私の気持ち
あれから私達は何回か4人で遊んだけれど、瞳が裕哉先輩と2人で遊びたいと言うようになり4人で会うことは少なくなっていった。
「あのさ瞳、最近裕哉先輩とはどうなの?」
「いい感じだよ♥そろそろ告白してきてほしいんだけど全然そんなそぶりないんだよね…。私から告白しようか迷ってるんだよね。でも…ちょっと気になること聞いちゃって……」
「えっ?何?気になる。」
「いや聞いた話しなんだけど裕哉先輩…美鈴先輩に片思いしてたって聞いたの。」
「例えそうだったとしても昔の話しでしょ?」
「だけど私裕哉先輩いくらシャイだって言ってもあのイケメンで今まで彼女いないっておかしいなって思って、こっそり卓也先輩に相談したの。そしたら最初は本当にシャイなだけだよってはぐらかされてたんだけど、しつこく聞いたら絶対秘密にするって約束で話してくれたの。裕哉先輩、美鈴先輩のことがずっと好きで片思いしてて何回か告白したんだけど見事に振られて…それまでずっと一筋だったんだけどもう無理だって思ったらどうでもよくなって女遊びし始めたんだって。もちろんイケメンだったから女は黙っててもよってくるんだけど、いざ手を出そうとすると美鈴先輩の顔が浮かんで抱くことが出来なかったって…。そんなことが続いて裕哉先輩がホモとかそんな変なん噂が広まってしまってそれから女の人が苦手になったんだって。」
「そんなことがあったんだ…。」
人事だけど少し涙しそうになってしまった。だけど瞳は私と目を合わせず気まずそうにしながら話し続けた。
「そしてどんどん女の人を避けるようになって。今に至るって感じらしいの。だからもしかしたら今も美鈴先輩のこと忘れられなくて好きかもしれない。私はただ先輩の女嫌い克服するための友達なんじゃないかって思っちゃって…。」
「そっか。難しい問題だね。でもなんか変。いつもの瞳だったら本当かどうか直接聞いて確かめてみるとか言いそうだけど(笑)」
「…………。」
瞳は下を向いたまま黙っていた。
「瞳?……瞳?」
「バカみたい…私まぢになっちゃったみたい。まぢで裕哉先輩が好き。だから…だからさっきの話しが本当だったら私受け止められるかどうかわからなくて…受け止めたくなくて…美鈴先輩が羨ましくて…憎くて……でも美鈴先輩が悪いわけじゃないってわかってるけどじゃあ誰を責めたらいいの?ってグルグル同じこと考えてるの。…夢香……私辛いよ。助けて夢香…。」
と言って瞳は私にしがみつかながら泣き出してしまった。私は何も言ってあげることができなかった。本気で人を好きになったことがない私はなんと声をかけてあげればいいかわからなかった。ただ瞳の泣いている姿はあまりにも不釣り合い過ぎて早くいつもの瞳に戻って欲しくて、瞳を強く抱きしめる事しかできなかった。
「ごめんね。みっともない姿見せちゃったね。まぢごめん。今度なんかおごるから許して☆でもいろんなこと吐き出したらなんだか少し楽になった気がする。夢香ありがとうね。」
「私礼を言われるようなこと何にもしてないし。むしろごめん…力になってあげられなくて。」
「やだね。湿っぽくなり過ぎ。(笑)夢香が居てくれるだけで私は私らしくいられるの。いつもありがとね。ってこんな照れくさいこと言わせんなよな。(笑)多分もう一生言わないからしっかり胸に刻んどきなよ!(笑)」
「忘れたから動画で保存しておくから、もう一回言って!(笑)」
「絶対やだ!!」
「ケチッッ!!」
「ところでさ、夢香と卓也先輩はどうなの?」
「どうって言われてもな…。あんまり連絡とか来ないし、だからといって私から連絡するわけでもないし、大体私から連絡する用事もないし。第一好きとか思ったことないんだよね。」
「なにそれ~冷めすぎじゃない?じゃあもし卓也先輩が他の誰かとイチャイチャしてる姿想像してみて。どう?どんな気持ち?」
私は無条件に卓也先輩と美鈴先輩がイチャイチャしてる姿を想像した。
「うーん…。これはこれでいい気がする。ってかこれがしっくりくる。」
「何言ってんの?まぁでも好きだったら普通ここでヤキモチ妬くところだけど、どうやらそうじゃないみたいだね。卓也先輩も夢香の気持ち察して引いたのかもよ。」
「そうかもね。」
「あっさりしてるね。でも人生何あるかわからないから今はなんとも思ってなくても明日は好きになってるかもしれないし!」
「ないと思うけど。なんか瞳私と卓也先輩を必死にくっつけようとしてない?」
「そ…そんなことないよ。ただ早く夢香に彼氏ができたら良いなって思って。」
「彼氏か~……。」
自分の気持ちがよくわからない。ただ他人の心に踏み込むのがこわい。自分の心をさらけ出すのが怖い。そうやって自分と向き合うことから逃げているだけかもしれないと思ったら悔しくなった。瞳は自分としっかり向き合って、私に自分の気持ちをさらけ出した。そんな瞳を羨ましいと思った。私も瞳のように自分をさらけ出すことが出来るのだろうか?そして私の気持ちはどこにあるのだろう。