白豚令嬢でしたが、隣国でプロポーズをされました
食事を済ませてサロンで団らんをしていると、
急に外が騒がしくなった。
こんな時間に公爵邸に来る要件など碌なものではない。
途中から執事と共に対応していたジーク様のお父様と、
私のお母様が揃ってサロンに戻って来た。
どうやらお母様宛に王城から封書が届いた用で、
お母様はソファーに座ると封書を読んで、
少しばかり難しい顔をした。
「簡単に言うとこの国の第一王子とリーナの婚約の打診ね、
まだ正式な申込みでは無くて、
我公爵家に対しての打診だから断る事も出来るわ。
リーナは、どうしたい?」
「私は第一王子様の事を良く知りません、
今日同じクラスで会った時は良い印象はありませんでした」
白豚発言があった以降は、特に話しもしていない。
私の事を良く知らなかったみたいなので、
直接私を知っていての批判では無いのだろうけど。
「我が家の問題としてだけ考えれば、
良く知らないと言う理由だけなら、
婚約を受けても良いと思っているわ。
王子は私も知ってるけど、まだ横柄なところはあるけど、
そこそこの器はあるからね。
逆にこの段階で断る気ならリーナは、国に連れて帰るわ。
国内ならともかく、国外の王子の婚約を断ったらこの国では、
相手が限られてしまうもの」
「…そうですね」
私はジーク様に想いを寄せている、
だけど公爵家の娘としてそれを口に出せるかと言えば出せない。
今まで家族には随分守られて来た、
海外の遠いとはいえ親戚筋の王族と揉めて気苦労をかけたくない。
それにお母様のおっしゃる通り、
王子との婚約を断った令嬢との婚約なんて、
ジーク様のお家に迷惑をかけてしまう。
きっと皆は、優しいから私のわがままを聞いてくれるだろう。
だけど私は、公爵の娘。
ノブレス・オブリージュ。
決して個人の我がままを通して良い訳がない。
私だけでは無い、貴族の結婚なんて政略結婚がほとんどだ。
その時が私に来ただけ。
私は、この国にきて楽しい思い出も一杯貰った。
それだけでも圧倒的に恵まれているのだ。
「それで良いかしら、ジークさん?」
お母様は、ジーク様に話しをふった。
なんで?
公爵家の嫡男として答えなど決まっている。
でも直接は聞きたくなかった。
「いえ、それは困りますね。
私は、リーナ嬢を愛してます。
まだ年齢的に無理ですが、私と結婚して欲しいと思っていますので、
まずは婚約からお願いします」
「でも、そんな事をしたらジーク様のお家にも迷惑をかけてしまいます」
「あら全然迷惑じゃありませんよ、
今日もフレイ公爵夫人ともそんなお話をしてましたし、
王家からこんなに早く打診が来たのは想定外でしたけど」
「お母様?」
「いやね、ジークさんがチョットヘタレ過ぎじゃないかと思ってね」
「グッ」
お母様、やめてあげてジーク様がお可哀想よ。
「ごめんなさいね、リーナちゃん。
ほら家はジークの下は二人女の娘でしょ、
扱いは上手いのだけど、好きな娘への距離のつめかたが分からないのよ、
家の旦那様とそっくりね」
「うっ」
スノー様やめてあげて下さい、
折角傍観を決め込んでいた、ジーク様のお父様が苦々しいお顔で俯いてしまったわ。
「リーナ本当は、もっと良い雰囲気で気持ちを伝えたかった。
実は、婚約指輪も既に買ってあって、然るべき機会を狙ってたんだ。
リーナ、誰よりも君を愛している」
「わ、私もジーク様が大好きです」
「リーナ、卒業後に私と結婚して欲しい」
「はい、私もずっとジーク様と結婚したかったです」
私のその言葉を聞くと嬉しそうに、お顔をちかずけて…
「ウォッホン、私達は見なかった事にしても良いが、初めてが親の前だと後々くるぞ」
私達は、ジーク様のお父様のその言葉で我にかえり少しばかり離れた。
「良いとこでしたのに」
「チィ」
スノー様、お母様、やめて、今回はジーク様のお父様が正しいわ。
二人の非難の目に体を小さくしているジーク様のお父様を見て私はそう思った。
「まあでもあれよリーナちゃん、お母さんも別に意地悪をしたんじゃないのよ。
今回は、向こうもこちらの立場を考えて打診で済ませてくれたけど、
相手によっては、きちんと立場を示しておかないと断われない場合もあるの、
特にリーナちゃんは、海外からも認められている聖女、そこを絡み手で攻められると、
一国の筆頭公爵家とはいえ、対応が難しくなる事もあるのよ」
「はい、心得えております、お母様。
私の事を気づかって頂いて、ありがとうございます」
お母様は、私の事を溺愛してくれている。
どんな困難があっても私を守ってくれるだろう。
だけど少しでも私に負担がかからない様に、少しばかり強引な言い方をしたのだ。
私は、嬉しくて涙を浮かべながら、お母様に抱きついた。
お母様は、小さな頃から変わらないままで、私の頭を優しく優しくなでてくれた。
ちなみに婚約指輪は、二人きりのデートの時に渡してくれるみたいだ。
それよりも先に王城で国王に直接謁見して、お断りをしないといけない。
一応、お母様へ届いた封書には明日に時間を取ってくれるらしい。
王子とは同じクラスなので、私としても出来るだけ早く正式にお断りしたかったので、
翌日王城に赴く事にした。




