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【一攫千金?】 宮古島移住生活 -南の島のネットショップ屋さん-  作者: 神道タケル
第1章:旅立ちと出会い
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1.プロローグ

 ここは、サンゴ礁の上にできた地上の楽園、宮古島。

 半径80キロ程度のこの島は、サンサンと降り注ぐ太陽と、エメラルドグリーン色の美しい海に囲まれた、誰もが憧れる南の島だ。


 底の真っ白な砂までくっきり見えるほど、透き通った海面に、一見豪華そうに見えるクルーザー「ハッピー号」と書かれた船が、宙に浮いてるかのように浮かんでいる。


 船上には、色白の肌が真っ赤に焼けた男が、ビール片手に釣りをしていた。隣にはいかにも海好きと分かる、小麦色に焼けた女がサマーベットに優雅に横になっている。


「ああ!キタキター、こ、これは大物だよぉ!

ちょ、ちょっとナギサちゃん!?一緒に引っ張ってよー」


 女の子に助けを求める、アロハシャツにハーフパンツのいでたちのこの女々しい男が、この物語の主人公、神谷タケルである。

 タケルは、人生なるべく楽に生きて生きたいと思っている、まぁ今時の青年だ。


「んまぁ~、かよわいレディーに手伝わせようなんて!タケル、男を見せなさいよ!」


 世界の海を潜り倒してきた、小麦色の肌にピンクのビキニが良く似合う、小柄でかわいらしい海好きな女の子、柊ナギサだ。

 ナギサは、精神世界の話が好きな、ちょっと変わったスピリチュアルガールだ。

 2人は、南の島のリゾートを満喫していた。


プッチーン


「あっ……、逃げられた… 」


「んもう、なにやってんのよぉ… みんながまってるのよ、坊主のままじゃ帰れないわ!」


「ナギサちゃんも手伝ってよ!」


 あたりに人はなく、2人きりの世界のだった。





   ◇   ◇   ◇





2年前…



 俺、神谷タケル。キツいことが大っきらい。

 仕事も長続きしない、嫌なことがあるとすぐに逃げてしまう、ひ弱な草食系男子。いや、草食系に見えるかもしれないが、性欲は人一倍強く肉食系の心を持った、草食系だ。

 ウィッシュでおなじみの、DAIGOによく似てると言われる。


 軟弱な俺は、高校卒業後、社会の荒波を避け、お気楽なフリーター生活を送っていた。


 子供の頃から南の島への憧れが強く、いつか絶対に南国に住みたいという強い想いがあった。


 中学生の頃の夢は、物価の安いフィリピンで、沢山の人を地元の安い賃金で雇い大規模なバナナ農園を経営することだった。


 そんな憧れもあってか、半年くらいバイトしては、わずかなお金を貯め、2~3カ月くらいお金が尽きるまで海外を旅行して、また日本に戻ってバイトして、というような生活を繰り返していた。


 旅行先は、物価の安い東南アジアがメインで、フィリピン・タイ・インドなどに好んで行っていた。

 これらの国にも、日本の沖縄みたいに、島がいっぱいあり南の島特有のリゾート感を満喫することができた。


 いつしか、回りの友達は就職したり、結婚したり、子供が生まれたりする奴もちらほら出だした。


「お前まだ、フラフラしてんのかよ、もうそろそろヤバいんじゃね?」


 久しぶりに合う友達は、大抵こう言ってきた。

 そんな俺も今年で26歳。仕事に遅れそうだった。


「あぁ、仕事行きたくねぇな……」


 今回の仕事は、郊外の工場。

 住まいは、工場の隣に建つ、木造2階建の古びた寮。夕方頃、だるい体にムチを打って工場に向かう。

 隣から流れてくる部品に、ハンダコテで細かい部品を付け、またさらに隣に流す完全なライン工場だ。

 作業がちょっとでも遅れると、ラインの生産スピードが落ち、班長にどやされる。

 工場の閉鎖空間のなかでは、今が朝か夜かも分からず、ただひたすらなにに使われるのかも良く分からい部品を作り続けていた。

 半年契約で入って残り、2週間程だった。


 寮と工場の往復だけの毎日。まるで、刑期を待つ刑務所の囚人だ。


 昨日は、腰を痛めてしまい、あまりのキツさに、班長に罵倒されながらもなんとか早退することができ、今の今までベットに横になっていた。


(こんな毎日もううんざりだ…)


 そんな時、テレビで、沖縄特集をやっていた。

 濁りのない完全に透き通った美しい海、無数に泳ぐトロピカルな魚達。サトウキビ畑に囲まれた、自然豊かな景色。やさしい人たち。

 真っ白なビーチで過ごす、ビキニギャル達のリゾート感。

 解放感が半端なく、見入ってしまった。


「コレだよ、コレ…。こういうとこで生活したいんだよ俺は…」


 頭の中が、沖縄でいっぱいになり、仕事に行く準備もせず、相棒のノートPC「レッツノート」でひたすら沖縄について調べていた。


 沖縄なら、同じ日本。旅行ではなく、移住すれば、そこで働くこともできる。

 美しい海に、やさしい人たち。永遠と広がるサトウキビ畑。いざとなれば魚を獲って、自給自足の生活もできるであろう。


 約半年間、この工場で働いて、貯金は120万円ほどあった。これだけあれば、最低でも半年は暮らせるだろう。


 ここでの生活はもう限界だ。よし、決めた。もう決めちゃった!沖縄に移住しよう。


 こう考えてから、実行までは早かった。まずは電話だ。


「…… あっ、もしもし班長さんですか。すいません実はお袋が事故にあってしまったみたいで…」


 嫌な仕事を辞める時の定番のセリフだ。おかあさんごめんよ。何度も事故らせちゃって…


 もともと、フットワークの軽い俺は、早々に荷物をまとめ、わずか2時間程で、身支度することができた。持ち物は、衣類とパソコンくらいしか持っていない。荷物は、大きめのバックパック1個にすべて収まる。


 沖縄行きのチケットも、LCC航空で当日出発にもかかわらず、1万円と格安で取ることができた。


 わずか、半日の出来ごと、大きなバックパックを背負った俺は、電車を乗り継ぎ空港に向かうのだった……




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