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街と厄介ごとと

身分証の仮発行の手続きのために通されたのは門の脇に設置されたドアの内側。

城壁に接して建てられた証明書の発行などを行う、所謂役所のような機能を果たす施設のようだった。


身分証の仮発行と言ったが、今回発行されるのは正式には『入場許可証』と呼ばれるものらしい。

その機能としては特定の街や村へ入ることを許可するというもの。

より正確に言えば、この許可証が通用するのはこの街が属する領の街や村のみということのようだ。


このあたりの説明は案内された受付の女性から聞いたものであるのだが・・・・・・


現在、この建物の中は騒然とした空気に包まれていた。

というのも、この建物に入ってからすぐに冷静な方の兵士が、こちらの入場許可証の発行手続きを最優先で行うように告げたからだ。

それもこの建物のどこにいてもはっきりと聞こえるほどの大きな声で。


男たち四人は戸惑っていた。

最初に街に近付いたときにはこの兵士は完全に警戒体制であったし、この短時間のうちにそれが覆るような出来事などなかったはずだった。

だというのにこの急な手のひら返し。

仮であるとはいえ、この街に入るのには十分な入場許可証を入手するには、ある程度不審人物ではないということぐらいはわかってもらえるように時間をかけて説得する必要があるだろう。

そう思っていたのに、肩透かしもいいところである。


だがしかし、男三人はおぼろげな予感として、入場許可証が苦もなく発行されることを手放しでは喜べない何かがあるようなあるような気がしていた。

ちなみに、そんな予感を欠片も感じていないのは武蔵である。

武蔵だけは一人入場許可証が発行されることを素直に喜んでおり、その裏にあるトラブルの予感については特に感じていなかった。

元々そういった部分に抜けたところがあったが、オークになってからもしかしたら悪化しているのかもしれない。


それはともかく、しばらくして戻ってきた兵士が啓と陣にカード状の何かを渡す。

ちなみに、魔物としてカウントされている薫と武蔵のぶんはない。


「それが『入場許可証』だ。本来であればそれ単独で受付のやつが説明した機能を持つが、そもそも全く身元の不詳な者にこれを渡すわけにはいかない。そういった者は本来はもっと小さな村落で住居を構えて身分を確かにした後に村の発行する『入村許可証』を入手し、ここで提示することで『入場許可証』が発行できるようになる。」


やはり各種の許可の手続きというのは異世界であっても面倒なのだなと思う。

しかしながら、そんな前置きを無視した理由を問い掛けてみると、


「どのみちお前らをこのまま素直に街に入れる訳にはいかん。順番が前後するが、お前らが来た方向の街道を道なりに行けばタジミ村という村がある。そこに向かえ。その後はは・・・・・・ちっ、時間がない。細かい説明は後だ。行け!!」


先程以上に焦りの増した兵士に何がなんだかわからないまま外へと放り出される。

しばし呆然とたたずむ四人。


「一体なんなんだ?」


薫が思わず呟いた直後、その疑問に望ましくない形で答えが出ることになる。


「ふむ。それが珍しい魔物であるか。」


啓たちが追いたてられてから数分と経たない内にけたたましい音を立ててドアを開けて現れたのは、色素の薄い金色の髪がバッハとかあの辺の音楽家も真っ青な程に毛先がロールさせ、整髪料でも使ったのだろうか、水平にのびた口ひげが軽くカールした冗談のような風貌の貴族らしき男が現れた。

長身でやせ形。あの冗談のような髪型と髭でなければそこそこには整った容姿をしているが、風貌のせいなのかそこはかとなく残念臭が漂ってくる。


(あれが原因か!!)


その強烈なキャラの登場に鈍ちんの武蔵ですらも今の状況を作り出した原因がそれだと気付いたのだった。


思ったより進行速度が遅いです。

もっとテンポよく進ませたいんですが・・・・・・

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