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異世界の闇軍師  作者: まさな
第十五章 大魔導師への道

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第二話 サザ村

2016/10/4 若干修正。

「ええ? 待ちなさいリム。港町は地図だと向こうの道だけど?」


 リサが地図を出して首をひねる。


「いいから、こっちニャ! アタシの村がこっちにあるニャ!」


「ああ、そう言うこと。どうする?」


 リサがティーナを見る。


「ええ、里帰りもした方が良いと思うし、じゃ、リムの村に行きましょう」


「分かったわ」


「ネコミミの人達がたくさんいるのでしょうか?」


 クロが言うが。


「ハッ! おおおお…!」


 ネコミミ美少女ハーレムの予感!


「ぷっ、分かりやすくてええな、ユーイチは」


 とミネア。


「ただの馬鹿でしょ」


 とリサ。


「ホントね」


 ティーナも同意。


「うるさい。さあ、急ぐぞ!」


 のんびりしているパーティーのみんなを叱りつつ、俺は先頭を切ってリムの村、サザ村へと急いだ。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「帰って来たニャー!」


 リムが飛び上がって感慨深げに言う。


 そこは、長い砂浜に面した村で、藁葺きの家がぽつぽつと並んでいる。トリスタンは先進国だと思っていたが、田舎はどこもこんなものか。


「んん? おお、リムじゃねえか、どこ行ってたんだ、お前は。ランドとイーサが探してたぞ」


 中年のネコミミ親父がリムを見て驚いたように言う。


「ニャ、魚探しの旅に出てたニャ。パパとママにも心配掛けちゃったニャー…」


「魚探しって、おめえ…二年近くもか? まあいい、とにかく早く顔を見せてやんな」


「そうするニャ!」


 リムが走って自分の家に向かったので、俺達はのんびり後を付いていく。


「まあ、リム! ああ、よく無事で!」


 家の近くの砂浜で干し魚を作っていた母親らしき女性が、リムを抱きしめる。


「ただいまニャー。ちょっと遅くなったニャ」


「ちょっとって…この子は…。それで、そちらの皆さんは?」


「ああ、アタシの冒険者仲間(パーティーメンバー)ニャ」


「そう。あっ、じゃ、中でお茶でもどうぞ。娘がお世話になったようで」


 やはり母親か。でもまともそうだなぁ…。


「いえ、こちらこそ」


 家は十人が入るにはちょっと狭かったが、リムの母親が近所からもコップを借りてお茶を振る舞ってくれた。

 それと干し魚。旨味がたっぷりで、癖になりそうな味だ。


「この子のことだから、無事だろうとは思ってましたが、それでも心配で」


 母親のイーサがしみじみと言う。


「ええ…。リム、手紙くらい出せば良かったのに」


 ティーナが気遣わしげに頷いた後、リムを見て言う。


「アタシは字は書けないニャ」


 自慢げに胸を張るリムだが。


「じゃ、勉強だな。今度、俺が教えてやる」


「えっ! そ、それは別にいいニャ…面倒ニャ」


「ダメよ、リム。お母様にこんなに心配を掛けておいて」


「ムッ、そこは悪かったニャ。でも、美味しい魚がアタシを呼んでたニャ!」


 格好良く言ってるが、食欲に負けたってだけだよな、それ。


「リム! 少しは反省しなさい。夕食は抜きよ」


「ニャッ! ママぁ、それは酷いニャー」


 甘えん坊だな。自分で魚、獲れるだろうに。


「おう、リムが帰って来たって――おお、リム!」


「パパ!」


 リムと同じ髪の色のネコミミ男がやってきて、感動の親子の対面。ひっしと抱き合う。


「馬鹿野郎、お前、心配させやがって、どこに行ってたんだ?」


