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0話:ちょっと未来の話

〜前書き〜

本編ではもうちょい後に出てくる、作者が一番描きたかったと言っても良いシーンを置いときます。

作者が描いてて楽しいんだから、読者が読んでも楽しいよね…ね?

ってか序盤の印象よくないと、みんな読んでくれないだろうし…。

「前方に敵の…あーこれ主力だねー。攻城砲とか大型魔獣とか…うーわ飛竜に飛行船までいるよ。本気だこれ。」

敵は街道をびっしりと埋め尽くすように、列をなして侵攻してくる。

ここは丘の上の森の中。

私は単眼鏡を覗き、街道を偵察していた。

高台は偵察に向いてるし、向こうには気づかれてない…と思う…。


「お姉ちゃん乗って。すぐに情報を伝えないと…。」

「あいあーい。」

"私が作った"装甲車の運転席に座る弟くんが私に呼びかける。

弟くんの名前はアレルで私の弟ってことになってる。この辺はややこしいから詳しくは言わないけどね。

「ん…ふぁあ。出発…?」

「あ、ルイサはまだ寝てて良いのに…。ほら、あれ。」

私が装甲車に乗りこむと、座席で着る毛布にくるまる様にして寝ていた少女…ルイサが目を覚ます。


「えと…飛竜に飛行船…ぁふ。機銃で落とす…?」

むくりと体を起こして様子を確認したルイサは、座席に取り付けられた巨大な機銃を動かしながら言う。ちなみにこれも私が作った。

「いや、位置バレるから…。」

「でもアレルさー、どーせ狼煙なんか炊いたらバレるから」

「まあ確かに…。でも弾もあんまないんだから無駄うちはやめて。」


そう言いながら弟くんはあらかじめ用意しておいた薪に特殊な草や砕いた鉱石なんかを混ぜ、魔石を投げ込んで火をつける。

こーやると狼煙の色が緑になるってわけだ。

通信ってのがマジで進化してないからこれしかないのよねー…。


「来た…!」

突然、先頭の歩兵の集団が爆発で吹き飛ぶ。

「うわ、こっちまでビリビリ言ってる。」

立ち昇る煙と土埃。

それがゆっくりと晴れるにつれその中に影が見え、だんだんとはっきりしてくる。

「んぁ…あれ…。」

「すごい!本当に動いてる!!」

現れたのはキャタピラで自走する数両の鋼鉄の箱。戦車って奴だ。

こいつも私が作ったんよねー。まあ正確に言えば、私たち?

私が元々想像してたのとは全然違ってたけどね。主砲も回転するのじゃなくてクソでかい攻城砲が無理矢理横にくっついてる。つまり不格好だしクソ遅い。


それでも世界初のだ。敵兵はこんなん見たことない。

土砂や瓦礫や兵士やらを押しつぶすようにして突っ込んで来る様は、恐怖以外の何者でもないだろう。

一人、また一人と逃げ出し始め、前線はパニック状態だ。

「再装填が長いから直接突っ込んで制圧…確かに装甲を貫通して攻撃できる敵なんていないだろうけどちょっと怖いね。」

「まあどーにかなるっしょ…ってちょっと待って!」

単眼鏡の視界の隅に映ったものを見て、私は唖然とする。

敵が攻城砲を装填していた。運んでる途中のクソデカ大砲をここで撃つ気だ…!

敵側本気か!?こんなに密集してるんだぞ!?ここで撃ったら味方にも被害が…


撃ったー!!ええ!?

至近距離で発射された砲弾は戦車に命中、その圧倒的な炸薬は周囲の味方を巻き込みながら装甲を叩き割る。

「まずい、"装甲を貫通できる敵なんていない"って前提が崩れた。こうなったら…」

そう呟いたアレルは操縦席に座り直し、ハンドルを握る。


「えっちょっと待ってアレル、何してるの?」

「横から突っ込んであの大砲を破壊する。こいつの機銃なら行けると思うよ。」

「えー!?私達も直接戦闘するの!?」

最前線で言うのもアレだが、私は戦闘なんてしたくない。怖いし!

「この作戦において戦車は破壊されないのが前提なんだよ!数が少ないからこのままだと一気に全滅しちゃうよ!」

横を見るとルイサは機銃に装填する…ってルイサまでやる気なの!?

「ルイサ!今昼なんだよ!?本当に大丈夫なの!?

ルイサは無言で頷く。


とても12才の少女とは思えないその信念のこもった目を見て、私の心の何かが動かされた。

そして、私はその言葉を口にする。

「…エンジン始動。えーっと敵側面後方はパニックになってる奴が多そうだね。そこから突っ込もう。」

私は正義感なんて持ち合わせていない。勇気も無い。自分が良ければそれでいい。

なんなら今装甲車で爆走して、逃げてもいいかなって思っている。

戦車の開発を手伝ったし、偵察にまで来た。恩返しならもう十分じゃ無いのか…って。

ただ、そんな私とは違う仲間達を見るとただ…ああもうなんて言ったらいいんだよこれ!


パン!パン!パン!パン!

私の雑念をかき消すように、エンジンから巨大な炸裂音が聞こえる。

魔力エンジンの起動音だ。

同時に装甲車は一気に加速して坂を駆け降りる。

「待ってこれ結構怖いいいいい!!!!」

「畜生やってやるぞおおおおお!!!!」


ジェットコースターのように加速する装甲車に怖がりながらも、弟くんは流石の操縦能力で兵士たちの間を縫うように進んでいく。

戦車だけでなく私達まで突っ込んできた兵士はパニック状態!対応できるわけがない!

「上から見た感じ動かせた大砲は1門だけみたい。このまままっすぐ進んで!」

「了解…ちょっとお姉ちゃん正面!!」

そう言われて、私は周囲を確認するため装甲車の上から顔を出し…うわあああああ!?

クソデカ大砲こっち向いてるー!!

砲口が、装填された砲弾が、こっちを向いてる!?

なんなの!?この対応力は!?


「アレル避け…いや違う!!このまま正面に向かって乱射!!」

私の声と同時に

狙うはは大砲に装填された榴弾!乱射すれば一発は…当たった!

大☆爆☆発!任務完了!やったー!


「やった!これで残りの大砲はまだ準備できてないはず!」

「うん、戦車に任せて私達は帰…」

その時だった。

突然走る衝撃。

ほとんど最高速度で走っていた装甲車が、何かにぶつかった。

周囲を確認するために身を乗り出していた私は、衝撃で投げ出される。痛い!


同時に一瞬身体に寒気が走る…鑑定!?

「ふむ…君が情報にあった商人とやらか。こんなおもちゃを作って前線に来ていたとはな。」

声がする方向を見る。

筋骨隆々の男が一人、素手で装甲車を止めていた…!?!?


ここは剣と魔法と後ちょっと銃の世界。

強さに上限がない世界で格上は、とんでもないくらい強いってことだ。

〜あとがき〜

これの続きは2章で!

1章長いって思ったら「ここ読めばわかる」ってとこだけ読めばなんとかなる…かも?

ってか一章短いし面白いからサクッと読んで!ね!


世界観の設定。

魔法という概念のある1800年代って感じ?中世よりは進んでるね。

銃や大砲は存在するものの、動力となる機関は存在しません。つまり馬とかが引っ張ってる。

また、足りない技術力は魔物や魔法で補っています。

ただし!商人さん一行が介入した瞬間!技術レベルが100年くらい一気に進む!すっげえ!

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