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当代最強の責任  作者: 嵐山田
第一章
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第四話

 二時間以上の会議、突発的に始まった実戦演習が終わり、ようやくここで解散となった。

 春休み前以来、同じくらいの強さの魔法使いと演習することが久しぶりだった。

 俺は疲れたことと少し気になることができたため今度こそさっさと帰ろうと、自分の車へ向かっていると後ろから夏葉に呼び止められた。


 解散になった後、俺は勝利、終治と共にシャワーを浴びに行っていた。

 一番最後までシャワーを浴びていた俺は自分が一番最後だと思って気を抜いていたため肩透かしを食らった気分だ。

「正門の近くで待ってたのに素通りするなんてひどくない?」

「わり、ちょっと疲れてぼーっとしてたわ」

 非難の色は感じられないが少しむくれたような顔と声で夏葉にとがめられる。

「それでいきなりどうしたんだ?」

 俺は頬をつつきたいという衝動を抑えるように事務的な返事をした。

 事務的な返事に何か言いたげな表情をしていた夏葉だったが「最近ゆっくり会えてなかったし今日は早いからお茶行かない?話したいこともあるし」と放課後デートに誘ってきたのだった。

 

 俺と夏葉は機関本館から少し離れたところにある隠れ家的なカフェへやってきていた。

 カフェに来るにあたり、夏葉の魔装車は自動運転で帰し、俺の魔装車に二人で乗って来ていた。

 このカフェの一階はよくある形のテーブル席やカウンター席が並んでいるが、二階は少人数での打ち合わせなどに利用される個室があり、夏葉は迷わず個室へ向かった。

 さすがに個室に男女二人という状況は良くないと思い、彼女を引き留めようとしたが夏葉の「話したいことがある」という言葉を思い出し素直に従うことにした。

 カフェの個室はシックな雰囲気でまとめられており、席は二人掛けのソファが向かい合い真ん中にテーブルがあるだけの部屋になっている。

 対面に座り、お互いに注文を済ませると飲み物が運ばれてくるまで、夏葉の「話したい事」には触れず、普通の友人同士で交わされるのような日常会話をしていた。

 俺が今朝の妹の反応について相談してみようと思ったところで二人の分の紅茶が運ばれてくる。

 それを受け取ったところで夏葉の表情が少し真面目なものに変わる。

 その表情の変化を見た俺は花凛の反応のことはいったん棚に上げて本題に入ることへした。


「それで、メインはなんだ?」

「メインはもちろんデートってのもあるけど、まあ確かに紅茶もきたし本題に入ろうか」

 デートもメインね。

「話したい事は篠宮会長のことなんだけど」

「会長のこと?」

「そう……あの人何者かな」

「魔法発現が極端に遅かっただけの普通の人じゃないか?」

 俺はあえて一般論を口にしてみる。

「それとも何か引っかかることがあったのか?」

 正直なところ俺も会長のことは気になっていた。だが、まさかその話だとは思っていなかったため、話題に多少驚きつつも、話を進める。

「うん、何か引っかかるんだよね」

 まぁ直感的な話なんだけどさと半笑いをして見せる。

「龍仁がなにも感じてないなら気のせいかな」

 夏葉の青砥家は青の魔法の特殊性から諜報活動なども行う家である。

 その夏葉が何か引っかかるというのなら俺の直感と合わせて何かあると考えた方がいいだろう。

「近日中にでも視てみるよ」

「お願い、あと何かあったら教えてね」

 問題を俺一人に背負わせないという気遣いを感じる。

「ああ、でもそれより」

「それより?」

「重くなりそうな話はこのくらいにしようぜ」

「今日のメインはデートなんだろ?」

 なんとなく強張った雰囲気を変える。

 俺は自分の横の空いているところを軽く叩いて夏葉を呼んだ。

 夏葉の顔は重くなりそうだった空気を吹き飛ばすほど明るいものに変わり、二人の指はお互いが意識しないうちに絡められていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 そのまま一時間ほどデートを楽しんだ後、私は龍仁に送ってもらっていた。

 私はこのまま夕食もと思っていたが、龍仁がしきりに何かを気にしているような感覚を覚えたため、おとなしく龍仁に従い帰路についた。

 

 しかし夏葉は夕食に行けなかったことを根に持っていたのか、去り際に「今度は夜までだよ」と意味深な発言をして龍仁と別れたのだった。

お読みいただきありがとうございます。


次回もよろしくお願いいたします!

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