「ミッドランドニャ。ここのみんなと冒険して、貴族の家臣になったニャ」


「な、なに? 家臣?」


「初めまして、ロフォール子爵ティーナと申します」


 ティーナもリムのことを考えたか、そこで領主名を出して挨拶する。ただ、簡略だな。あんまり堅苦しくやっても、ここの人達は慣れないだろうし。


「は、ははぁー! 平に、平にご容赦を! ありがたき幸せ!」


 やっぱり慣れなかったか、ちょっと違う挨拶を返す親父さん。血は争えぬのか。


「ああ、いえ、無礼講で構いません。冒険仲間ですから」


 ティーナも同じ事を思ったか、苦笑してひらひらと手を振る。


「へえ、お前、家を飛び出てほっつき歩いてるかと思ったら、貴族の家臣たぁ、てぇしたもんだな!」


「ニャッハッハッ、パパの自慢の娘だから、トーゼンニャ!」


「おう、そうだな、俺の娘だからな、トーゼンか。ハッハッハッ!」


 楽しそうな家族だ。


「おし、そう言うことなら、パーッと、祝いだな。村長に言ってお前の出世祝いをやってやろう!」


「ニャ! パパ、ホント?!」


「ああ、皆さんも是非、参加してってくだせえ」


「ええ、そうさせてもらいます」


「そうね、貴族様ご一行だもの、じゃ、私もご近所に話して手伝ってもらうわね」


「ママ、でっかい魚、料理して出すニャ」


「任せておいて、とびきり大きいのをもらってくるわ」


「やったニャー!」


 リュックを家の裏に置かせてもらい、俺達はリムに村を案内してもらう。


「ここが砂浜ニャ!」


「お、おう」


「わあ、広い海ですね!」


「ええなぁ」


 クロは海を見た事が無かったか、感動した様子だが、すでに海を見た事がある俺は海だなあとしか思わない。


 しかし、日差しが強いな。もう七月だもんなぁ。こちらでも夏の季節だ。


「おーい!」


 沖の方から呼ぶ声が聞こえ、誰かが泳いでやってきた。


「リム!」


「ニャ、クルト!」


 黒髪の青年は銛で素潜りの漁をやっていたようで、手には刺した魚と銛を持っている。

 知り合いみたいだな。ふーん、ネコミミでも泳げるのか。


「お前、どこに行ってたんだ?」


「旅に出てたニャ。ミッドランドニャ」


「ええ? 何でそんなところに」


「旨い魚があるって聞いたニャ!」


「は?」


 うん、普通はそう言う反応だよな。


「そいつらは?」


 黒髪の青年が俺達をチラッと見て気にした。


「アタシの冒険仲間ニャ」


「んん? そうか。人族ねぇ? うお、エルフがいるじゃねえか」


「そうニャ、エリカはエルフニャ。耳が変ニャ」


「アンタに言われたくは無いけど」


 エリカが軽く言い返す。


「それより、リム、親父さんが探してたが、もう会ったのか?」


「会ったニャ。出世祝いをしてくれるって言ってくれたニャ」


「ええ、なんだそれ?」


 リムが事情を話し、ティーナがまた挨拶する。


「むむ。どうも」


 クルトはぶっきらぼうに礼を返したが、事情があんまり飲み込めてない感じだな。ま、それはいい。


「とにかく、でっかい魚、獲ってくるニャ。そんな小物じゃダメニャ」


「ええ? 分かったよ」


 クルトはリムの言うことを聞いて、大きな魚に挑戦しに行くようだ。


 俺はリムを引っ張って、こそこそ話をする。


「リム、この村の女の子はどこにいる?」


「ニャ? アタシ?」


「いや、まあ、お前も一応、女の子だけど、他の子、他の子」


「ティーナ、ユーイチがまた病気を出してるわよ」


「そうみたいね」


 くそっ、気づかれた。病気って酷いな。


「まあ、そんな心配せんでも、べっぴんさんはそんなにおらんと思うで?」


 ミネアがそんな夢の無い事を言い出すが…確かに、人口が極端に少なそうなこの村で美人が発生する確率は少ない。

 だがっ! それはあくまで確率。

