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異世界の闇軍師  作者: まさな
第二章 盗賊ですが、何か?

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第七話 魔法を色々使ってみるテスト

2016/4/17 読み仮名を追加。

2016/3/13 改行と誤字を修正。

 魔法が俺にも使えるとなれば、色々な魔法を覚えておきたい。

 将来的にダンジョン潜ったり、魔王を倒す予定は全くないのだが、知的好奇心と言うヤツだ。

 決して、決して、女の子のスカートを風魔法で操ってやろうとか、そんなくだらない目的では無いのだ。


 ゲイル=ルザリック先生の魔術入門、次の魔法は、


 炎の魔法だ。


 言わずと知れたファイアである。

 攻撃魔法の定番だね。

 

 だが、解説を読んでみると、むしろ生活魔法として重宝するらしい。

 火打ち石では火力不足と言う時に便利と言うが、ファイアスターターの枝があれば、すぐ点いちゃうんだよね。

 まあいい。攻撃魔法の一つくらい、魔術師の嗜みだ。


「四大精霊がサラマンダーの御名の下に、我がマナの供物(くもつ)をもってその息吹を借りん。ファイア!」


 念のために洞窟の中で周りに何も無い場所に移動し、手加減して唱えてみたが、心配したどころか、百円ライター程度の小さな炎しか出なかった。


「しょぼっ。これは攻撃には使えないなあ。なるほど、入門書か…」


 攻撃魔法は素人が使ったり、悪用されると色々問題だろうと思ったのだが、その心配は杞憂のようだった。


「ニー、ニー、ニー、ニー、ニー、ニッ!」


 クロも呪文を唱え、俺よりほんの少しだけ大きな炎を出した。


「よし、次だな」


「ニー!」


 残りの魔法、(ウォーター)(ウインド)(アース)防壁(バリア)解除(ディスペル)探知(ディテクト)を順に唱えてみるが、(アース)の魔法を唱えたところで、へとへとになった。クロは(ウインド)の魔法で疲れたらしく、そこでギブアップ。


「あれだな、MP(マジックパワー)不足だ」


 魔力切れ。


 本にも書いてあるが、初心者は初級魔法を一日に数回唱えるだけで限界が来る。精神的に疲労し、そこから先は呪文を完成することも困難になり、完成させたとしても魔法が発動しない。さらに無理をすると気絶するそうなので、さすがにそれは止めておく。

 毎日、気絶しない程度に魔力を使い切るのが魔力容量を鍛えるコツらしい。


 今日はもう魔術の書を読む気にもならなかったので、ベッドに入って休むことにする。


 ただ、ワクワクは止まらない。

 他にいったい、どんな魔法があるのやら。


 サンダーとかは確実に有りそうだよね。


「ステータスが見えれば良いんだけどなあ」


 一応、唱えた呪文の数は覚えているが、ファイアとウォーターで消費する魔力が同じなのかどうかも不明だ。

 それに、なんか疲れてきたなというのは途中で分かったが、自分のMPが見えないのは、特に戦闘中のペース配分などで困る気がする。


 ともあれ、今は初級魔法を全て覚えるのが先だろう。

 色々と魔法について考察しつつ、俺はその日の鍛錬を終えた。



 翌日。

 魔法が使えたことについては、盗賊のみんなには教えていない。

 彼らは仲間では無いのだ。

 飯も食わせてくれるし、なんだか世話になっている感じもしないではないのだが、俺は盗賊で一生を過ごすつもりは無い。

 どこかの時点で逃げる必要がある。

 その時に、俺が魔法が使えるという情報が伝わっていなければ、それだけ油断させられるし、有利に事が運ぶのは間違いない。


 見張り役のリッジは俺には興味ないようで、お頭の言いつけも破って、洞窟の外をほっつき歩いている。ありがたい。

 ま、洞窟に親しくない奴と一緒にじっとしてろというのも大変だろう。


「じゃ、今日は防壁(バリア)からだな。クロは(アース)


