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親愛なる君へ  作者: 夢香
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自分の気持ちと向き合う

ある放課後私はいつものように瞳と街をブラブラ、たわいもない話しをしながら歩いていた。あれから瞳の口から裕哉先輩の話題が出てこなくなった。凄い気になるけれど、なんだか聞くのが怖くて私から話題を振るのが怖かった。だからあえて触れないようにしていた。きっと話せるようになったら瞳から話してくれるだろうし。

私達はいつものファーストフード店に着き、さっき2人で撮ったプリクラを眺めながめていた。

「夢香ホント変顔好きだよね。(笑)変顔のプロ!」

「嬉しくないんですけど…!」

「ほめてるの。だってブサイクな子が変顔やっても面白くないけど夢香ちゃんみたいなかわいくておとなしそうな子がこんな変顔しちゃうんだもん。惚れ直しちゃう♥」

「やっぱバカにしてる!」

と言って瞳のプリクラを奪い取る。

「あー!ごめんって。でもまぢでかわいいって思ってるって。」

「はいはいどーもありがとうございます。」

「もー、素直じゃないな。でも小さい時からずーっと一緒じゃん私達。だからちっちゃい変化とか気付かなかったりするけどこうやってプリとか見ると随分私たち大人になったんだなって思うよね。特に最近夢香すんごく大人っぽくなったよね!なんか良いことあった?もしかして…卓也先輩と……」

「何にもないから。全く」

「本当に~?怪しい!!」

「本当の本当!!絶対ない。神に誓って」

「なーんだ。つまんない。むしろなんかあって欲しかったよ。」

「期待に応えられなくてすいませんね。」

「でもさ~

♪♩♬♪♩♬♪♩♬♪♩♬

瞳の話を割るよう私の携帯の着信音が鳴った。

「電話?」

「メールだった。」

何気なくメールのフォルダーを開けると見慣れない文字『卓也先輩』からだった

「誰からだった?」

「卓也…

「まぢで!?何てきたの?何て??」

凄い食いつきようだった。

「なんか『会って話したいことがあるから今から会えない?』って…。」

「まさかまさかまさか…いきなり告白とか!?超ドキドキするんですけど!!」

「私より瞳がドキドキしてどうすんの。それに告白なんて有り得ない!」

「それでどうすんの?」

「えっ?」

「えっ?じゃなくて、行くの?行かないの?」

「断るに決まってるじゃん。今瞳と一緒にいるんだから。」

「バカだね。私とは四六時中一緒にいるんだしいつでも遊べる。先輩とは相手が誘ってきた時しか会えないんだからトットと行ってきなさい。」

「でも…なんか嫌な予感しかしないし…。」

「もー携帯貸して。」

瞳に携帯を差し出す。

『いいですよ。どこで会いますか?』

「送信!」

ピッ。

「まぢで送ったの?」

「当たり前でしょ。」

すぐ返信が来た。

『じゃ学校のグランドで待ってるから来てくれるか?』

『わかりました。すぐ行きます☆』

瞳があっという間に返信してしまった。

「よし!じゃ行ってらっしゃい☆」

「でも悪いよ…。」

「私なら大丈夫。ほら、裕哉先輩に連絡して時間潰して待ってるから!ねっ!!」

「わかった。終わったら連絡するね。」

「OK☆OK☆」

と言って思いっきり私の背中を叩いてニカッと瞳は笑っていた。


いやな予感しかしない私はとてつもなく緊張していた。握り締めた拳は汗でビッショリだった。

「おっ!夢香。急にごめんな。呼び出したりして。」

「いや、大丈夫です。」

緊張し過ぎて頭が狂いそうだった。

「何だよ。そんな怖い顔するなよ。戦争にでも行くような顔してるぞ!(笑)」

「当たり前じゃないですか。急に呼び出されたら誰だってビビりますよ。」

「ははは。ごめんごめん。悪気はないから。」

「で?話って何ですか?」

「………。」

「どうしたんですか?先輩??」

「実は…何でもないんだよね。」

「えっ…???」

「こうでもしなきゃ夢香俺と会ってくれない気がしてさ。」

「なーんだ。ビックリした。(笑)あんなに緊張して損した(笑)先輩って変な人!!」

「あっ!初めてタメ口きいてくれた。」

「ホントだ!(笑)」

「なんかさ、今まで敬語で話されるたんびに壁感じてたんだ。だから嬉しい。」

爽やかな笑顔。これはずるいって思った。

「なんか先輩って、カッコいいしスポーツも出来てみんなからも人気があってなんだか近寄りがたくて人間味がない感じがしてたんだけど、意外なかわいい一面が見れて先輩も人間なんだって思ったら自然にタメ口になっちゃった(笑)」

「俺を何だと思ってたんだよ。(笑)でも嬉しいよ。何より夢香の素直な気持ちが聞けたのが嬉しかった。」

「先輩って意外と純粋なんだね。(笑)」

「先輩じゃなくて卓也だけど俺の名前は!」

「それはまだ無理かな(笑)だって……

それは一瞬の出来事だった。気付いた時には私は卓也先輩の腕に包まれていた。

………ドキドキ……ドキドキ……

胸の鼓動が卓也先輩に届いてしまうんではないかと思うほど大音量で鳴り響く。だけど何故か心地いい。ふりほどく気になればすぐにでもふりほどける。でも不思議と受け入れている自分がいた。

「まだ卓也なんて呼んでくれなくてもいい。抱きしめ返してくれなんて言わない。夢香の気持ち分かってるし。だけどもう少しこのままでいさせてくれ。お願いだ。」

卓也先輩の肩と声が少し震えているのがわかった。こんなどうしようもない不器用な私にまっすぐな気持ちをぶつけてくれた先輩。急に愛おしく感じた。私も両手で先輩を包み込んだ。先輩は驚いたように少し体を離したけれど、恥ずかしそうに先輩の胸に顔をうずめたままの私をみて今までより強く、もっと強く抱き締めた。そして私は小さい声で

「卓也…」

と呼んだ。卓也はわざとらしく

「何?小さすぎて聞こえなかった。もう一回。」

と言ったので背中をポンと叩いて

「もう言わない。」

と言った。


これが私の気持ち。私の初めての恋だった。

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