プロローグ
初投稿です。
ある田舎の一軒家。
テレビから流れるゲーム音楽をBGM に男四人がそれぞれにくつろいでいた。
週末の昼下がり。天気は良く絶好のレジャー日和ではあったが、彼らにはあまり関係ない。
時折釣りに出る若干名を除いては、基本的にインドア派の集まりである彼らは、いずれかの家に集まってダラダラ過ごすというのが週末の基本的な過ごし方だったからだ。
今は一人がゲームのコントローラーを握り、残りの三人はその様子を見ている。
それは発売されたばかりの国民的RPGの最新作。最近のゲームの流れの悪い部分を真似て、シリーズ本来の良さがなくなったと前評判からして期待のできない代物だったが、友人のうちの一人が興味本位で買って、今正に買ったことを後悔している最中だった。
「やっぱりダメか。」
「だから言ったんだ、クソゲーだって。」
「まだまだ序盤とはいえ、これはな・・・・・・」
「他のに影響され過ぎてるな。だったら別のゲームでいいってなるレベル。」
辛辣な批判が相次ぎ、ゲームが切られる。
プレイ開始から二時間足らず。一度もセーブされることもないまま売りに出される事が確定した。
そこから男たちの話は理想のRPGはどんなものかという話に移っていった。
三十を目前に控える彼らは、学生時代からゲーム好きであり、当然のごとくこれまで色々なゲームをプレイしてきている。故に最近のグラフィックの美麗さばかりが売りの中身の薄いRPGには辟易していたりする。
皆、ヒキニート的な重度のオタクではないが、ゲームやラノベをそれなりに好み、世間一般から見れば十分にオタクにカテゴライズされる面々だ。
故に、ある程度ゲームに対してそれぞれがそれぞれのこだわりを持ち、近年のゲームの不作も相まって様々に意見が交わされる。
時折脱線したりもして、賑やかな状態が続いていた。
しかし、唐突に静寂が支配した。
つい先程までの笑い声が嘘のような不自然に訪れた静寂。
何が起きたのか。それに答えられるものはここにはいなかった。
◇ ◇ ◇
◇薫視点
ふと気がつくと、見知らぬ草原に立っていた。
そよ風が全身を撫でるように吹いてとても心地がいい。
・・・・・・おかしい。つい先程まで武蔵の家で喋っていたはずだったのだが。
しかし、空が青いな。普段見ている空はこんなに青かっただろうか?
「知らない・・・・・・青空か。」
ある意味定番のボケをストレートにはかませなかったなと下らないことを思わず考えてしまう。
・・・・・・そんなことよりも奴らはどこだ?
空に見とれて思考がそれかかったが、すぐに我に返り先程まで一緒にいたはずの友人たちを探すべく周囲を見回してみる。
ぐいっと左を向こうとすると、なぜか首を寝違えたような妙な違和感を感じたが、痛みはなかったので些細なことだろう。
そうして振り向いた先で見た光景に、頭に盛大な疑問符を浮かべることになってしまった。
誰だって同じようなリアクションになってしまうはずだ。なぜならば・・・・・・
そこにはエルフとドワーフとオーク、と称するのが適当であろう、現実にはあり得ない姿の者たちがいたのだから。
疑問符が増え続ける中で、自分と同じく驚愕の表情を見せる三人? を見つめていると(驚きのあまり固まっていただけではあるが)、不思議とそれらから見知った人間の気配を感じた。
(こいつらは・・・・・・)
不思議と確信できた。姿かたちは変われども、目の前の三人は先程まで一緒にいた友人たちなのだと。
◇ ◇ ◇
なぜか人外に変化している友人たちに驚嘆している彼-白木薫-だったが、では彼の姿は人間だったのかといえば、答えは否である。
きっと他の三人は彼以上に驚いていることだろう。
何故ならば、彼の姿は、赤い核を中心としたゼリーのように透けてプルプルした体を持つ生物、つまりは-スライムになってしまっていたのだから。