表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/54

02話 カルディの望んだセカイ

「当たり前だろ? 俺たちは友達なんだから」

「ははっ、それもそうだな!」


 コトッとテーブルの上にベーコンハムエッグが乗った皿を3つ置いたエリカは、にこりと笑みを浮かべ、「さっ朝ごはんよ? 2人とも」とそう言った。


「一旦その話は終わり。今は朝ごはんを食べて、その後これからどうするか考えましょう?」

「そうだな」

「またこれかよーエリカが朝飯当番のときは毎回これだよな」

「文句があるならジニアちゃんが朝ご飯当番のとき、別のにすればいいじゃない、毎日毎日同じメニューなんだもの」

「だってめんどくせーじゃん」

「まあ、たまにはパスタとかそっち系も食べたいよな」


 ピピッ……


 3人が会話してる途中で、急に脳内に突如、念話の効果音が入り込む。


「あ、あー、聞こえているか? 純血と、混血共」

「お前は……!」

「……ふふ、これからお前らに“簡単な”仕事を渡そうと思っていてな、それで念話を通したんだ」

「………………仕事?」

「俺に息子がいるのは知っているな?」

「……」

「息子……ブルースターが俺の許可無しに勝手に人間のセカイに赴いた。重大な規約違反だ」

「だからなんだよ」

「その重大な規約違反をしたブルースターを始末しろ、それがお前らに課された、“簡単な”仕事だ」


 ブルースターの、自身の息子のことを悪く言っている長に対し、ぴくっと肩を鳴らしたジニア。


「……おい、自分の息子が“勝手に人間界に行ったから始末しろ”。だと!? お前、何訳わからないこと言ってんだ!! 道を外れた息子をどうにかして説得するのが父親の! お前の務めじゃねぇのかよ!!!!」

「……」

「貴様ァ! カルディ様が造った吸血鬼界の長になんて口を!! 混血(邪魔者)が! 身の程をわきまえろ!!!!」

「……カルディ様のことを……」

「リオ、ちゃん?」

「カルディ様のことを、お前らのような純血(グズ)が! 何も知らないお前らが!! 気安く彼女の名を口にするな!!!」


 急に声を荒げたリオに、ジニアとエリカはびくっと肩を鳴らし、驚いた表情をリオに向けていた。


「フッ……お前は確か、カルディ様を祀っている、カルディ様の一部を貰った唯一の一族だったな? ん? リオ・カルディ」

「……だったらなんだよ。お前のような自分の息子を、俺たちに手をかけさせるような男には! 俺らは絶対に成り下がらない!」

「子供を持ったことのないお前に、俺の気持ちは分からない」

「ハッ、分かりたくもないね。むしろ、子供がいようがいまいが、お前にはブルースターを殺すことは絶っっ対に、出来ない」


「……」


 リオの言葉に対し、言葉を一瞬詰まらせた長。


「図星かよ、お前だって分かってんだろ? このセカイは、カルディ様が望んだセカイじゃねぇ。ってさ。カルディ様はな、純血と混血が共存出来るセカイ、異種族が望んで、進んでこのセカイに来て、彼らたちと共存が出来るセカイを望んでた。今のこのセカイはなんだよ、カルディ様が見たら絶対悲しむんだよ、そんな簡単なことが、なんでお前には分からねぇんだ!!」


 長はリオの言葉に何か思うことがあるようで、そのまま口を開く。


「これが、カルディ様の望んだセカイじゃない? はぁ? お前、急に何言ってるんだ? 実際にはもう、カルディ様は死んでいる」

「……」

「死者から言葉を直接聞いているわけでもないのに、よくもまあ、そんな戯言を」

「戯言? カルディ様の言葉の全ては、俺の家に全部ある! 本として! 魔書として!! そこに全部記されてんだよ! 図書館にもある有名な書物だ!! カルディ様の考えを全く知らないお前がよく! のうのうと長の座に座れたもんだな!!!」

「……純血と人間が混ざり合った者、それが混血だ。混血は、人間の血を色濃く受け継いでいる。だから俺たちが扱える特権が、全く扱えないんだ」


「「…………」」

「は? だからなんだよ。お前の言ってることは全部絵空事だ、空想なんだよ。お前も一度行ってみればいいんだよ、図書館――」

「あーもういい、分かった。お前と話していることの全てが、完ッッ全に、時間の無駄だということがな」


 長はリオのその言葉に苛立ちを覚え、そのまま言葉を遮った。


「早く決めてくれないか? 私の息子、ブルースターを始末するために人間界に行くか、行かないかを」

「もし仮にお前の息子を始末した場合、報酬はあんだろうな?」

「何!?」

「そうね、タダ働きっていうのも困ってしまうわよ」

「お前らに渡す報酬なんてものは無い。……忌々しい混血共が。ブルースターの「結晶」の特権(ちから)で、とっとと死んでしまえばいいんだ」


 長とこのまま言い争いをしても埒が明かない。ということで3人は面倒くさいながらも、人間のセカイへと行くことを決めた。


「てめえと話ししてても埒が明かないからな、仕方ねぇから人間界に行ってやるよ。……ブルースターも可哀想だよなあ〜こォんな最低最悪の父親の元に生まれてさ」


 ジニアは両手を繋ぎ首後ろに持っていきながら嫌味を溢す。


「子は親を選べぬ。ということ。これが奴の運命だったんだ。リオ・カルディ。貴様は」

「うるせぇんだよ、俺の大切な友達を愚弄して、今滅茶苦茶気分が悪いんだわ。さっさと転移しろよ、人間界にさ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 設定が詰め込まれすぎていて、分かりにくいことがありました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