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8.聖女も骨抜きエンジェル

種族の変化を終え、目を覚ましてから数分…僕は教会のシスターセリナさんの腕の中にいた。

天使族(エンジェル)」という種族になって姿色が変わって翼も生えた!!

そして抱き抱えられている状態だ…。


「きゃぁーーー!!!可愛いです!!」


先ほどからこの調子で頭もなでられる。

いや…悪い気はしないのですがね?その…元のアバターからさらに要素もりもりになってしまった現状が信じられないですよ…。天使って…この翼どうするんだ…?

こんなナリになったんじゃ翔介(しょうすけ)のやつにバカ笑いされるの待ったなしだ…。あいつの小馬鹿にしたニヤニヤ顔が思い浮かんでしまってイラッときた。


「天使さま…本当にいたんですね…」


セリナさんの声音が少し掠れていることに気づいた。そういえばここはセリナさんのお母さんがいたと言っていたな…何か感傷に浸る思いがあるのだろう。彼女が落ち着くまでしばらくはこのままにしよう…。



しばらくセリナさんにされるがままで撫でられ続け早20分ほど…セリナさんはだいぶ落ち着いたようだ。

ずっと抱きしめていたことに気づいた彼女の顔は赤く照れている。


「…!天使さま長い間抱きついちゃってすみません!ただ今、はっ離れますので!」


「い…いえ…慣れているので平気ですよ…」


そう、ゲームではなく…現実の方でね…いっぱいあるんですよ…。


「ナイトさま…が言い伝えの天使さまだったのですね…それにしても可愛らしいです…」


「あ、ありがとうございま…す?」


このクエストではプレイヤーが“天使”になることがクエスト内で必ず必要になるのだろう…。メニューウィンドウを見ると称号らしきものも取得しているようだ。でも…これ戻れないのかな…?戻ったとしても少女の姿には変わらないが…


「天使さまの姿を取り戻したことで何か力を使えるようになったのではないでしょうか?」


「力?ですか…みてわかる通り飛ぶことができそう…ですね」


「!!ナイトさま!外に出て試してみませんか!?私天使さまが飛ぶところを小さい頃から見てみたいと思ってたんです!」


「えぇ〜、で…できるかなぁ〜」


セリナさん…そんなキラキラした目で見つめられたらやっちゃうしかないじゃないですか〜!僕の今までのゲーマー人生の中で、背中から生えた翼で空を飛ぶという経験がまったく無い…。僕の中の少年心が飛べと言っている!

というわけで外に出ましてレッツ!フライ!


「えーっとなになに?新しいスキル…【飛翔】!」


飛翔:翼の生えた種族が使うことのできるスキル

   その背に携えた翼でどこまでも飛んでゆく…

   SP【スタミナ】消費によって使用時間が変化する

   消費SP【スタミナ】10ごとに飛翔可能時間が5秒追加される

   任意のタイミングで発動、キャンセルできる。地上に降りる際はゆったりとした降下と急降下どちらかを任意で選択することができる。


す、素晴らしいスキルじゃないか!?スタミナを消費するのは戦闘中でリスクも大きいが…

とりあえず!検証という建前飛んでみるとしよう!


「ナイトさん!がんばってください!!」


「が、頑張りますっ!!」


この人生初めての飛行をするということもあり…緊張がはしり仮想の身体をこわばらせる感じがした。

高いところはそれなりに平気な方ではあるけれど、自分で飛ぶとなるとどう感じるのかは未経験だ…そりゃいきなり落下!は怖いけど…。

さてさて、期待の眼差しを向けるシスターさんを待たせては申し訳ないのでそろそろ飛ぼうかな!

背中の肩甲骨あたりに感じる翼の付け根を動かす感じで…お!ちょっと動いたかな?そして…

飛翔!!


するとふわっと背中の翼が羽ばたき…物理法則とかガン無視でゆっくりと身体が宙に浮いた!


「わ!と、飛びだした!!」


宙に浮いたことの喜びでバランスが悪くなり姿勢がぐらつく。


「ナイトさーん!!落ち着いてください!!」


セリナさんはこちらに向かって落ち着くよう声を出してくれている。声出しマジ助かるぅ〜!それに笑顔まで付いてくるんですから!

バランスを立て直しながら上昇を続け、程よい高さまで上がった。教会が少し小さく見えるくらいだから…だいぶ高いか…。

今の最大スタミナ値は、先ほどの戦いによってLV【レベル】が上がって40くらいあるから…今は最大20秒が限界か。どうやらスタミナの回復は空中で自然回復がしないようだ。

スタミナの回復には道具を使うか、自然回復を待つかの二択である。自然回復は大体2秒で1回復する計算だ。

ゲームの中でスタミナ値がある場合、スタミナ管理は重要なプレイヤースキルとなる。このゲームもそれは変わらないだろう。


「移動するには…姿勢を安定させるのが大事…っと!」


右に重心を置くと右に旋回、左に置くと左に旋回…案外簡単に操作できるぞ!

これって…もっと加速とかできないのかな?そう思って少し力んでみると徐々に景色の移り変わりが早くなっていくような…!?


「やばばばばばb!はッ!!!やいぃ!!」


速い速いはやい!!速すぎるって!!耳キーンってなってるって!!てか方向がうまく定まらないぃぃぃぃ!!!?

ズドッン!!!!鈍い音と衝撃が身体に響き渡った…。

検証結果としては…


「…ら、落下ダメージはかなり痛い…と…」


「ナイトさん!?大丈夫ですか!?今傷を治しますからね!」


落下地点にセリアさんが駆け寄ってきた。

何か呪文のようなものを呟くと僕の身体を緑色の光が包みこんだ。するとHPがみるみる回復してゆく!このゲーム回復魔法なのだろうか?


「飛ぶのも結構難しいみたいですね」


「ですねぇ…。」


セリアさんと2人で呟く。


「セリアさんはこの後どこかへ行くつもりですか?」


「えぇ、ワンティアの方へ戻ろうかと」


「僕もワンティアを目指していたんです、よかったら一緒に行きませんか?」


「天使さまと!?すぐ支度をしますね!!」


セリナさんは血相を変えて教会の方へ戻っていく。

街か…プレイヤーいっぱいいるよなぁ…目立ちそうだぁ…。

天使の翼って小さくできるのかな?なんかこう小さくなれ〜とか言ってたら小さくならな…なった。

大きかった翼はぴょこっ飛び出す程度に小さくなった。これなら!って背中が空いてる服だから一緒か…。


「ナイトさーん!準備できました!って翼が小さくなってる!?小さい翼も可愛いですね!」


「ありがとう!セリナさん!」


「さて、ワンティアに向けて出発しましょう!」


こうしてシスターセリナさんと天使暗殺者はワンティアに向けて出発したのだった。

今回もお読みいただいてありがとうございます!

今回設定情報はお休みです…

次回もお楽しみに…

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