第三話 海開き――ザ・水着姿の乙女達、もちろんポロリもあるよ!
2016/12/1 若干修正。
何を隠そう、こう言う日もいつか来ることがあろうと俺が前々から準備していた水着だ。
『チャンスを掴めるのは事前に準備をしていたエロい人間だけだ!』by ユーイチ
「なっ! き、着るって、こんな狭い範囲の、これじゃただの下着でしょ! 下着より酷いじゃない!」
ティーナは顔を引きつらせ声を荒げて怒るが。
「否ッ!」
ここは全身全霊で否定する。
「ええ?」
「さあ魔剣リーファよ、俺の思考を一字一句、嘘偽り無く、皆に教えてやるのだ! それが俺が嘘をついていない証拠となるッ!」
「面倒じゃのう…まあいいか。これは俺の故郷では海やプールなんかの水場では当たり前に着る専用の服で、パンツじゃ無いから恥ずかしくないもん! パンツじゃ無いから恥ずかしくないもん! ほれ、ちゃんと二回言ってやったぞ」
よし。
「ホントに?」
「くっ、肝心な時に信じてもらえないとは、自業自得、日頃の行いのせいとは言え、無念……! ひんひん」
「もう、何も涙を流して泣くことは無いでしょ。ちょっと一つ貸して」
ティーナがそう言って受け取ると、海の水の中に浸す。
「ん? 何をしてるんだ?」
俺は疑問に思って問うが。
「うん、ユーイチのことだから、水に浸したら溶けるのかなーって」
なっ!
「うわぁ……ティーナ、君って奴は…」
俺は頭を抱えて信じられないという顔で天を仰いだ。
「だって…」
「グッドアイディアッ! オホン、みんな、一分前までの記憶はすべて消去してくれ。今日の話は無かったことに」
作り直してこないと。
「「 なんでよッ! 」」
「時々アンタの頭の中身を開けてみたくなるわね。ナイフで」
と、リサ。やめてくれ。
「でも、その反応なら、大丈夫ちゃう?」
ミネアが言うが。
「でも、コレだよ? 着るにしたって、下着より小さいなんて…うう」
ティーナが持った水着を見て顔を赤らめる。いや、君のファッションセンスの勇気からして大丈夫、恥ずかしくない!
「いくら水に浸かる為と言ったって、人族の考える事はホント分かんないわね!」
エリカも不機嫌そうに言う。
「これなら裸で泳いでも変わらんと思うが…」
レーネも水着の良さが分からない様子。それでも君はアウトドア派の女子かね? 恥を知り給え、恥を!
「が、頑張り…うう」
頑張ってくれそうなクロだが、自身の羞恥心には勝てない様子。
「まあまあ、皆さん、せっかく海に来たのですし、泳いでみるのも良いと思いますよ? うふふ」
クレアがそう言って黒い水着を一つ、拾う。
「ええ? ちょ、ちょっと、本気なの? クレア」
ティーナが慌てつつ言うが、クレアはそのつもりのようで、近くの家を訪ねていく。着替えるつもりだろう。うしっ!
「ティーナ、それは俺の時代の最先端のファッションだ。下手したら千年先のな」
「ううん…、いくら先取りと言っても、コレはね…」
「どないしよ、領主様の命令やったら、うちも頑張るかもしれんけど…」
と、チラッとこっちを見て言うミネア。
「む、むむ…いや、コレはあくまで各自の自主性に任せたい。ファッションの強制は無しだ」
俺は権力のいけない誘惑に耐えつつ言う。
「偉い! 命令だ、なんて言ってたら、刺してるところよ」
ティーナが言うが。
「褒めてるけど、コイツ、自分が赤ローブを着せられたくないだけだと思うけど」
リサが指摘。ま、それもあるが、無理矢理着せるって違うと思うし。
「ええ? ああ…」
「でも、面白そうニャ。ちょっと着てみるニャ!」
そう言ってその場で服を脱ぎ始めるリム。
「こら、リム! そこで着替えようとしないの! ちゃんと家の中で」
当然、ティーナが叱る。
「ええ? ああ、分かったニャ」
「そうね、一つ、良い方法があるけど」
リサが俺を見てそう言ったが、イヤーな予感。
「なぁに?」
「こいつの目を潰しておけば、問題無くない?」
「ええ?」
「馬鹿な! 横暴だ! その水着は男に見せるという重要な役割もあるんだぞッ!」
「む。余計、反対したくなったけど、そうね、じゃ、ユーイチは目隠しの刑で」
ティーナが無情なことを言う。
「酷い……何のために俺は今日まで生きてきたと思って…くっ」
