1.外道の凱旋
久しぶりに投稿したかと思えば…
新しい物を書いていた…
読んでいただけたら幸いです
あるVRゲームのオンライン大会にて…
ここは銃火器で撃ち合い、生き残った者が勝者となるバトルロワイヤルゲーム「デストロガンファイト」
通称「DGF」
チーミングあり、爆破あり、裏切りありのはちゃめちゃなゲームであるがプレイヤースキルも試される奥深いゲームである。
今この瞬間予選を勝ち抜けた選りすぐりの総勢200人の中からさらに生き残った2人がボロボロの市街地の中、最後の戦いを繰り広げている!!
はずのだが…
残った2人のうちの1人、プロゲーマーのPNジャックは回避とダッシュを繰り返し、逃げ続けていた。
「"さぁ!最後の2人となり大詰めとなった今回のDGFオンライン大会ィ!!プロゲーマージャック選手!そしてこちら突如として現れた一般予選からの参戦!あまり情報が無いナイトリーパ選手!」
「クソッタレ!なんでこんなに罠が仕掛けられてるんダ!」
「やあやあどうも!罠のお味はどうですかな?」
逃げ惑うジャックの目の前にケラケラと笑いながら小柄でフードを被った1人のプレイヤーが姿を表した。
「ッ!テメェが"これ"の犯人か!回りくどいことをしやがる…ッゼ!」
愚痴を吐きながら手にしたライフルの銃口をのナイトリーパに向けて発砲したジャック。トラップを避けながらしっかりと標準を定める技量は流石プロゲーマーである。
しかし、小柄なナイトリーパはそれをすばしっこくかわしながら、手投げの罠を置いていく…その顔から笑みは消えない…。
ナイトリーパが逃げ場として選んだ道は曲がった瞬間、彼は盛大に転んでしまった!ジャックも撃つのをやめず、少しずつナイトリーパにダメージが入っていく。
そして…曲がった先はなんと行き止まりだった。
「"おおぉーーっと!!ナイトリーパ選手!盛大に転倒!そして運悪く逃げた先は行き止まりのようだ!この逃げ場がないこの状況で最後の撃ち合いがあるのかッ!!?"」
「はぁ…ついに逃げ場が無くなったな、フード野郎!お縄についたらどうだ?」
ライフルの装填を素早く済ませたジャックは銃口を向けた。
こんな状況に陥っても未だ彼の笑みは消えない…。
「この状況で笑ってられる…その胆力は褒めてやるぜ…そしてここまで生き残ったこともな!」
勝利宣言とも言えるセリフを言ったジャックに対し、ナイトリーパは目を光らせる。
「…ジャックさん。アンタは勝ったつもりでいるようだが…それは逆だよ…」
「なァんだと?苦し紛れの捨て台詞か?」
「まあ…そうカッカせずにこれを見てよ」
!の右手をよく見てみると、何かのスイッチが握られている。あれは…そう設置型の遠隔操作爆弾のスイッチ!!
「てめぇ!それをどこに仕掛けやがった!?」
「おや!焦りが見えはじめたね!でも終わりにしよう!!」
そう言うや否やスイッチをカチッと作動させた〜。
瞬間2人の横で爆発が起きた。2人の横には、なんと高層ビルがある!
爆発したのは1階部分、そして2階の道路側だ。
ビルは下層の支えが悪くなり2人がいる道路へと倒れそうになる。
「てめぇ!これを狙ってわざとおびき寄せやがったな!…だが潰れるのはオメェだけだぜッ!!」
ジャックはビルの倒壊から逃げようと切り返そうとするが…足が動かない。
なんと彼の足元には粘着罠が設置されていた。
「これは…いつの間にこんなものを…ッ!まさか!さっき転んだ時に!?」
「ピンポーン!どさくさに紛れて置かせて貰ったよ!撃つのに夢中で足元がおっくうになってたよ!」
「…だが、オメェも相打ちだぜ…しかも即死ダメージだとしてもHPはオレよりも低いはず…しかもオレにはこれもあr…!?」
ジャックが何かを使おうとした瞬間彼の足元で閃光が弾けた。
ジャックの手からアイテムが落ち、彼は指一つ動かなくなった。
「スタングレネード…これでアンタは動けない。ドーム状に広がる防御壁も使えない…これはありがたく使わせてもらうよ!」
「クソッ!こんちくしょうが!」
「なんと言ってもらって構わないよ…尊厳もその身体もペチャンコになるからね!!」
フードから小柄で可愛らしいナイトリーパの顔が初めて覗いた…が…その顔がしてやったりとニンマリ笑った。ナイトリーパはジャックが落としたアイテムを使い防御壁を展開させる。
対して怒りを覚えたジャックは目をピクピクさせた。
「クソッタレぇぇぇぇぇぇぇーーー!!!!」
ジャックの絶叫と共にビルが盛大に倒壊…観戦者誰しも予想外の幕引きとなった。
「"な、な、なんどぉぉぉーー!!!誰も予想だにしない幕引きだぁぁ!!!!ジャック選手、高層ビルの倒壊によって下敷きだ!!」
「おいおいまじかよ…」
「一般参加のゲーマーが勝ちやがった…」
「や、やり方がひでぇ…」
「あいつ性格やべぇなぁ…」
大会を観戦する会場ではどよめきが広がっていた。
そんな中、彼のことをよく知る者が1人笑っていた。
「ハハっ!アイツ面白いことするなぁ!流石だわ。やっぱあいつならプロも狙えると思うんだけどなぁ…、あっ逃げた…」
空中に浮かぶモニターに映し出されていたのは会場に向かって一瞬笑顔を作り、急いでログアウトしだした優勝者の姿だった。
「ふへぇー…疲れた。でも最後のジャックって奴の顔めちゃくちゃ面白かったなぁ〜。ビル爆破してよかったよかった」
ヘッドセットの形をしたフルダイブ型VRゲーム機、を外して一息ついた。
ジャックの断末魔を思い出して吹き出しそうになったが、横に置いてあった携帯電話が鳴ったので吹き出すことはなかった。
件名:優勝賞金、贈呈品のご案内
差出人:株式会社フューチャーエンターテインメント
宛名:PNナイトリーパ様
本文:PNナイトリーパ様、今回のDGFオンライン大会におきまして見事優勝おめでとうございます。
参加料お支払い時に事前に入力していただいた口座へと優勝賞金を振り込みますのでご確認ください。
そして、近日発売予定の我が社FETの新たな商品…
「ビヨンド・ファンタズマ」の製品版をお送り致します。
引き続き、我が社の製品をよろしくお願い致します。
「わぁ…そういえばDGFってめちゃくちゃ大手ゲーム会社のゲームだった…」
株式会社フューチャーエンターテインメント…フルダイブ型VRの技術を築き、多大な影響を与えた今や世界的ゲーム会社である。
「そんなとこの公式大会でやる行為ではないよなぁ…ビル倒壊」
それにこれから真似されそうだし…それはそれで面白そうだからいっか!
だが気になるのは優勝賞金…もだが新商品だ!
「ビヨンド・ファンタズマ…か。これも世界的ヒットになりそうだねぃ…。でも今は疲れたし…眠い…」
先ほどまで罠を設置しまくりビルを爆破させたとは思えない可愛い顔で寝るこの人…
ナイトリーパ
この寝顔の知らないところでこの名前が一躍有名になっていた。