 可愛いネコミミ美少女がこの村に十人いたとしても不思議は無い。


「あれ? リムじゃないの」


「ニャ、ミーシャ…」


 リムが嫌そうな顔をしたのがちょっと気になるが、金髪のそこそこ可愛いネコミミ娘だ。しっぽは灰色。


「へー、帰って来てたのね。どこかで飢え死にしてるかとも思ったけど、ククッ」


 金髪のネコミミ娘はそう言って意地悪そうに笑う。


「ムー、ちゃんと生きてるニャ!」


「それで、どこで何してたわけ?  あ、ひょっとして魚でも盗んで、牢屋に入れられてたんでしょ、うん、きっとそうね、アハハ」


「そんなわけ無いニャ、兵士に捕まってお仕置きされたことはあったけど、牢屋には入ってないニャ!」


 魚を盗んだ事は有るみたいだな、まったく。


「そ、ま、どうでもいいんだけど、そこの人達は?」


「ああ、アタシの冒険仲間ニャ」


「ええ? やけに大人数だし、エルフ? がいるの?」


「そうニャ。みんな強いニャ!」


「へえ? ふふ、じゃあ…」


 スッと身構えたミーシャが一番近くにいたレーネに飛びかかったが。


「おっと。ほれ」


「きゃっ!」


 剣を抜くまでも無く、片手で簡単にひっくり返され、尻餅をつくミーシャ。


「だから言ったニャ」


「むう、くっ。覚えてなさいよ」


「やニャこった。ベー、だ」


「リム、あの子も知り合いなの?」


「ムー、ミーシャは村長の娘だけど、アタシは嫌いニャ。すぐ意地悪してくるし、嘘つきニャ」


「そう」


 ま、どこにでもそう言う奴が一人くらいはいるよな。顔はそこそこ可愛かったが、性格が悪い子は俺もパスで。


「じゃ、リム、次の女の子を紹介しろ―――はうっ?!」


 喉元にレイピアが突きつけられていた。


「ユーイチ、何か勘違いしてない? 私達がここに来たのは、単にリムの里帰りに寄っただけよ?」


 ティーナが微笑んでそう言ってるが、目は笑ってない。


「う、うん、そうだな。オーケー、大人しくしてるから、それを下げてくれ」


「約束よ?」


「う…くそ、分かったよ」


 俺としたことが、ネコミミ村ということで浮かれて焦りすぎていたようだ。

 ここは黙って探知(ディテクト)の呪文を使えば一発じゃねえか。


 条件は、俺に一目惚れするネコミミ美少女はいずこや! 

 もちろん、無詠唱でこっそりとね!


 ―――スコッ!


「ぎーゃっ! ティ、ティーナ! いきなり何をする!?」


「約束って言ったでしょ。何をこっそり、探知(ディテクト)の呪文なんて使ってるのかしら?」


「い、いやいや、今のは、マッパーだから…」


 チッ、ステータスを常時表示にしていたのが(あだ)になったか。俺としたことが…。


「嘘ね」


 スコッ! スコッ! スコッ!


「ひいっ、止めて、連続刺しは薬草が追いつかないから、止めて!」


「カカッ、情けないのう、ま、本当に嘘だから、自業自得じゃな」


 などと、リーファまで俺の思考を読んでバラすし。



「申し訳ございませんでしたっ!」


 謝って許してもらうが、ここまでは計画通りッ!


「つきましては、お詫びの品に、コレを献上したく」


 俺はそう言いつつ懐から色とりどりの布を出す。


「ん? 何コレ」


 ティーナが手に持って広げるが、見当が付かなかったようで首をひねる。


「フフ、俺の故郷で水着と呼ばれるモノだ。この炎天下、せっかく海に来たんだし、それを着てみんなで海をエンジョイして欲しい。フヒッ」


 傘や雨合羽が欲しいなぁと思って探していたら、ナイロン草という良い物を見つけて、それを加工し染めたモノだ。

 さすがに現代日本の素材の用にはいかないが、泳ぐだけなら充分な強度を持っていて、実用レベルである。肌触りも悪くない。

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