「別に水着を見なくたって死にはしないでしょ。ホント馬鹿ね」
リサが言うが、人間にはモチベーションだってあるんだぞと言いたい。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
目隠しされ、ロープで縛られ、砂浜に放置されること十五分。
うん、あいつら、熱射病とか考えてないだろ。
何この仕打ち。俺が何をしたと言うのだ、まったく。
マジで熱いんですけど。
暑いじゃ無くて、熱い。砂や頭が。
仕方ないので暗闇の呪文を自分に掛け、氷壁の呪文で氷も周囲に出しておく。
まだ熱いので、風玉の呪文で送風を始めたら、良い感じで涼しくなってきた。
「ふう」
「あっ、沈黙も掛けておくべきだったわね!」
などと戻って来たティーナが言うが。けっ、ま、次から魔術士を拘束したら忘れずにやるんだな。ミオは気づいてて「ん、それでいいの?」とティーナに聞いていたが、ティーナは気にしなかったし、リサもそこまでしなくて良いと思ったか、ロープだけにしていた。
「ティーナ、本気で、俺はこのままなのか?」
問う。
「ええ。だって、イヤらしい目でみんなを見るの、ふふ、ダメだもん」
「くそ…たまにはご褒美が有っていいだろ…」
「そうねえ、うーん、でも、本当に恥ずかしいから、今日は我慢して。いくら何でも、コレを着て人前に出ろと言われたら、ちょっと無理かも」
「いや、みんなにはもう見せただろ?」
「ええ。女子の仲間はセーフだけどね」
チッ。一時的に女性に変身する呪文でも開発するかね。
「お待たせ。でも、コレ、ほんまに凄いな。マズいところは見えてないけど、余計にヤらしい気もするで?」
「そうねえ」
ティーナとミネアがお互いの体を見合って、そんな感想を述べるが。
俺には暗闇しか見えない。絶望の暗闇だ。
「ニャ! ティーナ、ミネア、水が冷たくて気持ちいいニャ! 二人もこっち来て海に入るニャ!」
「そうね。行きましょ、ミネア」
「うん。じゃ、後でな、ユーイチ」
「あ、おい!」
くそ、本気で放置プレイかよ。
縛られたまんまで。
だが―――考えろ。
この絶体絶命の中でも、呪文は使えるのだ。
ならばッ!
この短時間の中で、外の様子が手に取るように分かる、真の透視呪文を開発してやれば良いではないか!
不可能に挑戦することこそ、人類の英知で有り、それが技術革命の歴史なのだ。
人類を甘く見るなよ? 小娘共が。
目を閉じたままで外の情報を得ると言うことは、心の目で見るという心眼スキルをまず思い浮かべるのだが、そこからは一度離れて考える事にする。
心眼と言われても漠然としすぎて何をどうすれば良いか分からんし。
さて、視覚とは、五感の一つである。
人間が外の情報を識るのに多くは視覚に頼るが、それだけでは無い。
五感の情報のうち聴覚を使い、空間の位置を完璧に掴むことによって、脳内に形状を再構成できるのではないか?
俺はそう考えた。
地獄耳を使い、集中する。地図も使う。
「くっ、ダメか…」
全員の位置関係は把握できたが、そこまでだ。
いや、位置関係が分かったなら、後は普段の彼らの姿を記憶から想起して置き換えたらどうか?
おっと、可能だったが、それじゃ服を着たまんまだ。
これを水着の記憶と置き換えたら…うーん、俺の想像の水着姿になるな。
ちょっと、これはこれでいいんだが、方向が違う。
俺はリアルの、みんなの水着が見たいんだ。
なので、初心を思い出し、魔法術式開発で行く。
「我の目を塞ぐことは不可能なり。千里眼!」
見えない。
「黒きを透明に変換せよ!」
見えない。
「皮膚よ、我が目となりて、光を感じよ!」
おお、ちょっと光は感じるな。
「目玉よ、飛び出て――いや、コレは危ないな、止めておこう」
『見る』とは何か?
可視光線の波長を網膜が電気信号に変換し、神経を通して大脳の視覚野に転送、それを脳でイメージに再変換する。
それが『見える』と言うこと。
なら、皮膚で光の波長を感じ取り、それを視神経にバイパスしてやれば―――
「我が皮膚は我が瞳なり。光は光に、闇は闇に! おおッ!?」
み、見えた。
みんなが笑いながら浅瀬で水を掛け合っている姿が見える。
感動!
