメータのページを出してみる。

 麻痺やら何やら、バッドステータスが付いていればこれで分かると思ったのだが、

 別のページで理解できた。



 [3ページ目]


 【総合能力値】


 物理攻撃 92

 物理防御 66 +21

 物理命中 61

 物理速度 75

 魔法攻撃 23

 魔法抵抗 27

 詠唱速度   7

 器用さ  25

 格好良さ 38

 交渉力  24

 重量   52



 防御力が上がっている。

 右に臨時のボーナスが付いてた。

 バリアの呪文を唱えて確認したが、さらにボーナスが8ポイント上がったので、この調合薬とバリアの重複も可能と。

 さらにバリアが重ねがけ出来ないかとやってみたが、それはダメだった。

 それでも、前衛の防御力が50%近く増大するのは、かなり有利だ。


 ステータスアップが今のレベルの調合で簡単に出来てしまうとは、これは他のも是非、見つけておきたい。

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