「ニッ!」


 まずクロが地の魔法を使うのを待ってやり、石つぶてを作ったところで、バリアの呪文を唱えてみる。


「マナよ、我が呼びかけに応えて、防壁と化せ! バリア!」


 割と短い簡単な呪文。青色の光が手のひらの前に半球を形取り、すぐに消えた。これがバリアらしい。

 …うーん、まあ、術者も初心者、魔術も初級ということで、範囲が狭いのだろう。小さな盾と言った感じ。

 小石を拾って見えないバリアに向かって投げると、ぼよんっと弾力がある壁に押し返されたように弾かれた。

 実戦で使うには、非常に頼りないバリアである。

 俺は攻撃魔法より、こういう支援魔法を重視するゲーマーだったのだが、重ね掛けが出来ないと厳しそうだ。

 まあいい。


「ニー、ニーニー、ニッ! ニッ!」


 クロも俺と同じ呪文を唱えて、簡単に成功。魔術の成功率はこんなものなのだろうか? 楽勝だ。


「よし、じゃ、ディスペル、行ってみよう」


「ニー!」


 解除の呪文。

 オンラインゲームで言えば、パワーアップ系の支援魔法を消すデバフに相当するのだろう。

 ちょうど、俺たちは今、バリアの呪文を唱えて魔法の防壁を構成しているので、これに向けて唱えれば効果が分かるはずだ。


「陣を払い、流れを戻さん。打ち破れ、ディスペル!」


 パキンと音がして、クロの前に青い光が散乱し、すうっと薄くなりながら消えた。成功だろう。

 小石をクロに投げてみるが、跳ね返らずにそのまま重力と慣性に従って足下に落ちた。


「よし、じゃ、クロの番だ」


「ニー、ニー、ニー、ニッ!」


「ありゃん?」


 パキンと割れない。何も起きなかった。


「ニー?」


「もうバリアの持続時間が切れてたのかな。じゃ、俺がもう一回、バリアを唱えるから」


「ニッ」


 俺がバリアを唱え、すぐにクロがディスペルを唱える。

 今度は綺麗に割れた。


「ううん、バリアの効果時間、短すぎだろう…」


「ニー…」

 

 最初に俺が唱えてから一分と経っていない。これでは戦闘中に何度もバリアを唱えなければならず、魔力消費も厳しそうだ。

 魔法使いは装備の関係から、防御力が弱いと言うのがゲームの常識で、それを補う意味でもバリアは重要な魔法だ。

 この世界、支援魔法は不遇なんだろうか。


「つ、次だ」


 今は気にしないことにして、次の呪文、探知(ディテクト)の習得に入る。


 探知は通常、非戦闘時に、何かを探すために用いる魔法だ。

 宝箱の位置、敵の位置、味方の位置、etc…

 ゲームの世界ではあまり重要な場面は無いのだが、むしろリアル世界で捜し物が見つからないとき、重宝しそうだ。


「じゃ、唱えるぞ。我が呼びかけに応じよ、探し物はいずこや、ディテクト!」


 目を閉じて唱え、クロの位置を探る。すぐに反応があった。青く光る点。


「ふむ、方向だけ分かったけど、マッパーみたいな魔法があった方が良いな…」


「ニー?」


「うん、まあ、クロも唱えてご覧。すぐ分かる」


「ニッ! ニー、ニー、ニッ!」


 クロも目を閉じて唱え、すぐに頷いて目を開けた。


「成功だな」


「ニー!」


 ついでに、リッジの居場所が分かるかどうか洞窟の外で試してみたが、二回とも失敗。クロも反応は感知できなかった。

 捜索範囲外にいるのか、関係が薄い人間は探知しにくいのか、まだ検証が必要だ。


「くそ、もうお終いか…」


「ニー…」


 徹夜したような疲れが頭を襲ってきて、もう呪文を唱える気にはならない。

 魔力切れだ。

 さっさとベッドに潜り込んで、休む。


 少し休んで頭がスッキリしてきたので、魔法の考察に入る。

 

 魔術入門の書に書いてあった八つの呪文は全て覚えた。

 ここのお宝には、他には本はなかったので、現時点では他の魔法は覚えられない。

 魔法がこれだけで無いのは、入門の書にその存在が記されてあった。

 

 風の上位魔法、トルネード。

 大地の上位魔法、アースクエイク。

 炎の中位魔法、ファイアウォール。

 眠りの呪文、スリープ。 

 沈黙の魔法、サイレンス。

 

 入門の書では触れられていなかったが、明かり(ライト)の呪文で光の属性があるのだから、その相反の関係にある闇属性の魔法は確実に存在するはずだ。

 例えば、悪夢を見せ、混乱などの状態異常を与えるナイトメア(仮)


 光属性なら、サンシャイン(全体攻撃・仮)や、レーザー光線みたいな、なんとかレイ、そんな攻撃魔法も有ると思う。有ったら良いな。


 他に、優先して覚えたいのは、地図の魔法マッパー(仮)、姿を消す透明化の魔法インビジブル(仮)、服や装備を溶かす強酸の雨アシッドレイン(仮)、女の子をメロメロにする魅了の魔法チャーム(仮)、相手を麻痺させて動けなくするスタン(仮)、部屋の鍵を開けるアンロック(仮)、服を溶かすスライムを召喚サモン・スライム(仮)

 それから、それから…


「フヒヒヒヒ」


「ニッ! ニー! ニー!」


「ええ? いやいや、何言ってるのか分かんないけど、別にやましいことは考えてナイデスヨ?」


「ニー…」


 まあ、魔法を覚えるのは良いが、それを実際に使ったら、間違いなく犯罪だろう。

 そこは気を付けないと。


 それより、クロと意思疎通が図れる魔法とか、無いものかね?

 こいつ、思った以上に賢いし、言葉の概念も理解できているはずだ。


 トランスレーション(仮)、ダイレクト・ニュアンス(仮)、ボディ・ランゲージ(仮)、サモン・ム○ゴロウ(仮)…


 …いや、最後の呪文は、どう猛なサーベルタイガーなんてのが出てきたら一度試してはみたくあるが、実用的ではなさそうだ。


 他にどんな魔法があるか、それに当てはまる詠唱呪文は何か、そんな事を考えつつ、一日が過ぎた。


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