そこには美しき天使達が踊る桃源郷があった。
「それっ、それっ!」
いつもより子供っぽく、はしゃいでいるティーナは、やはり彼女の好きな色の赤色の水着。
グラマーで、釣り鐘型の胸が揺れに揺れて、ウホッ、何とも。けしからん程にワガママな胸ではないか。
外れそうで外れない紐のその危うさは、成熟しつつある肉体を持て余す大人になりきれない少女の危うさとダブって見える。
ぎらつく太陽の光で光沢を増している琥珀色の髪は、少し水に濡れて、その大きなお尻にべっとりとまとわりついている。
体を流れる水滴も体に沿って滑らかな曲線を描いて、その密着具合が羨ましい。くっ。
「あはは、やったなー?」
笑って楽しそうにしているミネアはライトグリーンの爽やかなビキニ。
体型は普通。胸も普通。だが、それが良い。健康的な少女の柔らかそうな肉体だ。
体も俺の次に柔らかく、しなやかな動きで女性らしさを見せている。
優しい瞳をした柔らかな髪質の茶色の髪に茶色の瞳と、割とどこにでもいそうな普通の美少女。だが、アサシンとして育てられたその苛烈な境遇がその裏に秘められている。
18禁に出てくる『くノ一』と言えば、性的な女の武器を鍛え上げられ、生娘など稀であるが、こちらの世界のアサシンはどうなのか。つい夜中にミネアの境遇を考えてしまう俺はその度に悶々としてしまうのだが、本人にはさすがに確認できそうにも無い。
時々、俺の部屋を掃除してくれたりと世話焼きさんだ。
「ニャハハ! それそれー!」
リムはスカイブルーのビキニ。結構胸がデカい。ふぅむ…コレはコレでなかなか。揺れております。
元気いっぱいで、男の視線などつゆほどにも意識していない無邪気さ。
八重歯の笑顔が可愛い赤毛のショートの天真爛漫なネコミミ娘。しっぽの付け根をローアングルでじっくりと間近に観察したいと日々常々思っているのだが、ティーナやリサの目があるので実現に至っていない。
リムに男性経験は無いはずだが、自分から積極的に抱きついてボディタッチしてくるので、ひょっとして俺より大人なのでは、と疑ってしまう事がある。いやいや、そんなはずは、まさかね。
「あっ、きゃっ!」
クロはさすがに俺も自重してピンクのワンピースだ。スカートのひらひらが付いたタイプ。
そのあどけなさは天使のようで、もうこのまま子供のままでいて欲しい。ちょっとぷにっとした柔らかそうな体は、どこまでも無垢である。
高貴な血筋だとひと目で分かるその輝く銀の髪に、汚れを知らない空色の瞳。運命に翻弄された薄幸の健気な美少女。
時々、無性に滅茶苦茶にしてやりたくなるのだが、俺への信頼を裏切るわけにはいかない。愛らしい小さな唇はもう犯罪的だ。
今日はクロと俺の健全な関係のためにも、保護者として、じっくりねっとり彼女の肉体的な成長ぶりを隅々まで観察するとしよう。フヒッ。
「この、やったわねー?」
リサはレモン色のビキニ。ワンピースも可愛らしく似合うと思うのだが、子供扱いを嫌う彼女には、大人の色香が漂う水着を用意した。
あどけない肉体とその大人びた振る舞いのアンバランスさに思わず惹かれてしまう。
ツーサイドアップの髪型に小柄な体。
いつもクールでドライな彼女も久しぶりに童心に返ったか、楽しそうに皆と交ざって遊んでいる。
そのややハスキーな声で耳元で脅すように罵られると、俺はゾクリとする性的興奮を密かに覚えるのだが、もちろん彼女には内緒だ。
叱ってくれなくなったら困るもんね!
