11.ティダマンゴー農園へ行く
翌日、宮古島は久々の雨で、ナギサと2人、宿でトランプをしていた。
「今日はダメね、海には行けないわね。なんかおもしろいことコトないの?」
「おもしろいこと?うーんどうだろう。UNOでも買いに行く?」
はたして宮古島にUNOは売ってるのだろうかと考えていたとき、ふっと名案が閃いた
「そうだ、ナギサちゃん!マンゴー農園見に行って見ようよ!」
「いいわねー、億プレイヤーの顔を見に行こうじゃない」
即決だった。地図で場所を確かめ、近い事を確認して、歩いて向かった。
雨はスコールのような激しい雨だった。
傘を差し、歩くこと20分。大きなビニールハウスと立派な施設があった。
【ティダマンゴー農園】
ティダとは、太陽を意味する、方言だ。
大きな施設の中に、おじさんがが1人居た。
「こんにちはー、突然すいません。あの、マンゴーの見学させてもらえませんか?」
真っ黒に焼けた肌、作業着がサマになっている。
とてもやさしそうな顔をしたおじさんだ。この人が上地さんだった。
「ああ、どうぞどうぞ、入ってー、雨宿りしていったらいいさー」
上地さんは親切にもお茶を出してくれた。
「昨日カズさんのとこで、上地さんマンゴーいただきました!
もうほんとおいしかったです。ありがとうございました」
「あぁ~、カズのとこのお客さんね。規格外でよかったらいっぱいあるからもっともってったらいいさー」
「ええ?いいんですか?でも昨日ちょっと調べたら、マンゴーってすごく高いんですよね。びっくりしちゃいました」
「そうさねー、昔に比べて今は高いさ。でも農協の規格は厳しくて、売りもんにならんマンゴーもいっぱいでるさよ。なかなか難しいさ。
でも今年は豊作だから、楽しみにしてるさーね。
あっちのハウスにマンゴーいっぱいあるから自由に見てきたらいいさぁ」
外に出ると、大きな体育館のようなビニールハウスが、何棟も並んでいた。
中に入ると、マンゴーの樹がズラーっと並んでおり、マンゴーの実、ひとつひとつに白い袋が被せてあった。
1本の樹に何十玉もついており、端から端まで袋だらけで、一面真っ白だった。
「す、すごい。数えきれない程あるね」
「すごいわね。マンゴーの樹って大きいのねー」
そんな時、携帯がなった。お母さんからだった。あっ、届いたんだな。
「もしもしー、マンゴー届いたわよー。ありがとうね。
さっきお父さんと食べたんだけど、おいしいわねー、ビックリしたわよ。
コレもっとないかしら?おとうさんが親せきとか知り合いに送りたいって」
「え?ああ、丁度今、そのマンゴー農園に来てて、マンゴーいっぱいあるけど…… 知ってる?マンゴーって高いんだよ」
「タケルが送ってくれたやつ5玉入ってたけどこれでいくらくらいなの?」
「ああ、それねー、規格外ってやつでタダで貰ったの」
「コレと同じやつでいいわ。その規格外ってやつ安く買えないの?できたらこの5玉入りのやつ20箱くらい贈りたいわ。
お父さんが予算20万円くらいでなんとかしろって」
「20箱?そんな送るの?う~ん分かった。無理かもしれないけど聞いてみるね。じゃ」
5玉で20箱っていったら100玉かぁ…。どうなんだろうか。
管理棟に戻り、お茶をすすってる上地さんに、早速聞いてみた。
「あのーすいません、昨日貰った規格外のマンゴーってやつ、みんなに配りたいんですけど100玉くらい売ってもらえませんか?」
「規格外でいいの?いっぱいあるから好きなだけ持って行ったらいいさー」
「あ、あの、できたら貰うの悪いんで売ってもらえませんか?」
こんな調子で、5玉入りを20箱送りたい旨伝え、相談した。
最初はもうタダでいいさーと言っていたが、それは申し訳ないといろいろ交渉してみた結果、こうなった……




