表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

5.迷子のその先へ

うひゃーここどこだー!?

マップを見ずに自分なりに行けるだろうと過信していた矢先、迷子になった。

思えば景色がどんどん緑に包まれていって日差しが木陰に覆い隠されてしまったところから疑えばよかった。

我ながら困ったものである。だってマップが機能しないもん…。なんだよNo dataって…。いつまでも彷徨い続けるぞこんちきしょう!


ぶつぶつ文句を言っているとドンッッ!と鈍い音がした。


「だれかいるのか!?僕と同じ迷子になった奴が!?」


同じ被害者を探しに音のした方角へ向かう。向かうにつれどんどん木陰が少なくなって太陽がさんさんと…広い空間に出た。


「ここだけひらけてる…太陽眩しいな…。ん?なんだろあれ」


目線の先に広がる光景…自然の中に似つかわしくない教会のような建物。それを取り囲むように唸るモンスターの数々。大体15体くらいか…。

挑むべきではない…か。この数は序盤じゃ危険だな…。

腰の短剣に手を掛けて観察をしていると…どこからともなく声が…聞こえた。


「…たか…どなたか…助けてください…」


「!?今のは…直接頭に響いた!?」


女の子の声…いわゆるテレパシーってやつか。

フルダイブVRゲームは脳と信号やら何やらを送って連動して仮想世界を体験させているらしい。頭に直接話しかけることは可能であるが…こんな自然の中で?まさかあの教会の中に誰かいるのか!?


『緊急クエスト!「聖女との邂逅」が発生しました!』


……!?緊急クエスト!?ってなんだ?

ってあと1分で受注ができなくなる!?

なんだとぉ!?時間が惜しいじゃないか!

でもここは…


「助けを求められて…助けない理由はないな!」


もし罠だとしてもまだ序盤だから許そう!僕は心が広いからね!序盤だしね!

受注っと!

すると制限時間が表示された。その時間20分。それを越してしまうとクエスト失敗ということだろう。

緊急ってこはかなり大きい…失敗は許されなさそうだ。


「スキルの再使用時間(クールタイム)を確認しとかないと…」


えーっと気配遮断が20秒と?ラピッドラッシュが5秒と…。気配遮断で接近、ラピッドラッシュで攻撃と…クリティカルを極力狙って素早く狩っていかないと数の暴力でやられてしまうな…。


敵はレッサースネーク、ホブゴブリンが数体。

そして…一体のデカブツ…あいつはまだ見たことがないから一番の注意をしなければならない。


クエストを開始すれば制限時間20分のカウントダウンが始まる。

圧倒的数の不利…逆境とも言えるこの状況はゲーマーとして燃える場面だ。


「始めたてでやることじゃないと思うけど…最初の人助け、始めるとしようか!」


短剣を構え、クエスト開始のウィンドウが表示された。


「…!声が届いて…!?どなたか分かりませんがせめて…祈らせていただきます…!」


クエスト開始と同時にテレパシーの主から応答があったと思った次の瞬間、僕の体を光が包んだ。

状態異常のアイコンが表示された。効果をじっくり読んでいる時間はないが一応確認だ。


『聖女の慈愛』

聖女が祈ることで発生する奇跡

敵性モンスターから受ける即死ダメージを防ぐ


即死することはない…と。デバフではなかったことが嬉しい…。っていうかめちゃくちゃ強力じゃんか!?

聖女ちゃんまじ聖女…ここまでされて失敗は許されない!

木陰から飛び出すと同時に気配遮断を発動した。気配遮断の効果時間中にレッサースネークを2体を狩る!


木陰からレッサースネークの背後到達まで約4秒。すかさず一体目、レッサースネークの弱点である頭の付け根にラピッドラッシュを発動させる。2連撃ともクリティカル判定となり、首から血飛沫(ちしぶき)が散る…が気にしている場合ではない。

次発動できるラピッドラッシュの再使用時間(クールタイム)が5秒なので、もう一体は通常攻撃をクリティカルで当てなければ手数が多くなってしまう。


このゲームのクリティカル判定…短剣の場合は剣の斬り込む角度、力の入れ方、重心…など(まだ詳しいところは検証が必要だが)が重要になってくると考察できる。

クリティカルが発生すれば通常攻撃でも一撃のダメージが伸びるため積極的に狙いたいところだ。

道端でいっぱいモンスターと戦っててよかった…。


隣の仲間がやられて混乱しているもう一体のレッサースネークに不意打ちで…3回、4回…と立て続けにクリティカル攻撃を加えていく。

みるみるうちにレッサースネークのHPが削られていき…ついにゼロになりレッサースネークが倒れた。


しかし…仲間がやられたことに気づいた周りのモンスターたちは周囲を警戒を始めた。

まずいな…もう気配遮断が切れている

滑り込むようにホブゴブリンの後ろに周りこむことに成功した。素早さの高さがなせる技だ。


「ギギィッ!?」


「気づいた頃にはもう遅いッ!」


ホブゴブリンが右手に持った粗雑な石斧を振りがぶった瞬間…短剣を走らせ、ホブゴブリンの右腕を切り飛ばした。これもクリティカル判定ッ!

レッサースネークより切りやすいのはホブゴブリンの腕が細いからなのか…んなことを考えてる余裕はない!

立て続けに首にも斬撃を喰らわせる…がクリティカルにならない?

仕方ない…もう一撃!今度こそクリティカルの表示が出てホブゴブリンが倒れる。


3体倒せたのは好調だな…残り時間は17分。あと大体10体くらい…。ラピッドラッシュはMPを使う技だ。MPが無くなれば現状回復手段がないため無駄にはできない。

レベルが上がればHP、MP共に全回復するんだけどなぁ!

すると…大きな影が迫ってきた。


「…!?オワッ!」


横に飛び出して…間一髪避けることに成功するも、攻撃の衝撃で粉塵が上がる。

攻撃の余波がビリビリと肌に来るのがわかる。

僕の近くにいたモンスター達も攻撃に巻き込まれ数体やられている。


「周りも敵も見境なしか…数が少なくなるのはありがたいが…」


この攻撃が教会に当たることは避けなければならない…時間制限ありでこの攻撃をするモンスターを倒さなければいけない護衛クエストってことか…。

粉塵の中から現れたモンスターの名前は絶王の小鬼(キングオブゴブリン)。名前的にこんな序盤で出てくるような感じじゃないんだけどなぁ…。

絶王の小鬼がこちらを向く。どうやら敵対認定されたようだ。


「聖女ちゃん?のためにその出鼻挫かせてもらうぞ!」


「グラ"ォォォンン!!!」


残り時間14分…。絶王の小鬼との死闘が始まった。

緊急クエスト…突拍子もなく始まるまさに緊急!

クエスト内容は高難易度となっておりますが…その分報酬が豪華?だったりします。

緊急クエストの中には失敗してしまえば二度と起きないものもあるとかないとか…。

主にこの世界を旅するストーリークエスト、デイリークエスト、職業のジョブクエスト、上記のいつどこで始まるかわからない緊急クエスト。

そしてビヨンド・ファンタズマの世界の根幹に関わるグランドクエストが存在しています。

グランドクエストと幻想種達は密接な関係にあるらしいですね…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