「ちょっ! もー! 手加減しなさいよ、前衛チームと斥候チーム! きー、こうなったら、呪文で!」
エリカは紺色のワンピ。胸の無い華奢なコイツには、それが愛情だと思った。ま、旧スク水というマニアックなモノに仕上げたが、本人は永遠に気づくまい。クックックッ。
色白でほっそりした四肢はエルフスキーには堪らんですたい。顔も超美少女で、金髪ツインテールはもう定番と言って良いのに、チッ、性格が微妙に尖ってるんだよな。
デレてくれれば色々とやりようもあるのに、ツンドラのままだ。時々、魔術書やリボンをプレゼントしてやると、顔を真っ赤にして文句を言いながら受け取るのでなんだか面白い。
たまにはありがとうと言って欲しいが、ま、エリカだしな。
「ん、敵戦力は強大。ここは呪文で行く」
ミオは白いワンピ。彼女の方がスク水は似合いそうだが、たまには普通の女の子のように着飾っても良いだろうと配慮した。胸は無いし、幼児体型だが、可愛らしさもちゃんとある。本人は至ってポーカーフェイスだけども。
基本的に無口で、気づくと俺の側で何か作業をしていると言うことも多々ある。
最近は新しいゴーレムの開発に取り組んでいるそうで、時々、俺に手を出せと言ってその手を握り、何かを調べている。
何を調べているのか教えてくれと頼んだが、秘密、とのこと。
「ほう、呪文で来るか、面白い!」
レーネは真っ青な色のビキニ。引き締まったその体に迫力のある大きな胸で、大人の魅力がたっぷりだ。
動きが素早いから、水着がはち切れんばかりに揺れるッ! 揺れまくるッ!
この格好で手合わせしてくれるなら、いくらでも喜んで付き合うのだが……。
それにしても、レーネはいつの間にか日焼けしてるな。白髪に褐色の肌というのも良い組み合わせだ。
後で水着をペロンとひっくり返し、日焼けしているところと日焼けしていないところの境目を見せてもらいたいが、ぐへへへ。
「あらあら、あらあら、うふふっ」
クレアは、大胆な黒色のビキニ。大人の魅力全開だ。全体としてぽっちゃりしている印象だが、お腹はキュッとくびれていて、グラマーさんだ。
水着からこぼれそうになっている巨乳は、隠している面積があまりに小さく、ほぼ裸だ。
ぼよんっと言うか、ふわんっと揺れる女性の神秘は、研究の対象にふさわしい。
その柔らかさや弾力性、さらには乳輪の直径と乳房の比率など、テーマは尽きない。
ただ、クレアって、頼むと本当に何でもやらせてくれそうで、そこがね……ううん。いや、そんな、上手く行くはずが無いのだ。これはきっと孔明の罠だ。
「きゃっ! ちょっと、そこの魔術士二人! それは禁止! きゃああっ!」
うお、ティーナがウォーターボールの呪文で派手に吹っ飛んだが、大丈夫か?
「けほっ、けほっ」
「大丈夫? ティーナ」
ミネアが気遣う。
「うう、なんとか。でも酷い目に遭った」
「ん? あらら、ティーナ、上の水着が無くなっとるで?」
そうミネアに言われて一瞬意味が分からなかったか、ん?と言う顔で自分の胸を見たティーナが驚く。
「えっ! きゃあ!」
ぬお! おっぱいがモロに見えたッ!
全部見えたッ!
なんと、不自然な光の邪魔も入らぬとはッ!
桃色の小さな秘境を、生で拝める日が来ようとは!
ふおおおお…!
我が人生に一片の悔い無し!
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
元の服に着替えたティーナが、俺に謝る。
「ごめんね、ユーイチ。あなたのこと、すっかり忘れてて……」
家の中で横になっている俺は、ぐったりしている。別に、レイピアで刺されたわけでも無いのだが。
途中、俺は観察に夢中になりすぎて呪文での冷却を忘れ、熱射病の症状が出てしまい、こうなった。
「いや、気にしないでくれ、ティーナ、元はと言えば俺の平素からの行いが悪いせいだからね。君たちは何も悪くないよ」
「もう、拗ねてるの?」
「いやいや、怒ってないし、君には色々と感謝している。約束は確かに、果たしてもらった」
オーガを倒す際、おっぱいを見せるというティーナの約束。
ま、彼女は自分から見せたわけでは無いのだが、あそこまで自分をはだけさせたのだ、ここは大目に見てやろう。
俺も見せろと言ったが、本当に見られるとは思ってなかったし、さすがにB地区は無いだろうと無意識に決めつけていた。
だからこそ、今は全てを許せる、そんな穏やかな気分だ。
「ん? 何の約束?」
「それは内緒だ」
「ええ?」
「カカカッ! 知らぬが仏と言うヤツじゃのう」
リーファも素直に教えるつもりが無いようで助かった。
「おーい、宴会の準備が出来たってさ!」
ネコミミ青年のクルトがタイミング良く俺達を呼びに来た。




